Garbageman

Lux, R.I.P.



Crampsのフロントマン、Lux Interior死去
 ショックだ。何と言っていいか分からない。
 Hotwireに掲載されたニュースを転載。

クランプスのヴォーカル、ラックス・インテリアが享年60歳で他界した。本名エリック・パーカイザーは、1972年にカリフォルニア州サクラメントで音楽、そして個人的なパートナーになるクリスティー・ウォレス(後にステージ名ポイゾン・アイヴィーロールシャッハとして活動)と出会う。クランプスを結成した2人は1975年にニューヨークに移住、当時シービージービーズ(CBGB’s)やマックスズ・カンザス・シティ(Max’s Kansas City)を中心に盛り上がっていた初期パンクシーンの一環で活動するようになっていく。

バンドはガレージ・ロック、ロカビリー、ホットロッド・カルチャー、ホラー映画、性的なフェティシズムLSDなどを好む独自の美学を持っていた。ラックスの狂気に満ちたステージ・パフォーマンスと、クールで若くセクシーなアイヴィーの絶妙な組合せは彼らを世界中で引っ張りだこのライブバンドへと発展させる。クランプスの曲で、実際にイギリスでヒットしトップ40にランクインしたのは「ビキニ・ガールズ・ウィズ・マシーン・ガンズ」のみだが、奇妙なカバーソングを始めファンに支持されていた曲は多数あった。また、精神病院でクランプスが演奏している活動初期のPV映像は有名だ。ハロウィーン・イベントへの出演リクエストが特に多かった彼らは、その日は2倍の出演料を請求していたことで知られる。ラックス・インテリアの冥福を祈る。

 60歳だったとは…。実際のところラックスの正確な生年月日はよく分からない。CDJournalに掲載された記事にも「享年60」とあるが、MTVのニュースでは62歳とある。謎に包まれたところがラックスらしい。いずれにしても還暦は迎えていたのだろう。
 クランプスは2度来日していて、私は98年の2回目にして最後の日本ツアーを見ている。前座はギターウルフだった。あの時既にラックスは50歳ぐらいだったんだなあ…。

 これは80年に撮影された『Urgh! A Music War』というライヴ・ドキュメンタリー映画のワン・シーン。98年に私が見た時もラックスの風貌やパフォーマンスは全く同じだった。
 演奏している「Tear It Up」はジョニー・バーネット・トリオのカヴァーで、クランプスのファースト・アルバム『Songs The Lord Taught Us』にも収録されている。70年代当時見向きもされていなかった50年代のトラッシュなロカビリーやサーフ・ソングを掘り起こし、サイコビリーという概念を定着させたのは、誰あろうクランプスであり、その主要メンバーであるラックス・インテリアとポイズン・アイヴィーに他ならない。またモンドとかホラーとかB級、C級の扱いを受けていた要素に価値観を与えた功績も大きい。
 クランプスに影響を受けたバンドは現在の日本にも沢山存在する。日本でガレージ・パンクの範疇に入る音楽をやっているバンドで、クランプスが嫌い、もしくは知らないなどというバンドは聞いたことが無い。そういえば昨年12月にRed Clothでロマーンズを見た時、ナツコ・ロマーンがクランプスのTシャツを着ていて、思わずニヤッとしてしまったのを思い出した。
 70年代のニューヨーク・パンク・シーンを飾った重要人物がまたひとり鬼籍に入ってしまった。ロックンロールもだんだん歴史上の出来事になっていくようで寂しい。