MAMORU & The DAViES@高円寺Jirokichi




 東京では今年初のワンマンライヴ。バンドにとってもすっかりホームグラウンドと化したジロキチは超満員の大盛況だった。

 ここ最近のワタナベマモルはどんどんパンクに先祖帰りしており、音もステージングも激しさを増している。この日も決して広いとは言えないジロキチのステージを右へ左へと飛び回っての熱演。もはやギターを持たない曲の方が多いくらいだ。DAViESの面々もそれに躍動感あるバッキングで応える。見ているだけでヘトヘトになるような濃厚なライヴを展開。

 ワンマンということで、この日は2部構成でたっぷりと。馴染みのある曲はもちろんのこと、新曲もいくつか聴けたのは嬉しい。「野球場へ行こう」のバンドによるヴァージョンは初めて聴いたけれど、これは名曲だ。レコーディングされるのが待ち遠しい。

 ジロキチを埋めた観客はもちろんMAMORU & The DAViESの熱心なファンであり、すこぶる反応が良い。グルーヴのある演奏に対して歓声、拍手は惜しみなく、ライヴ現場の理想を見た。第2部が終わったところで私はトイレに並んでいたのだけれど、用を足す前にアンコールが始まってしまったのだった。「ヒコーキもしくは青春時代」はトイレの中で聴いたのだけれど、観客によるサビの「♪ヒコーキが〜〜」の大合唱が聴こえてきて、思わずトイレの中で泣きそうになった。

 ジロキチのようなハコで見るMAMORU & The DAViESは最高だけれど、バンドにこれだけのスケール感があるのだから、今はもう少し大きい会場でも見てみたいと思ったり。18日に控えているルー・ルイスとの対バンに益々期待が高まったのだった。


MAMORU & The DAViES セットリスト 2011年3月6日 高円寺Jirokichi
【第1部】
1.ブーンブーン
2.ヒットパレード
3.恋は何色?
4.ロマンス
5.フライングマン
6.炎のパブロッカー
7.野球場へ行こう
8.メンドクセー
9.不遇な犬
10.百戦練磨のオトコ
【第2部】
11.ロックンロール賛歌
12.ノーテンキ
13.ヘイ!キャデラック
14.泥沼天国
15.2人で歩いた
16.ハードレイン
17.キャデラック3号
18.キャデラック4号
19.期待はずれ
20.ロックンローラー
【ENCORE】
21.ヒコーキもしくは青春時代
22.ペンキ塗りのブルース
23.マボロシ
24.オイラの部屋へおいでよ

