Sing a simple song



 ゴールデン・ウィーク中は休みが2日あった。大晦日や元旦も出勤するような仕事をしているので、ゴールデン・ウィークごときではそうそう休めないのである。
 その2日のうち、1日は映画『ドリームガールズ』を見に行った。たまたま通りがかった近所の映画館で上映していることを知り、しかも上映開始15分前だったので、ふらっと入ってしまったのだった。これがとんだ三文映画でがっかり。ミュージカルを映画化したものということもあり、ストーリーは大味でバカでも分かる単純なもの。明らかにシュープリームスの歴史を下敷きにしており、60〜70年代のソウルシーンを舞台に、ステレオタイプの芸能界ドラマが展開されるだけだった。フィクションであることは分かっていても、ここまで陳腐化できることに唖然とした。むしろ伝記映画として作って欲しかった。


 GW中は天候にも恵まれ、世間が浮かれているのが通勤の電車に乗っていても分かった。普段通り働いている身に押し寄せる、何ともいえない疎外感を埋める意識が働いたのか、タワーレコードでスライ&ザ・ファミリー・ストーンの紙ジャケリイシュー全8タイトルを衝動買い。何しろ全作品リマスターしてあるって言うし、限定盤だし、と帰りの電車の中では言い訳が頭の中をぐーるぐる。同時に次の給料日までどうやって暮らすかの算段もぐーるぐる。
 スライに関しては、恥ずかしながらエピック期ですら聴いたことのないアルバムがあったりもした。ファーストと『DANCE TO THE MUSIC』と『SMALL TALK』がそれ。エピックを離れてからのアルバムも聴いたことがないけど、とりあえずこのくらいは押さえておかねばと前々から思っていたせいもある。満点になったポイントカードがあったため、全8枚が実質12,000円程度で買えたので、高い買い物ではあるまい。ちょうどタワーではダブルポイントのキャンペーン中だったから、またポイントが溜まったし。


 NHK教育テレビの「私のこだわり人物伝」の今月の放送は菊地成孔によるマイルス・デイヴィスである。先ほど、その第1回目を見た。実は先月中古のテレビを買った理由のひとつは、この放送が見たかったからでもある。
 1回25分の全4回でマイルスの生涯を辿らなければならないとあって、かなり駆け足の印象は受けたものの、菊地さんらしい論理的な解説で面白いものであった。しかし『GET UP WITH IT』を中学1年の時に聴いていたという話には嫉妬。私なんてあのアルバムを初めて聴いたのは28歳ぐらいだぞ。