Bob Dylan『In Concert Brandeis University 1963』



 Amazon USに発売前から注文していたディランの『The Witmark Demos: 1962-1964』が7日に届いた。早い時なら発送から5日ほどで届くこともあるのに、今回は2週間以上かかっての到着だった。
 このアルバムは日本盤ですらとっくに発売されているので、店頭へ行けば輸入盤でも日本盤でも入手可能だったのだが、今回ばかりはアメリカからの到着を待つ理由があった。そう、Amazon USで予約購入すると、特典ディスクが付くからだ。
 以前当ブログでも取り上げた通り、『The Witmark Demos: 1962-1964』か『The Original Mono recordings』をAmazon USで予約すると、『In Concert Brandeis University 1963』のCDが特典として付けられるとアナウンスされていた。ただし日本から予約してもそれが付いてくるかどうかは明言されておらず、ダメ元で注文しておいたのだ。
 まあ、「海外からの注文でも特典が付く」と言っていない代わりに、「海外には特典を送らない」とも言っていないのだから、恐らく送ってくるだろうとは思っていた。実際発売後には、海外注文組からの特典が付いていた旨の報告を複数目にしていたので、大船に乗ったつもりで待っていたのだが。
 少々待たされたとはいえ、無事届いた箱を開けてみると、果たして特典付き仕様で届いたのだった。

 この状態で届いた。『The Witmark Demos』の表面に『In Concert Brandeis University 1963』を貼り付け、ラミネートされているので『The Witmark Demos』のジャケットが見えない。

 シュリンクを破って分離したところ。UNCUTなどのCD付き雑誌のように、接着剤で実際に貼り付けられていた。

 『In Concert Brandeis University 1963』のジャケットの表面と裏面。紙製のカードボードスリーブ。

 CDはスリーブの中に直に入れられていた。レーベル面はご覧の通り。

1. Honey, Just Allow Me One More Chance
2. Talking John Birch Paranoid Blues
3. Ballad Of Hollis Brown
4. Masters Of War
5. Talking World War III Blues
6. Bob Dylan's Dream
7. Talking Bear Mountain Picnic Massacre Blues

 『In Concert Brandeis University 1963』の収録曲は上記の通り。1曲目の「Honey, Just Allow Me One More Chance」は途中からの不完全な収録。全7曲はいずれもディランのオリジナル曲で、『The Freewheelin'』『The Times They Are A-Changin'』『The Bootleg Series Vol 1-3』に収録されているもの。ただしこのライヴが収録された1963年5月10日は『The Freewheelin'』の発売直前なので、観客にとっては全てが新曲だったことになる。
 ディランがフォーク界の新星として脚光を浴びるのは『The Freewheelin'』の発売後。より具体的にはピーター、ポール&マリーによる「風に吹かれて」の大ヒットと、ニューポート・フォーク・フェスティヴァルの出演が重なった、63年夏のこと。従ってこれはディランがブレイクする直前の姿を捉えているライヴなのだ。
 ここに収録された7曲がこの時ディランが演奏した曲の全てかどうかは分からないが、大学で開かれたフォーク・フェスティヴァルへの出演だったようなので、それほど長時間のステージではなかったと思われる。全編を通してディランの歌声には初々しさがあり、しかししっかりとした自信も感じられる。曲が始まった時には無反応だった観客も、「戦争の親玉」を歌い終えた瞬間などは熱狂的な歓声が起こり、新しい才能と邂逅した驚きや感動が伝わってくる内容だ。
 収録時間は38分24秒。ギターに比べるとヴォーカルがやや遠く感じられる音なので、一瞬オーディエンス録音かとも思ったのだが、恐らくこれはステージ上の1本のマイクで拾っているからだろう。ジャケット写真がこのブランダイス大学公演のものかどうか、クレジットが無いため不明だが、実際この写真のようなセッティングで録音されたのだと思われる。
 音質はさすがに63年の録音だけあって、時代を感じる音だが、仮にブート音源として流出したならば「驚異の高音質」と言われるはず。時代とワンマイクでの収録であることを考慮すれば、充分納得できるレベル。何よりこの時代のディランのライヴが聴けるだけで、価値があることぐらいファンには理解できるだろう。




 満足できる特典で喜びを噛みしめた後、いよいよ本命の『The Witmark Demos』を聴こうとパッケージを開けたところで、一瞬固まった。

 このディスク1の中心部分をよく見ていただきたい。右側が欠けているのが分かるだろうか。
 スリムケースの2枚組仕様では、トレイ部分のツメが折れていることはよくあるが、ディスクまで欠けているのは初めて見た。欠けた破片はケースの中でカラカラと音を立てて転がっていた。
 念のためプレイヤーに乗せてみたが、案の定読み取ってくれなかった。これでは聴けないではないか。orz
 発売から2週間以上待たされてこれかい?Amazon USの返品用ページを見たら、交換と返金を選択するようになっていたので、交換を選んだ。所定の送り状といっしょに今回の不良品を発送して、向こうが受け取ったら交換品を送ってくれるそうな。私は年内に『The Witmark Demos』が聴けるのだろうか。

ザ・ブートレッグ・シリーズ第9集:ザ・ウィットマーク・デモ

ザ・ブートレッグ・シリーズ第9集:ザ・ウィットマーク・デモ



【追記】
 この記事を書いている間に、Amazon USからメールが届いていた。それによると不良品は送らなくていいとのこと。送らなくても数日中に良品を発送してくれるそうだ。国際郵便だと送達のトラブルが起きやすいからだろうか。いずれにしろ太っ腹なAmazon USの対応には驚いた。