 Elvis Costello "solo" @渋谷オーチャードホール



 エルヴィス・コステロは10代の頃からのファンで、87年以来、ライヴも来日する度に見に行っている。しかし事前にこれほど期待が高まらなかった来日は初めて。その理由は「ソロ」での公演だから。昨年発売された『National Ransom』はここ数年の活動の集大成的な内容で、バンド・サウンドを基調としていたから、その世界観を表現するにはソロの弾き語りでは不十分に思えた。昨年来日が発表になった時、一体「ソロ」で何しに来るの?と思ったのが正直な感想だった。
 一応東京の2公演はチケットを押さえておいたものの、初日は仕事の都合で行くことができず。2日目も危うく同じ轍を踏むところだったが、無理矢理職場を脱出し、開演2分前に会場へすべりこんだ。着席する時に会場の様子を見渡して愕然。1階席の後ろ3分の1ぐらいは誰も座っていない。2階席やバルコニー席の観客は、数秒で数えられそうだった。この入りではエルヴィスのモチベーションが心配だなと考えている内に客電が落ちた。
 のそのそとステージに現れたエルヴィスは愛想をふりまくでもなく、無言でビートボックスのスウィッチを入れた。私の座席からは見えなかったのだが、iPadを使っていたらしい。懐かしいドラム・サウンドを響かせながら、エレアコ(マーチン?)を手に歌いだしたのは「Green Shirt」。
 その後も「Red Shoes」「Motel Matches」「Little Triggers」「Veronica」など20年以上前の曲が続く。1曲目以降、ビートボックスはなかなか使われなかった。ステージ上には数本のギターが並べられ、曲毎にエルヴィスが自分で持ち替えながらライヴは進行。弾き語りなのだから、ピアノぐらい用意されているだろうと思っていたがそれも無し。基本は歌とギターの超絶シンプルなショウ。
 古い曲が多いので、ともすると単なる懐メロ大会になりかねないのだが、それを回避したのはエルヴィスのパフォーマーとしての矜持、そしてアレンジに頼らない楽曲の魅力に他ならない。
 この日のヴォーカルの冴え方は過去に見たどのライヴと比べても遜色ないどころか、トップレベルだったと言っていい。御歳56ともなれば、いくらか衰えを感じさせても不思議ではないのに、伸びのある歌声には何度となく感嘆させられた。一時期ほどウェットな歌い方でなくなったのも好印象。
 アンプにつないでいたとはいえ、弦楽器らしい生音を感じさせるギターの鳴りも良かった。素人の耳にも相当なこだわりが感じられる深い音色は、力強くカッティングしても耳障りではなく、ヴォーカルを支える脇役として適任だった。
 往年の曲が中心のセットリストは、当然そうした曲に対するニーズが高いことが考慮されていただろう。しかしそれ以上に弾き語りでも引き込まれるような訴求力を持っていることに、改めて気付かされることしばしば。「Alison」なんて今まで何度聴いたか分からないぐらいだが、目の前で歌われればやっぱり「いい曲だなあ」と思うのだ。それほど古くない「The River In Reverse」だって、ホーン・アレンジが無くてもメッセージが伝わる名曲だとつくづく思った。
 ショウの構成はきっちり決められていた様子はなく、特に前半は方向性が定まらないまま淡々と進められた感があった。「A Slow Drag With Josephine」でマイクの前を離れて生の歌声を聴かせるパフォーマンスに観客が沸いたのを見るや、そのままステージのへりに腰を下ろし、これまたノン・マイクで「Almost Blue」を歌ったり。成り行きまかせがこの人のライヴの特徴でもあり、観客の望むものを捉えたこの辺からがいよいよ本領発揮の印象だったが、「Alison」を歌い終えたところで早くも舞台袖に引っ込んでしまった。この時点で開演からわずか1時間ほど。いくら何でも早すぎるだろうと、物足らない観客はもちろんアンコールを要求。そしてこの後のアンコール、実質第2部がエルヴィスのライヴの醍醐味だった。
 アンコールは計4回。その間もちょっと飲み物でも取りに行く風で、時間を置かずに戻ってきた。恐らく会場の終演時間は決められていただろうから、残り時間を目一杯使うつもりだったと思われる。ライヴで盛り上がるツボを心得た選曲と、観客の要求を見通したかのようなサービスっぷりで、きっちりとモトは取らせてくれる。
 まさか聴けるとは思っていなかった「Toledo」や「Brilliant Mistake」にはコアなファンも喜んだはず。ギター弾き語りの「She」は新鮮だったし、同様に「Shipbuilding」にも感激。前半で客席から「シップビルディング!」とリクエストがあった時は、すかさず「良い曲だね」とあしらっていたのに、結局やってくれるんだもんな。ピアノが無いから無理だと思っていたよ。
 照明を落とし、ビートボックスをバックに拡声器を使って歌われた「National Ransom」も驚いた。ロックンロール・スタイルのオリジナルから一転して、テンポを落としたアブストラクトなアレンジが施されており、まるでトム・ウェイツがカヴァーしたらどうなるかを自分で再現したような仕上がり。実はエルヴィスはこういうフェイクが好きで、89年の弾き語りツアーでも「Pump It Up」をインダストリアル風にリアレンジしてノイズだらけの演奏をしたりしていた。
 最後のアンコール・パートは名残を惜しむような演奏が続き、思わずこみ上げるものが。「また東京で演奏できて嬉しかった。またすぐ戻ってくるよ」と話してから歌われた「All Or Nothing At All」の情感豊かな歌唱にはしんみりさせられた。件の「Brilliant Mistake」は嬉しい驚きだったし、続く「Man Out Of Time」もしかり。「I Hope」もまさかの選曲で、歌詞の内容を考えればここで終わっても充分だった。しかしバラードで終わるよりはガツンと締めくくろうと、こてこての「Pump It Up」で大団円。サビのコール&レスポンスをしつこいほど続けてくれたので、満腹になった。もうこの辺で勘弁してくださいと懇願したくなるほどだった。この過剰感がエルヴィスのライヴだ。
 結局『National Ransom』から演奏されたのは5曲。しかしタイトル曲は大幅に改編されていたから、新曲のようなもの。「I Hope」もボーナス・トラックだから収録曲とは言い難い。エルヴィスにとって『National Ransom』は既に過去の1作品に過ぎないことはよく分かった。
 最近「アルバムはもう作らない」と弱気でネガティヴな発言をしたり、『National Ransom』で一段落を着けたせいか、今のエルヴィスは次の展開を見出せない状態なのかもしれない。焦点がはっきりしないソロ公演を敢行してしまうのも、その証拠と言えなくも無い。しかし今回のライヴでパフォーマーとしてのプライド、才能の豊かさは存分に味わせてくれたのだから、私はそれほど心配していない。今夏インポスターズを率いて行われるツアーでインスピレーションを得たら、たちまち次のアルバムを仕上げてしまいそうな予感もある。次に来日する時は、自信作をひっさげて「どうだ」と言わんばかりの横綱相撲を見せてくれるのではないかと期待している。


 セットリストの詳細はこちらを参照のこと。

 住所不定無職「MAGICAL NIGHT ROCK'N ROLL SHOW !!!!!」@下北沢THREE



 正式なCDデビューから約1年で迎えた、住所不定無職の初のワンマン・ライヴ。そう、このバンドはまだワンマンをやったことが無かったのだ。まだ『JAKAJAAAAAN!!!!!』が発売される前の昨年12月にメール予約限定で発売されたチケットは、用意した100枚があっという間に完売。『JAKAJAAAAAN!!!!!』発売後にバンドへの注目が高まるにつれ、プラチナ化したのだった。

