Dancing with Mr. D



 今日はボブ・ディランさんの誕生日だそうだ。66歳だとか。冷静に考えるとすげーな。
 そのボビーさんが若かりし頃のドキュメンタリー映画『Don't Look Back』のDVDが発売になったので早速購入した。2枚組の限定版と、1枚ものの通常版があり、限定版はアマゾンやHMVのネット通販では、ゴールデンウィークが明けるか明けないかの頃には完売していた。もしや店頭には並ばないのではないかとヒヤヒヤしたが、無事手に入りホッとしている。
 まず本編であるDisc1を鑑賞。以前から輸入盤のビデオは持っていたので、見たことはあったのだが、字幕入りで見たのは初めて。なるほどそういうことを喋っていたのかと今になって知ることの多さよ。
 知らない人は少数派だろうが念のため解説しておくと、65年の英国ツアーを追ったもので、あのニューポート・フォーク・フェスにポール・バターフィールド・ブルース・バンドを従えて登場し、物議を醸す数ヶ月前、フォークギターの弾き語り時代の最後の姿が収められている。この頃のディランは全身から才気を放っているので、ただそこにいるだけですこぶるカッコイイ。字幕が無くても充分鑑賞に耐えられるものではある。もちろん私のように英語に堪能でない者にとっては、字幕は無いよりあった方がありがたいのだが。
 限定版にのみ付いてくるDisc2は未見。これは明日吉祥寺のバウスシアターで上映されるので、そちらでまず見てくる予定。


 ディランですっかり盛り上がっているところへ、米アマゾンへ発注していたエルヴィス・コステロのボックスセットが届いた。先日ここで触れたHip-Oからリイシューされた初期作品12枚組である。結局注文してやんの。
 今都内の輸入盤店には、バラ売りされた各アルバムが入荷しており、店によって売値は異なるが、1枚あたり1,700〜2,300円ぐらいで売られている。しかし限定と触れ込みのボックス仕様はどこにも見当たらないし、米アマゾンなら同時発売の『The Best Of Elvis Costello』を合わせた全13枚で、送料を合わせても17,000円ほどだったので、つい…。
 アナログ盤の頃から散々聴いてきた作品ばかりなので、内容はよく分かっている。最大の興味はリマスターされたと言われている音がどの程度変わったかである。今日検証してみたのは『Armed Forces』。各パートがかなり極端な触れ幅でミックスされたアルバムなので、比較しやすいと思い選んでみた。
 聴いてみたところ、一応リマスターは施されているようだ。ただ音質が向上したかというと微妙な印象。比較のために聴いた、2002年に発売されたRhinoによる2枚組リイシュー盤の方がパンチの感じられる仕上がりで、好みの音だった。米アマゾンのカスタマー・レヴューでは「音は良くなっていない」と書かれており、そう取られても仕方はないかなという程度の違いでしかない。
 因みに2002年のRhino盤の日本仕様である、ビクター盤の音が悪かったことが判明し、別の点で発見があった。ビクター盤は今回のHip-O盤より特にドラムなどが弱々しく、貧相。恐らくマスターは同じものが使われたと思われるが、プレスされた国が違うために、差が出たということだろうか。2003年に発売されたビクターの紙ジャケ盤も同等だった。
 時間の都合で米Columbia盤、英Demon盤、日ビクターK2HD盤などは、まだ比較していない。俎上に乗せたのもまだ『Armed Forces』だけだし、他のアルバムではまた違う傾向があるかもしれない。そうした検証ができる楽しみを得たと思えば、17,000円なんて安いものだ。…と思う。きっとそうだ。多分そうだ。