アメリカでレコード盤販売数倍増


Nielsen SoundScanレポートによると、2008年にはU2のバックナンバーアナログ盤再発などがあり、188万枚の新品LPが販売されており、2007年と比較し、89%のアップ。これは申告に基づく数字であり、ここに含まれないインディーレーベルを含めるとこの2〜3倍は売れていると予想される。

ニューヨークのオンラインミュージックショップInsoundでは、2008年末の時点で売り上げの50%以上が新譜のLPレコードで、年間で数100万ドル!ターンテーブルの売り上げは2008年に200%UP!

 上記はRECO-PLAY.COMに掲載されたLA Timesの記事。
 音楽業界には近頃珍しい景気の良い話。高々188万枚が売れたところで世間的にはほとんど影響力を持たないと思われるが、悪いことではないだろう。むしろオーディオ・マニアやコレクターの存在を考えると、アナログ市場はこれ以上減りようがないのかもしれない。
 一方日本ではアナログ盤はどのくらい売れているのだろう。ちょっと調べた限りでは実売数のデータは見つからなかった。その代わり日本レコード協会が発表している「音楽ソフト種類別生産数量の推移」のデータがあるので、リンクしておく。限定プレス、予約販売が主流のアナログ盤は、実際の売り上げと生産数に大きな開きはないはずだ。
 これを見ると2008年のアナログ盤生産数は21万2000枚で、8cmCDやカセットテープよりも少ない。売れない売れないと言われているCD(アルバム)が1億9000万枚近く生産されているのだから、商品としての存在感は全く無いと言ってもいい。実際新譜のアナログ盤を在庫している店舗はめっきり少なくなった。最近はタワーレコードのような店でもほとんど見かけないほどだ。
 アナログ盤には中古市場があるから、流通量はもう少し多いのだろうが、日本の中古市場は完全にコレクター向けになってしまっており、マトリクスが1番か2番かで価値が大きく異なったりしているから、この市場がしぼむのも時間の問題だ。初回プレスが二次以降のプレスより音が良いのは理論上正しいのだが、では音を聴いてマトリクス番号が当てられる人など存在するのかね。要するに聴くために購入しているのではないだろう。
 アナログ盤の新譜が発売されない以上、初回プレス盤が出回ることもないのだから、現在のコレクターに商品がひと通り行き渡れば、中古市場は無くなってしまう。私自身は聴くためのアナログ盤を購入することが今でもあるので、今以上にアナログ市場が衰退するのは寂しい。せめてアメリカ並みにアナログの新譜が発売されて、市場が活性化されないものか。来月発売されるビートルズのリマスター版って、アナログは出ないんだっけ?