 さすがメンバー達の気合の入り方が並大抵ではないことは、会場に到着した瞬間に分かった。エントランスからロビーまで延々とポスターが張り巡らせられ、ステージは電飾と色紙を切り抜いた星が散りばめられたデコレーション。手作り感たっぷりのこの飾りつけは、昨夜から今朝の9時頃までかかって本当にメンバーで手分けして行ったのだそう。紙製の星はゾンビーズ子の手作りで、何と700枚を自分で切り出したのだとか。

 バンドの出囃子も、「A列車で行こう」をバックに英語による司会が流れてからいつもの細野晴臣の「住所不定無職低収入」へ入る特別仕様。当然観客は全員が住所を目当てに来ているのだから、いきなり最高潮を迎えてオープニング曲「マジカルナイトロックンロールショー」が鳴らされる。
 先月のレコ発ライヴの記憶も新しいが、この日はまた新鮮な感動が。地に足が付いた感じのある、もっと言えば自信が感じられる演奏なのだ。きっとこの日のためにたくさん練習したのだろうな。演奏が充実していることは素晴らしいが、その裏にある意気込みを想像するとさらに心を揺さぶられる。
 住所のライヴを見たことがある人なら知っているだろうけれど、このバンドは決して演奏が上手くは無い。というより、全国流通のCDを発売していてここまで拙い演奏をするバンドは他に知らない。だからこの日だってミスは散見されたけれど、この日とは比べ物にならないほどグダグダな演奏も見たことがある者としては、バンドの成長ぶりには目を見張ったし、向上を目指す心意気にも感動を覚えたのだ。「おやつ××××」でのたたみ掛けるような攻撃的な演奏はグルーヴィーで本当に素晴らしかった。
 さらにショウを意識した構成や演出にも特筆すべき点が。「あ・い・つ・はファニーボーイ」「I am homeless」「死語カード」はメドレー形式で披露され、やるなあと思ったし、MCのタイミングも絶妙、アンコールでボヘミアンズの本間先生を迎えての4ピースでの演奏はスペシャル感があって良かった。最初から最後まで飽きさせないライヴ・バンドとしての力量が感じられ、ヘタウマや可愛さだけが売りではないことを証明したように思う。MCではツンデレなキャラを演じることが多いユリナが、この日は終始嬉しそうだったのも自信の表れか。
 2回のアンコールを含めて21曲が演奏されたが、これは現在住所不定無職が公式に発表している全曲でもある。恐らく今演奏できるレパートリーは全部吐き出したのだと思われる。キラー・チューン・エクスプロージョンズを自称するだけあって、どの曲もキラーな魅力があることに改めて驚かされたし、今後ワンマンのライヴがあってもこんな選曲で行われることはきっとないだろう。また住所不定無職は今後さらにビッグな存在になることが容易に想像できるので、こんなにスレていないアット・ホームなライヴ(終演後にはヨーコの手作りチョコレートまで振舞われた!)を行うことも難しくなるはずだ。それを思うと大変な体験をしたことに身震いすら覚える。

 THREEで100人も入ればかなり窮屈な状況が予想できたので、この日はカメラは持って行かなかった。しかし余りにも楽しいライヴに、すぐには会場を去りがたく、終演後はおもちゃみたいな持ち歩き用コンデジで会場内を写し回った。何とユリナとゾンビーズ子と、それぞれ2ショットの記念写真まで撮ってしまったぞ。こんなの人生で初めてだ。因みにヨーコちゃんはカメラが苦手だからと、断られました(笑)。まあ「マジカルナイトロックンロールショー」のPVを見ると、それも分かるけど。
 これから先、恐らくワンマンを含めて住所のライヴを見る機会はまだあるだろうが、この日のライヴはその中でも特別なものとして記憶しておきたい。今後はまた違った種類の感動を覚えるのかと思うと、楽しみで仕方ないし、この日のライヴが貴重なものであったことをしみじみと思い出すことだろう。

住所不定無職 2011年2月27日 THREEセットリスト
1.マジカルナイトロックンロールショー
2.ひまらや
3.ラナラナラナ
4.農家の悲劇
5.おやつ××××
6.オーマイゴット! マイガール
7.狂言メッセージ
8.I wanna be your BEATLES
9.恋のテレフォンナンバー!リンリンリンッ!
10.あ・い・つ・はファニーボーイ
11.I am homeless
12.死語カード
13.渚のセプテンバーラブ
14.あの娘のaiko
15.住所不定無職のテーマ
16.オケレケレペプー
 〜encore 1〜
17.メガネスターの悲劇(with 本間ドミノ先生)
18.1.2.3!(with 本間ドミノ先生)
19.高円寺の渚ちゃん(セーラムライト ver.)
20.世界で一番ステキなGIRL
 〜encore 2〜
21.She Loves You

