Sunny afternoon

k_turner2006-02-25



 朝から病院へ。今日は診察はなく、検査だけ。そのため待ち時間がほとんどなく、トータルで20分ほどで済んでしまった。病院まで行くのに1時間以上掛かるので、何だか損した気分。
 以前にも書いた通り、今服用している薬は特殊なものなので、病院には専属のコーディネーターがいて、服薬や各種検査のスケジュール、日常の過ごし方までいろいろなチェックと指導を受ける。コーディネーターの女性とは入院期間を含めて頻繁に顔を合わせているので、治療とは関係の無い雑談も結構交わすのだが、今日はふと漏らした一言からシビアな話題に発展してしまい、後悔。私の私生活及び将来に関して心配させることになってしまった。確かに3ヶ月先のことも分からないような日々なので、大人として立派に生きているとは口が裂けても言えないが、本人は案外暢気に暮らしている。ただその根拠無き楽観が他人の目からは理解できないのだろう。相手が真っ当な社会人であればあるほど、そうだと思う。
 病院を後にしてからも、我ながら「こんなことで良いのだろうか」と落ち込んだりもしたが、本人さえ良ければ全てはオーライだよな、と気を取り直す。便利な性格である。
 帰路、新宿に近づいた時にちょうどタワーレコードが開店する時間であることに気付き、途中下車。この週末はダブルポイントキャンペーンをやっていると聞いたので、都合が良い。貧乏しているのと、通院の時ぐらいしか出かける機会がないことから、新宿のタワーへは今年になってまだ来ていなかったと思う。土曜日でも開店直後はまだ客足もまばらで、試聴機も使い放題なのが良い。
 8階、9階、10階をそれぞれ30分ぐらいずつ徘徊してRay Davis『Other People's Lives』、This Heatのファーストのリマスター再発、Trojanから出たGaz Mayall編集による『Gaz's Rockin Blues Club Classics』の3枚のCDと、Kinksが表紙のMojo誌を購入。久しぶりに散財した。この程度でも私にとっては散財なのだ。
 まだ1回しか聴いていないので、評価を下すには尚早かもしれないが、Ray Davisのソロは聴き応えのある好盤との印象。いかにもプロ・トゥールズを使った感触のサウンドがやや胃にもたれるのと、Dave Davisのギターが恋しいことを除けば、RayおよびKinksファンなら歓迎すべきあのメロディが楽しめる。例によって歌詞もひとくせ、ふたくせありそうだ。
 ボーナス・トラック1曲のために日本盤を買ってしまったが、ライナーノーツには苦笑するしかなかった。松村雄策によって書かれたそれは、相変わらず時間が止まっているようだったからだ。4000字ぐらいあるライナー中、作品の具体的な内容に触れているのは200字程度。それも単なる印象を述べているに過ぎない。残りは思いつきと回想に基づくRay Davisに関する与太話で、関連資料を調べたり、裏づけを取ったりはしていないようだ。故に「〜なのだろうか」「〜かも知れない」「〜らしい」という語尾が頻出する。この人にしか書けないであろう部分はRay Davisに都合5回会ったことがあるということだけ。ただの妄想と自慢話に収束することしか読めないのに、「解説」と銘打たれているのである。この人の文章は10年ぶりぐらいに読んだけど、この芸風で今も執筆を続けているのは、ある意味尊敬に値する。続けられるだけの需要はあることになるのだから。
 尤も本作にはRay Davis本人による自筆ライナーがあり、作品が生まれた背景や制作過程などはそちらでたっぷり読める。日本盤にはその訳も付いているので、英語が苦手、もしくは訳すのが面倒だという向きには日本盤はありがたいだろう。