The Who『Live at Leeds』40周年記念ボックス



 ザ・フーの『ライヴ・アット・リーズ』が、発売から40年を記念してボックスセットで発売されると聞いた時の感想は、正直なところ「またか」というものであった。
 AB面合わせて6曲しか入っていなかったアナログ盤の時代から、最初のCD化、CD2枚組に拡大された25周年盤、そして演奏された全曲を完全収録したデラックス・エディションと、再発される度に何度も購入させられたものだ。
 ザ・フーのと言うよりは、ロックの歴史上欠くことのできないライヴ盤の大傑作だけに、新装される度に買い直してきたが、2001年に出たデラックス・エディションをもって完全に打ち止めだと思っていた。
 40周年というメモリアルだからと言って、さすがにもう新しいマテリアルは出てこないだろうと思ったら、今度はハル音源を追加するという。
 このセットには4枚のCD、7インチアナログ1枚、12インチLP1枚、さらに64ページのブックレットと、ピート・タウンゼンドのポスターが含まれる。
 CDは70年2月14日のリーズ公演の2枚、これは2001年版と同じもののようだ。そしてリーズの翌日に行われた2月15日のハル・シティ・ホール公演を収録したものが2枚。
 元々この2公演はライヴ盤の発売を目的として行われたもので、両方とも録音されていたが、ハル公演は録音のトラブルがあり、ベースが入っていなかったために発売することができなかったと言われている。ハルの方が会場規模が大きく、音響的にはリーズより優れており、メンバーもこちらの発売を望んでいたとも言われているが、まさかベース抜きでリリースするわけにはいかず、ザ・フー初のライヴ盤はリーズ公演が選ばれたのだ。
 今回のリリースにあたって、リーズで収録されたベースの音をハル音源にオーヴァー・ダビングするという苦肉の策が取られた模様。セットリストはほぼ同じで、リーズでは演奏された「Magic Bus」がハルでは演奏されなかったことだけが違っていたために、その措置が可能だったようだ。
 付属する7インチは当時シングル盤で発売された「Summertime Blues c/w Heaven & Hell」の復刻。LPはオリジナル・リリース時の6曲入りの重量盤とのこと。
 ブックレットやポスターも含めて、メモラビアとしての価値は認めるものの、ハル公演だけばら売りしてくれたらどれだけありがたいか…というのが偽らざる心境だった。何しろ日本盤はSHM-CD仕様で16000円。何かと物入りなこの秋、これだけの高額商品をポンっと買うだけの度量は私にはなく、「残念だけど見送りかな」と思っていた。
 しかしだ、Amazonに掲載された米盤の価格を見て目を疑った。

Live at Leeds

Live at Leeds

 10月19日現在、6,527円!この値段なら買うてまうやろ〜〜〜〜!
 輸入盤は2点買えば10%引きになることを考えると、恐らくAmazonが最強。ざっと調べたがさすがにこれより安いところは見つからなかった。この円高のお陰で日本経済はますますズタズタになっていくだろうが、輸入盤の価格が下がる一方なのは喜ばしい。
 ちなみにハル公演は一部の曲だけはブートレッグで聴くことができた。しかも明らかにサウンドボード収録なのに、ベースの音が聴こえるという代物だ。ハル公演音源のベースの欠落は全ての曲についてではなかったのかもしれない。YouTubeにもアップされているので、貼り付けておく。