 see go ROCK #08@高円寺U.F.O. Club



 みぞれ混じりの雨が降る中、高円寺まで。開演の19時半を少し回った頃に到着してビックリ。フロアへ入る扉を開けたところまで溢れるほどの人で超満員。よく考えたら3連休の中日。そして夜のストレンジャーズカルガモネンドの2マンイベントなのだから、この入りも納得。後から聞いたら前売りは完売していたそうだ。
 開演に遅刻してしまったので、ステージでは既にオープニング・アクトのHigh Timesが演奏していた。キャロルのようなオーソドックスなR&Rを奏でるトリオ。紛れもなく関西出身であることをアピールするMCのコテコテぶりはやや閉口したが、音はシンプルで憎めない。盛況の会場の熱気も手伝って、フロアの一番後ろからでも退屈することなく楽しめた。
 続くカルガモネンドの前に観客の移動が起きたので、前方へ移動。持参した一眼レフをセッティングしようとバッグから取り出そうとして、一瞬固まる。カメラがじっとりと濡れていたのだ。気温2℃の屋外から、Tシャツでも平気なこのハコに入ったために、結露が起きてしまった。
 この季節はこれがあることを忘れていた。ボディやレンズの表面は拭き取ることができたが、レンズ内の玉まで曇ってしまって、ファインダーを覗いても何も見えない。困ったなーと思っている内にカルガモの演奏が始まってしまった。
 前回このバンドを見たのは、ドラムが交代して割りとすぐだったと記憶する。1年半ぐらい前だったか。腕の良いドラムを見つけたもんだと思っていたが、時間が経ったことでさらにパワー・アップ。GS風の歌メロを強調したスタイルを基本としながら、プログレまがいの難度の高い演奏が涼しい顔で繰り出される。分かりやすく言うと、テンプターズの曲をテンペストが演奏しているような…。全然分かりやすくないな。ギターのムロもベースのDAIも、元々達者なミュージシャンなので、タイトにビシビシと決まる演奏がすこぶるカッコイイ。
 加えてコミック・バンドすれすれのステージ・アクションと、今時関西芸人でも着ないような衣装の派手さ。視覚的な面白みもあるので、これは是非撮影したかった。大変なペースでライヴをこなしているだけあって、ステージ運びも堂に入ったもの。1時間程度の持ち時間があっという間だった。
 カルガモの演奏中もレンズの様子を何度もチェックしていたが、結局結露は解消せず。夜ストのセットチェンジの間に、ダメ元でレンズの後ろ側からブロワーで何度も風を送っていたら、あら不思議。少しずつではあるが中のレンズが透明になってきた。夜ストの演奏がスタートすると同時に、結露はほぼ解消された。
 こうなればこっちのものよ。ファインダーを覗き1曲目の「Down On The Road」を演奏するバンドをカメラに収める。


 12月のワンマン・ライヴ以来の夜ストだったので、演奏内容に特段変化こそ無いものの、グルーヴィーな演奏は何度聴いても素晴らしい。カルガモネンドとはタイプが異なるけれど、夜ストもやはりトリオとしてのツボを心得たアンサンブルを聴かせてくれる。この日はヨーホー側に陣取っていたためベースがよく聴こえ、ロッキン・ソウルなベース・ラインが堪能できたのも楽しかった。


 セットリストは別掲の通り。このところのライヴの王道を行くような選曲で、やはり1時間ほどの演奏は瞬く間に終わってしまった。「テレサ」「ソウル・バーニング・ラヴ」「ブギ・ウギ・カントリー・ボーイ」なんてまだレコーディングされていない曲なのに、前方にいた観客は皆歌っていたことも驚いた。夜ストを支えにして生きているようなファンを見ると、こちらまで嬉しくなる。私もそのひとりだから。



 この日はミウラさんの声の調子が良く、シャウトが決まっていた。後半は叫ぶ曲が続いたけれど、喉がつぶれる様子もなく、最後まで叫び通した。アンコールの2曲はもちろん最高に楽しかったのだが、この分ならもう少し続けてくれても良いじゃないかと思ったのが正直なところ。この「もう少し聴きたい」と思わせる終わり方がプロだ。またライヴが見たくなるではないか。

 夜のストレンジャーズ 2011年2月12日 U.F.O. Club セットリスト
1.Down On The Road
2.Boogaloo Joe
3.トラブルボーイズ
4.ブギ大臣 Part2
5.プライベートな話をしよう
6.テレサ
7.ソウル・バーニング・ラヴ
8.連れていってよ
9.泥の川
10.ギブソン
11.(I Set My) Soul On Fire
12.ブギウギ・カントリー・ボーイ
13.ファクトリーガール
14.最終バス
15.I Woke Up Crying
16.サムクックで踊ろう
17.ソウルフリーター
18.ヤング&ヒッピー
 〜encore〜
19.自由
20.Big Fat Saturday Night

 何気に「自由」の遭遇率が高いな。夜ストは滅多にカヴァーをやらないのに。
 会場で配られた「月刊夜のストレンジャーズ」の第2号も無事ゲット。前号に続き、今回も充実の内容。無料で配布して大丈夫なのだろうかと思うほど、予算がかかっていることも分かる。ライヴ会場へ来ないと読めないのではもったいないくらいだ。配布が終了したら、オフィシャル・サイト上で読めるようにしてもらえないかな。

