Bahamas『Barchords』
TennisとかBeirutとか、インディー・ロック界隈にはわざとサーチ・エンジンに嫌われたいのかと思うバンド名が散見される。ここにまた一組、検索しにくい名前ランキングに入りそうなバンドが。
そのまま検索すると今のところバハマ諸島の情報ばかり出てきてしまうが、バハマとは何の関係もない。バンドというよりはギター/ヴォーカルを担当するAfie Jurvanen(アフィ・ヤルヴァネンと読むのか?)のソロ・ユニットのようだ。ライヴはバンド編成の時もあれば、Afieとドラムだけの編成で行うこともある。
Afieは北欧っぽいファミリー・ネームからも分かるように、フィンランド系の血筋で、カナダのオンタリオ州で生まれ、現在はトロントを拠点に活動しているとのこと。
私はつい最近まで全く知らなかったのだが、先月発売された彼にとっての2nd.アルバム『Barchords』がとにかく素晴らしい出来で、目下我が家ではヘヴィ・ローテーション中である。
Lost In The Light
禁欲的とも言える簡素なサウンドに支えられて響く、憂いを帯びたヴォーカルが何とも印象的。ヴォーカルと同じくらい大きな役割を果たしているのがエモーショナルなフレーズを聴かせるギター。Afieはソロ活動を始める前、Feistなどいくつかのバンドでバッキング・ギタリストとして仕事をしていたそうで、なるほどその表現力は確かだ。
レコーディングは人里離れたカナダの山小屋を借りて行われ、暖炉のある部屋に機材をセッティングしての録音の様子がYouTubeにもアップされている。ザ・バンドを思わせる制作スタイルを取り入れているのは、音楽的に相通じる部分があるからだろうか。
ソウル、ゴスペル調の女声コーラスを起用しているせいか、いくつかの曲からは懐かしの「スワンプ・ロック」の香りが立ち込める。中でも特に濃厚なのが、アルバムのラストに収録されているこの曲だ。個人的にはアルバム中、最も好きなナンバーでもある。
Be My Witness
ルーツ音楽との間に絶妙な距離を保ちつつ、Afie Jurvanenにしか出来ないサウンドを創り上げるセンスが光る。曲作りにおいても才能の豊かさは明白で、一度聴けば覚えてしまうようなキャッチーな曲がゴロゴロしている。同じカナダ出身のせいか、安直な連想だがBahamasの音楽にはロン・セクスミスが登場した時と似たような感触を覚える。エルヴィス・コステロさん、今前座に使うならBahamasですよ。
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