In another land

k_turner2006-03-20



ストーンズ、公演に先立つ来日会見を速報レポ!

──約40年のバンド活動の中で、とくに楽しかったことは?
ミック:今年2月にリオデジャネイロコパカバーナ・ビーチでやった無料コンサートは素晴らしかったよ。200万人の前でショウをしたんだけど、ショウが終わった後に観客の様子が見えたときには、本当にすごいと思ったね。あとは、(今年2月に開催され、テレビ放送を全米で1億人以上が観た)スーパーボールのイベントも楽しかったけどね。

 この40年の思い出を問われて真っ先に出てくるのが2月の出来事か…。それ以上昔のことはもう覚えてないのだと思われ。
 合同記者会見なんてものは言わば顔見せが第一目的であって、シリアスな質問などしても適当にかわされてしまうし、下手すると会場の雰囲気をぶち壊しにするから、当たり障りのないようなことしか聞けないのだろうけど、それにしてもどうでもいい質問が多いな。

ミック:日本でのツアーは本当に楽しみにしていたんだ。なぜなら、今回は多分水曜の東京ドームで、通算100万人目のストーンズ来日公演のお客さんが来場する予定だからね。だから、それはとくに楽しみにしているよ。それに、札幌にはこれまで行ったことがないから、それも楽しみだね。もちろん、名古屋のみんなに会えるのもうれしいよ。

 100万人目の来場者ってどこで数えるんだ?東京ドームの入口は何箇所もあると思うが。まあ、この辺は集客が伸び悩んでいることを意識しての発言かな。先日触れたように特に札幌の動員はガタガタになりそうで、そういう場合のストーンズの演奏は思いっきり手を抜いた内容になるか、ヴゥードゥー・ツアーの時の福岡のように異様にテンションの高いものになるか、どちらかだ。前者の可能性は高いにしろ、いずれにしても通常とは違うものになるような気がする。それを考えると札幌まで飛ぼうかなという考えが頭をかすめたが、調べたところ羽田−札幌間の往復航空券が45,000円程度、チケット代がS席なら18,000円、その他宿代など諸々含めると70,000円以上になってしまう計算で、これではフジロック3日間へ行くのとほぼ変わらないことが分かり、断念。年に2回もフジロックへは行けないのである。
 それどころか私はまだ紙ジャケ再発盤も買えていないのだった。端からフルセット大人買いなんてことは考えていないけれど、せめて『Their Satanic Majesties Request』だけでも入手しておきたい。もちろんこのアルバムが3D仕様の特殊ジャケットであることがその大きな理由だが、作品としても非常に好きなアルバムだからだ。60年代の諸作の中でも個人的にはトップ3に入れていいアルバムなのだ。
 常々私は『Their Satanic Majesties Request』がストーンズのアルバムで最も過小評価されている1枚だと思っている。『Sgt. Pepper』の二番煎じと言われるのは致し方ないところではあるものの、サイケデリック・イヤーであった67年当時は『Sgt. Pepper』の二番煎じなんて掃いて捨てるほどあったのだから、それを理由に批判するのはフェアではない。そもそも『Sgt. Pepper』だってサンフランシスコのフラワー・ムーヴメントの影響無しには存在しえなかったアルバムではないか。ストーンズ史においてはその後シンプルなロックンロールへと路線変更し、『Beggars Banquet』、『Let It Bleed』という傑作を連発しているため、尚更『Their Satanic Majesties Request』が失敗作であったような印象を与えてしまっているが、ストーンズの作品であることと切り離して、ガレージ・サイケのアルバムとして聴けば『Their Satanic Majesties Request』だって侮れないアルバムだと思う。この当時のメンバー(チャーリーを除く)は実際にドラッグ禍に陥っていたこともあり、アルバム全体に強いアシッド感が漂っている。サイケ度で言えばむしろ『Sgt. Pepper』を上回るのではないか。67〜68年にかけて発売されたサイケの名盤と言われるアルバム、例えばイギリスのバンドの作品で言えばトゥモロウの『Tomorrow』、プリティ・シングス『S.F. Sorrow』、デヴィアンツ『Ptoff!』、ホリーズ『Butterfly』などと比較しても全く遜色の無いヘロヘロ感が味わえる上に、充分にポップである。