 リリース情報:後期Utopia3作品リイシュー



 長らく廃盤になっていたユートピアの後期作品3タイトルが一挙に再発。CDは結構なプレミア価格になっていたので、手軽に入手できるようになったのは嬉しい。しかし最近このフレーズばかり使っている気がするな。
 今回再発されるのはパスポート・レコーズからリリースされていた『オブリヴィオン』と『POV』、そして92年に再結成されて日本で行われたコンサートを収録したライヴ盤『ライヴ・イン・ジャパン』の3タイトル。ベアズヴィル時代のトッド・ラングレン作品は何度も何度もリイシューされるのに、『オブリヴィオン』と『POV』は2枚組にカップリングされたCDが96年に出たきりで、みそっかすのように扱われていた。確かにセールス面ではパッとしなかった時期ではあるが、それは主にレーベルが弱小で販売宣伝の力が無かったためだと思う。決してクオリティが低い作品ではないのだから。
Oblivion + DVD

Oblivion: +DVD (NTSC Region All)

Oblivion: +DVD (NTSC Region All)

 初期こそ大作指向のプログレ・バンドだったユートピアも、70年代後半からは3〜4分程度の短い曲を中心としたポップ指向を強めるわけだが、同時に進化するテクノロジーも積極的に導入。83年作のこのアルバムでは打ち込みのドラムをふんだんに使い、リズムに重点が置かれた曲が散見される。それもテクノ・ビートから後のワールド・ミュージックの隆盛を予見していたかのようなリンガラ風のリズムまで登場するのだから、恐れ入る。
 それでいてメロディが軽視されているわけではなく、「Maybe I Could Change」や「Cry Baby」といったキャッチーなナンバーもちゃんとあるし、ヴォーカリストが4人いるユートピアならではの美しいコーラス・ワークも相変わらず冴えている。要するにバランスが取れているのだ。
 80年代前半のエレクトロ・ポップは、今では古臭くてとても鑑賞に堪えられないものも少なくないが、久しぶりに聴き返しても新鮮に聴くことができた。これは隠れ名盤なのではないか。
 今回のリイシューでは単品でも発売されていたライヴ映像「Live At The Royal Oak」のDVDをカップリングした2枚組になる。この映像は81年4月3日のデトロイト公演にてシューティングされたもので、当然『オブリヴィオン』からのナンバーは演奏されていない。全12曲で約60分。

POV

POV

POV

 スタジオ・レコーディングのユートピア作品としては最後のアルバムとなった85年作。『アドヴェンチャーズ・イン・ユートピア』のコンセプトを踏襲したもので、架空のテレビ番組のサントラ盤という設定。ポップでメロウな曲が多い点で、一般的なトッド・ラングレン・ファンの受けは良い。
 またフィリー・ソウル好きのトッドの趣味も反映されており、それ故ちょうどこの頃全盛期だったホール&オーツ風に聴こえる曲もある。念のため言っておくがトッドはホール&オーツの師匠筋に当たる。前作ほどテクノロジーに色目を使っておらず、歌モノ指向を強めているアルバム。


 こういうミディアム・バラードの逸品も含まれていたりする。個人的にも大好きな曲だ。こういうソウルフルな作風は後の『ニアリー・ヒューマン』や『セカンド・ウィンド』に引き継がれている。
 こちらはCD1枚でのリイシューだが、ボーナス・トラックが3曲追加されている。シングル・カットされた「Mated」のB面だった「Man Of Action」と、契約枚数消化のために86年に発売された『トリヴィア』という編集盤に新曲として収録されていた「Fix Your Gaze」と「Monument」がそれ。
 『オブリヴィオン』も『POV』も発売後に大掛かりなツアーが実施されているので、映像や音源は残っていても不思議ではないのだが、今回のリイシューに含まれなかったのは残念。今後の発掘に期待したい。

Redux 92: Live In Japan + DVD

Redux 1992: Live in Japan: Live in Japan/+DVD

Redux 1992: Live in Japan: Live in Japan/+DVD

 『POV』をサポートするツアー終了後、活動を停止していたユートピアが再結成。カリフォルニアで1回限りの公演を行った後、来日。日本でのみ計7公演のツアーを敢行した。その内92年5月10日の五反田簡易保険ホールでのライヴが収録され、CDとビデオで発売された。
 今回その両方をCDとDVDの2枚組にしてリイシュー。CDとDVDはそれぞれ収録曲が異なる。
 私は商品化された日の前日の公演を実際に見ているので、このライヴは思い出深い。7年ぶりのライヴとは思えないほど演奏のまとまりは良く、またユートピア全史を総括するような選曲だったため、代表曲が次々に演奏される楽しさもあった。ユートピアとしての76年や79年の来日は世代的に間に合わなかったこともあって、やっと見られたと感動もひとしおだった。この日本ツアー以降、現在のところユートピアとしてはライヴが行われていないので、世界中のユートピアのファンにとっても垂涎のアイテム。

