日本には明治まで「責任」という概念はなかったそうです



 個人であれ、法人であれ、猫も杓子もブログを書いているなんてことは、今さら敢えて言うようなことでもない。私も巡回コースの中に多数のブログを登録していて、日々楽しませてもらっている。しかし、何のためにブログを書いているのだろうと疑問を抱くようなエントリーに出くわすことも珍しくない。本音で言えないことをわざわざ書いて、予防線が張ってあるようなケースだ。
 例えばこれサマソニの大阪会場へ行ったディスクユニオンの社員(?)の方が書いたもの。東京会場と、大阪会場の雰囲気の違いについて触れた部分で、

東京より人がゆっくりしてる。のんびり。
ほら東京だとライヴが始まりそうになると人が押してくるじゃないですか。
ああいうの全然ないよ。

でもどっちがいいとかそういう話では全然ない。

 最後の行を読んでイラっとするのは私だけでしょうか。他にも「文責:FH」とか「特にライヴ・レポートは極めて個人的な感想です。その点ご了承ください。」とか、予防線の多さにイライラ。ネット上には何とか揚げ足を取ってやろうと手薬煉引いて待っている暇な方々が跋扈しているので、そういう人の標的にされて炎上するのを恐れているのだろうが、標的にされそうだと予想できるようなことをわざわざ書いて、予め逃げ道を用意するぐらいなら最初から書かなければいいと思う。炎上した場合、イメージを損なう恐れのある企業ブログの場合は特にそうだが。
 企業が開いている販促、宣伝用のブログで書く以上、いくら個人の責任において書いているといっても、問題のある内容が書かれていた場合はその企業にも責任が問われるのは当然だろう。だとすれば、公の立場である企業のブログ上で書くのに相応しい内容かどうかぐらい先に精査しておけばいいのだ。逆に個人のステイトメントを強調するぐらいなら、最初から個人ブログで書けよと。
 ブログが販促ツールに使えることは多くの企業が認めていることで、だからこそ企業ブログも花盛りであるわけだが、個人と法人の立場の違いを明確にしないまま公開していると失敗することが多いように思う。昨年のソニーウォークマンブログの件など良い例だ。従業員なりが個人の立場で企業ブログ内に書くことによって、ユーザーに近い視点でのエントリーとなり、企業に対する親近感が湧き、販促上の効果もあると踏んでのことかもしれないが、線引きするところはちゃんと線引きしておくべきだろう。
 因みにこのブログ、「サマーソニック06行ってきました!!【前編】」では、ぼやかしているものの、どう考えてもダフ屋からチケットを買って入場したとしか思えない記述がある。だからそういうことは、例え事実であっても書くなって(笑)。