ボク、ゼンカもん

k_turner2006-01-23



 夜9時前に帰宅し、ネットで堀江逮捕を知る。驚いてテレビを点けて、テレビ朝日、TBSの報道特番、10時からのNHKニュース10、11時からのテレビ東京WBSなどをリモコン片手に見た。
 経済的に影響の大きい事件ではあるので、テレビ局がレギュラー番組を差し替えて特番を組んだり、レギュラーのニュース番組で大きく取り上げることは理解できるものの、その扱いを見ているとホリエモンが可哀想になってきた。検察から拘置所へ移送されているところなんて、わざわざ中継しなくてはならないほどのことか?ヘリコプターを飛ばすだけでも大変な費用が掛かっていると思われるが、単に身柄が移されるだけのことではないか。強盗殺人でも犯した凶悪犯ならいざ知らず、ついこの間までテレビを始め、メディアに頻繁に出ていた人物なのだから、姿形は誰でも知ってる。移送車の外からホリエモン本人の姿が見えないことぐらい予め分かっているだろうに、大慌てでカメラを切り替えたりして、レポーターは絶叫しながら中継して、結局車が通過する映像が流れただけだ。バッカじゃねーの、と思いながら見ていた。
 去年のニッポン放送買収騒動以来、マスメディアはホリエモンを苦々しく思っていたそうなので、今回の件は鬼の首でも取ったかのように、そら見たことかと囃し立てるのだろう。私個人は別に堀江を支持するつもりはないし、むしろ気にくわない(年下のくせにという僻みを含む)奴だと思っていたが、こう悪意ある報道が続くと同情したくなってしまう。
 報道によると、今回の逮捕の容疑は「証券取引法違反」だ。具体的には「偽計取引」と「風説の流布」の2点に容疑が掛けられている。家宅捜索が入ってからわずか1週間後のスピード逮捕には多くの人が驚いたように、この手の経済事件の場合、立件に時間が掛かるのが常で、2〜3日前の報道でも「立件は早くて2月」とも言われていたぐらいだ。株式市場の混乱を早く収束させるためにも、早めに逮捕したと見た方がよく、まだ容疑の固まっていない余罪が出てくる可能性は高いと思うが、とりあえず「証券取引法違反」によって起訴され有罪となった場合、ホリエモンがどうなるかというと、

第158条 何人も、有価証券の募集、売出し若しくは売買その他の取引若しくは有価証券指数等先物取引等、有価証券オプション取引等、外国市場証券先物取引等若しくは有価証券店頭デリバティブ取引等のため、又は有価証券等の相場の変動を図る目的をもつて、風説を流布し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫をしてはならない。

 これが証券取引法の規定。これに違反する場合の罰則は、

第197条 次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(中略)
7.第157条、第158条、第159条第1項若しくは第2項(これらの規定を同条第4項及び第5項において準用する場合を含む。)又は同条第3項(同条第4項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

 とあるので、最悪でも「5年以下の懲役」と「500万円以下の罰金」のダブルの罰を受けるだけだ。ただし過去の判例では158条の違反で実刑判決が出たことはないようだ。つまり執行猶予が付くということ。繰り返すが、あくまでも現在容疑の固まっている「証券取引法違反」で裁かれた場合の話。
 法を犯したのだから犯罪者には違いないとはいえ、この程度の罪に問われた(まだ起訴されたわけでも、刑が確定したわけでもない)人間を、極悪人のように報道するのはどうだろう。
 ライブドアショックによって大損害を被った個人投資家(例えばこの人)は気の毒だとは思うが、投資とはリスクが伴うもので、今回はそれが極端に現れただけのことだ。毎日ストップ安を繰り返すライブドア関連銘柄ホルダーの方々は、腹をくくるなり、首をくくるなりすれば良い。よく言われる「株は自己責任」ってやつだ。残酷かもしれないが、資本主義とはそういうものなのだ。
 明日の株式相場はまた全面安の展開ではないかと思われるが、ライブドアショックから1週間しか経っていないので、ライブドア関連銘柄ホルダーもそれなりに処分を済ませているだろうし、底値だと思って買いを入れているバクチ好きな投資家もいないであろうことを考えると、限定的な下落ではないかな。外国人投資家の参入は当面増え続けるようだし、個人投資家も今回を機に退く人と、逆に参入する人とを比較したら、後者の方が多いような気さえしている。株価上昇のトレンドはそう簡単に崩れないでしょう。
「倫理観なき自由経済は破滅」=ライブドア事件で−御手洗次期経団連会長
 だーかーらー、それは理想なのでしょうが、現実的には破滅に向かってまっしぐらであって、最早手遅れでしょう。バブル崩壊後の長い長いトンネルをやっと抜け出せそうな状態にできたのは、その倫理観なき自由経済の結果なのだから。