 上記3タイトルはアメリカでは1月31日に発売されている。一応『オブリヴィオン』と『POV』は日本盤としても発売されることになっていて、そちらは2月23日発売予定。輸入盤に歌詞、対訳、解説を付けた仕様とのこと。
OBLIVION (オブリヴィオン<デラックス・エディション>)(直輸入盤・帯・ライナー付き)

OBLIVION (オブリヴィオン<デラックス・エディション>)(直輸入盤・帯・ライナー付き)

POV+3 (直輸入盤・帯・ライナー付き)

POV+3 (直輸入盤・帯・ライナー付き)



【2/9追記】
 上では「この日本ツアー以降、現在のところユートピアとしてはライヴが行われていないので」などと書いてしまいましたが、訂正させていただきます。何とユートピアは今年1月29日と30日にUtopia Mk IIとして再結成ライヴを行っていた。
 これは初期のユートピア・メンバーで、現在癌を患って闘病中のムーギー・クリングマンのためのベネフィット企画だった模様。参加メンバーはムーギー・クリングマン(key)、ラルフ・シュケット(key)、ジョン・シーグラー(b)、ケヴィン・エルマン(ds)、そしてもちろんトッド。さらにカシム・サルトンも参加した他、ゲストも多数出演したようだ。
 メンバーからお分かりのように、中心となったのは『トッド・ラングレンズ・ユートピア』のレコーディング・メンバーで、セットリストも『悪夢の惑星』以前の初期のナンバーが中心だった。

Utopia Mk II 2011年1月29日 New York Highline Ballroom
1.Moogy overture (Moogy on keys)
2.Never Never Land (Todd and Moogy)
3.Crying in the Sunshine
4.Lady Face
5.Dust in the Wind
6.Utopia Theme
7.Freak Parade
8.Another Life
9.The Ikon (not all of it but most of it)
10.Heavy Metal Kids
11.Set Me Free ("Carmen Ghia" on keys and vocals)
12.The Wheel
13.Do Ya
14.The Last Ride
15.Freedom Fighters
16.Just One Victory
 〜encore〜
17.Sons of 1984
18.Friends

 アンコール最後の「Friends」はムーギー・クリングマンがベット・ミドラーのために書いた曲と思われる。ベットのファースト・アルバムに収録されている彼女の代表曲だ。
 なお1月30日の模様は映像が収録されており、現在有料にてオン・デマンド配信が行われている。詳細はこちら→Utopia webcast
 2月2日から30日間限定で、$19.95にて試聴できるようだ。またオーディエンス・ショットの映像はYouTubeにもいくつかアップされているので、興味のある方は検索を。

 リリース情報:Nick Lowe『Labour Of Lust』



 ニック・ロウのソロ名義でのセカンド・アルバム『レイバー・オブ・ラスト』が、アメリカではYep Roc、イギリスではProperからリマスター盤でリイシューされる。ファースト『ジーザス・オブ・クール』と並び、パワー・ポップ期のニック・ロウの傑作アルバムで、CDは長らく廃盤で中古盤はとんでもないプレミア価格になっていたから、容易に入手できるようになるのはありがたい。Yep Rocからは180g重量盤LP、MP3でも発売される。

Labour of Lust

Labour of Lust

 『レイバー・オブ・ラスト』のレコーディングは基本的にロックパイルの4人で行われたせいか、『ジーザス・オブ・クール』と比べるとサウンドに統一感があるのと、前作より毒気が薄れた曲が多く、まろやかさ、爽やかさが加味されているので、明るい印象を受ける。ロックパイルの職人的な演奏の妙も楽しい。ロックパイル名義で発売されたアルバムは『セカンズ・オブ・プレジャー』(80年)1作のみだけれど、実はこれはロックパイルの最終作。それに先駆けてリリースされたニックの『レイバー・オブ・ラスト』(79年)と、同時進行で制作されたデイヴ・エドモンズの『リピート・ホエン・ネセサリー』(79年)、同じくデイヴの『トラックス・オン・ワックス4』(78年)はロックパイルのアルバムと呼ぶべきだ。
 ロックパイルで制作されたアルバムはどれも名作と呼んで差し支えない。ただニックのソロ名義で出ただけあって、ソングライター、ニック・ロウのポップな才気が爆発しているのは『レイバー・オブ・ラスト』が一番という気がする。何せ「Cruel to Be Kind」が収録されているのだから。それだけでパワー・ポップ聖典扱いを受けているほど。この曲は全米シングル・チャートで12位まで上がったニック・ロウ最大のヒット曲にして、唯一のトップ40ソングである。ニックが初めて日本に来た時、「次の曲は2週間だけリッチにしてくれた曲だ」と紹介して演奏していたことが思い出される。

 ロックパイルのメンバーは当時既に30代。おじさん達の小芝居が笑えます。
 オリジナル・リリース時はUK盤とUS盤で選曲、曲順が異なっていたが、今回のリイシューではUK盤のみ収録だった「Endless Grey Ribbon」も、US盤のみ収録だった「American Squirm」も収録。さらにシングル「Cracking Up」のB面(アメリカでは「Switchboard Susan」のB面)でアルバム未収録だった「Basing Street」をボーナス・トラックとして追加。収録曲の一覧は以下の通り。

