Midnight Log

k_turner2006-12-21



◆映画『VIVA JOE STRUMMER THE CLASH AND BEYOND』を見てきた
 レイトショー上映中のシアターN渋谷にて。
 ジョー・ストラマーの生涯を辿る、1時間ちょっとのドキュメンタリー。その生い立ちから突然の死に至るまでを、関係者の証言を中心に構成されている。当然のこと、重点を置かれているのはクラッシュ時代のエピソードで、全体の3分の2程度が割かれている。挿入されるライヴ映像などは、どこかで見たことがあるようなものが多く(『RUDE BOY』からの流用が目立つ)、映像としては特に驚くような代物ではないが、ジョーと近しい関係にあった諸氏の発言はいちいち興味深い。
 ファンや友人から、マネージャー、そしてミック・ジョーンズやトッパー・ヒードンまでがジョーとの想い出を語る。さすがだなと思ったのは、数多く出演する関係者の誰ひとりとして、ジョーを悪く言う者がいないことだ。ジョーの死後制作されたものであること、またタイトルがタイトルだけに、ジョーを絶賛する内容になるのは当然なのかもしれないが、マンセーの連続なのに全くウソ臭くなく、説得力があるのは、ジョー・ストラマーだからだ。ジョン・レノンカート・コバーンでもこうはいかない。
 クラッシュの末期から解散後の長きに亘って、ジョーがアーティストとして低迷していたのは事実だが、それでも人格面が批判に曝されたことは無かった。ダーク・サイドが見えない人なのだ。良くも悪くも、それがジョー・ストラマーという人の本質だったのだと思うし、この映画はそれをちゃんと伝えている。
 最大の功労者はやはりミック・ジョーンズで、彼が時に涙ぐみ、時に照れくさそうに語る言葉の端々には、あまりにも美しい友情の絆が感じられ、感動的だ。ジョーが亡くなる1ヶ月ほど前に実現した、クラッシュ解散後唯一のジョーとミックの共演シーンを見ると、何も言えなくなってしまう。
上映は明日、ジョーの命日まで。(公式サイト)