1.Cruel To Be Kind
2.Cracking Up
3.Big Kick, Plain Scrap
4.American Squirm
5.Born Fighter
6.You Make Me
7.Skin Deep
8.Switchboard Susan
9.Endless Grey Ribbon
10.Without Love
11.Dose Of You
12.Love So Fine
13.Basing Street (Bonus Track)

 2008年にリイシューされた『ジーザス・オブ・クール』は10曲ものボーナス・トラックがあったことを考えると、今回の内容には少々寂しさを感じる。未発表曲とか残っていなかったのかな。エル・モカンボのライヴ音源(エルヴィス・コステロのライヴ盤になった日のエル・モカンボにロックパイルも出演しており、プロモ盤として音源がリリースされている)などは入っていても良さそうなものだが。
 しかし重箱の隅をつつくような不満を上げるより、ようやくリイシューされたことを歓迎するべきだろう。私自身も実はCDでは持っていなかったのよね。88年にCD化された後、『ジーザス〜』は割りとすぐ購入したのだけれどこちらは何故か買いそびれていて、気が付いた時には廃盤の憂き目に遭っているのだ。LPは持っているので音は聴けていたものの、さすがにジャケットも痛んできたし、iPodにも入れられないしで、CDのリイシューを待望していた。『ジーザス・オブ・クール』のリイシューから3年も空いたことが気になるが、この調子で『ニック・ザ・ナイフ』から『ピンカー・アンド・プラウダー・ザン・プリヴィアス』までのアルバムもリイシューしていただきたい。実は『カウボーイ・アウトフィット』もCDは持っていないので。

 こちらは今回のリイシューに合わせて制作されたトレーラー。
レイバー・オブ・ラスト

レイバー・オブ・ラスト

 英米から10日ほど遅れて日本盤CDも発売される。ただしMSIからなので輸入盤に帯と対訳が付いた仕様ではないかな。相変わらず強気の価格設定でもある。

 リリース情報:Phil Spector関連作リイシュー



 フィル・スペクターのフィレス・レコーズが今年で設立50周年だそうで、それに合わせて関連作品がSONYのLEGACYレーベルより4タイトル同時にリリースされる。
 クリスタルズ、ロネッツ、ダーレン・ラヴのそれぞれのベスト盤と、フィル・スペクターが手がけた代表曲の編集盤がそれ。スペクター関連作品の編集盤は数年前にイギリスのAceが数回に分けてリイシューを行っていたが、いずれもマニア向けの仕様だった。一方クリスタルズやロネッツのベスト盤は92年に発売された後、90年代後半にリイシューされたことはあったが、現在は廃盤。91年に出た4枚組のボックス・セット『Back To Mono』も随分前に廃盤になっている。
 フィル・スペクターと言えばウォール・オブ・サウンドであり、その代名詞とも言うべき大ヒット曲の数々の方が却って入手困難という不健全な状態が続いていたが、これで解消されるかと思うと溜飲が下がる思いだ。

 この古びなさはどうだ!この「ダ・ドゥー・ロン・ロン」とか「ビー・マイ・ベイビー」なんて曲はあまりにも有名だし、何度も聴いてよく知っているのだが、今でもふとラジオなどで流れると思わずヴォリュームを上げたくなる。50年近く前に作られた曲なのに何故こんなに心を震わせられるのだろう。文字通り不朽の名作、エヴァー・グリーンの輝きとしか言いようが無く、フィル・スペクターという人は一種の魔法使いだったのだなと思う。その人格が破綻しているとはよく言われる上に、今や獄中の身であることもご存知の通り。だからと言って残された作品に罪があるわけでなく、末永く聴かれるべき名作たちである。


DA DOO RON RON; THE VERY BEST OF THE CRYSTALS

DA DOO RON RON: THE VE

DA DOO RON RON: THE VE


1. There's No Other Like My Baby
2. Oh Yeah, Maybe Baby
3. Uptown
4. What A Nice Way To Turn 17
5. He Hit Me (It Felt Like A Kiss)
6. No One Ever Tells You
7. He's A Rebel
8. I Love You Eddie
9. Another Country - Another World
10. Please Hurt Me
11. He's Sure The Boy I Love
12. Da Doo Ron Ron
13. Heartbreaker
14. Then He Kissed Me
15. I Wonder
16. Little Boy
17. All Grown Up
18. Woman In Love (With You)

 フィレス・レコーズの第1弾グループ。ロネッツと並んでフィレス・レコーズの看板であり、ガール・グループの代表的存在。全米No.1に輝いた7を始め、クリスタルズのヒット曲を全て収録。さらにシングルB面曲や、未発表曲18も。


BE MY BABY: THE VERY BEST OF THE RONETTES
BE MY BABY: THE VERY BEST

BE MY BABY: THE VERY BEST


1. Why Don't They Let Us Fall In Love
2. Be My Baby
3. Baby, I Love You
4. (The Best Part Of) Breakin' Up
5. So Young
6. Do I Love You?
7. Walking In The Rain
8. I Wonder
9. When I Saw You
10. You Baby
11. Born To Be Together
12. Is This What I Get For Loving You?
13. Paradise
14. Here I Sit
15. I Wish I Never Saw The Sunshine
16. Everything Under The Sun
17. I Can Hear Music
18. You Came, You Saw, You Conquered

 特にオールディーズに興味が無い人でも2は知っているでしょう。日本ではクリスタルズより人気が高いかな。でも意外なことにトップ10ヒットは2だけ(Billboardで最高2位)。こちらもロネッツの全ヒット曲を網羅するとともに、フィレス閉鎖後、ロニー・スペクターが単身A&Mへ移籍後にロネッツ名義で発表した18も収録。ジョージ・ハリスンが提供した「Try Some, Buy Some」も入れてくれれば良かったのに。契約の問題があったのだろうけど。


THE SOUND OF LOVE: THE VERY BEST OF DARLENE LOVE
Sound of Love: the Very Best of Darlene Love

Sound of Love: the Very Best of Darlene Love


1. No Other Love
2. He's A Rebel
3. My Heart Beat A Little Faster
4. He's Sure The Boy I Love
5. Why Do Lovers Break Each Others Hearts?
6. (Today I Met) The Boy I'm Gonna Marry
7. Not Too Young To Get Married
8. Wait Til' My Bobby Gets Home
9. Run Run Runaway
10. A Fine, Fine Boy
11. Strange Love
12. Stumble And Fall
13. (He's A) Quiet Guy
14. Long Way To Happy
15. That's When The Tears Start
16. Good, Good Lovin'
17. Lord, If You're A Woman

 ダーレン・ラヴはブラッサムズというガール・グループのリード・シンガーだった人。1956年にブラッサムズでデビューするもグループとしては商業的成功は果たせず、主に有名シンガーのバック・コーラスを担当していた。そんな折にフィル・スペクターの目に止まり、2をレコーディング。クリスタルズ名義で発売したところNo.1ヒット。それ以降ダーレン・ラヴ及びブラッサムズは覆面シンガーとしての仕事が続くことに。
 ダーレン・ラヴの名前を表に出して発売したのは6からで、フィレスにはソロ名義で4枚のシングルを残している。有名なフィル・スペクターのクリスマス・アルバムで唯一のオリジナル曲「Christmas (Baby, Please Come Home)」を歌っているのもダーレン・ラヴ。
 ここにはフィレス時代の作品はもちろん、フィレス以前、以後の作品まで収録。

WALL OF SOUND: THE VERY BEST OF PHIL SPECTOR 1961-1966

WALL OF SOUND: THE VERY

WALL OF SOUND: THE VERY


1. He's A Rebel
2. Da Doo Ron Ron
3. Be My Baby
4. Then He Kissed Me
5. (Today I Met) The Boy I'm Gonna Marry
6. Baby, I Love You
7. He's Sure The Boy I Love
8. Zip-A-Dee-Doo-Dah
9. Wait Til' My Bobby Gets Home
10. Walking In The Rain
11. Uptown
12. Why Do Lovers Break Each Others Hearts?
13. Do I Love You?
14. A Fine, Fine Boy
15. There's No Other Like My Baby
16. You've Lost That Lovin' Feeling
17. (The Best Part Of) Breakin' Up (The Best Part Of) Breakin' Up
18. Not Too Young To Get Married
19. River Deep, Mountain High

 そしてこれがフィル・スペクター傑作選。彼が残した良い仕事の美味しい部分だけを濃縮したようなキラー・チューンだらけの1枚。フィレス・レコーズは約6年間の活動期間で40枚のシングルを発売しており、代表曲はこの1枚で概ねカヴァーできる。
 ウォール・オブ・サウンドを確立した記念的作品、ボブ・B・ソックス&ブルージーンズの8や、ブルー・アイド・ソウルの代表的デュオ、ライチャス・ブラザーズの16、フィレス後期にスペクターが売り出しに力を入れたアイク&ティナ・ターナーの19など、ヒット曲満載。
 ただしクリスタルズ、ロネッツ、ダーレン・ラヴはそれぞれのベストとダブりが多いので、今回の4タイトルでどれか1枚というならばこれだけでも良いかも。まあ、今Amazonなら各タイトル800円台(2/3現在)なので4枚まとめても大した出費にはならないけれど。実際私は4タイトルとも予約済み。92年に出たベスト盤は手放しました。今のところ日本盤のリリース情報が無いのだが、日本のソニーが発売するとしたら各1800円ぐらい?フィル・スペクター作品なら人類の共有財産として輸入盤程度の価格でいつでも購入できるようにしておいて欲しいものだ。
 では最後にフィル・スペクターのスタジオでの作業風景を収めた珍しい映像を。歌唱指導を受けているのはブラッサムズですな。『Story of Phil Spector』というドキュメンタリー番組で流れたもののよう。