さあみんな、あの(沈む)夕日に向かってダッシュだ!!

k_turner2006-01-18



東証が全銘柄の売買停止、注文激増で処理能力限界に
18日概況(大引)大幅続落、全面安で取引停止
ライブドア問題、市場揺るがす=東証が前例ない取引全面停止
ライブドア株、連日のストップ安=関連銘柄も売り気配−東京株式市場
ライブドア本体も「偽計取引」=2社買収発表時、既に傘下−証取法違反・東京地検
ライブドア黒字14億円偽装か 粉飾決算の疑い
ライブドアの上場廃止を示唆…東証・西室会長兼社長
アジア株市場にも影響=軒並み下落
 ライブドアショックは証券史的にも記憶されるべき大事件となりそう。
 それにしても不思議なのは、どうしてこのタイミングで検察の捜査が入ったのかということ。単純に考えれば、ヒューザーの小嶋社長の証人喚問の日にぶつけることで、ヒューザー自民党中枢部との癒着関係に対する世間の関心を逸らそうと企んだのではないかとの疑いにぶつかるが、元々この日は阪神淡路大震災のメモリアルデイであり、宮崎勤最高裁判決日でもあって、メディア的には他にも取り上げる事柄が多く、報道が証人喚問一辺倒になるとは言い難い。それでももっと大きな話題をぶつけなければならないほど、自民党は怖気付いていたのだろうか。
 しかしホリエモンに捜査のメスを入れることで、小泉政権への批判材料を野党に与えることになる。去年の総選挙で無所属どころか公認候補ですらない堀江を、郵政民営化反対の急先鋒である亀井静香の選挙区に送り込み、武部や竹中が応援に駆けつけたのは記憶に新しい。さらに、立件こそされていないもののライブドアが家宅捜索を受けたとなれば、株価下落は必至。昨年の総選挙後、日経平均は急速に回復し、今年に入ってからも連日のように値を上げていたところだったし、小泉など何故か訪問先のトルコで「任期中のデフレ脱却を目指す」と発言したばかりだったのに、敢えて今景気の上昇機運に水を差すようなことをする必要はない。
 自民党の立場から考えれば、メリットよりデメリットの方が大きいとしか思えない。実際の証人喚問が証人喚問として成立しないほどの証言拒否の嵐で終わった後では、なおさらそう思う。
 検察が動くからには何らかの思惑、裏事情、そういったものが絡んでいるはずだ。ホリエモンの経営手法が、政界、財界問わず、特に古い体質の人々の間で苦々しく思われていたことは想像に難くない。明らかな不快感を示した人は今までにもたくさんいたし、多分今でも思っている人は少なくないだろう。「出る杭は打たれる」のことわざがあるこの国で、何とか挫かせてやろうとてぐすね引いて待っていた人間は大勢いたのだろうな。ある種の見せしめとしてホリエモン潰しに出たと見るのが、一番収まりが良い。
 昨今の株価上昇は80年代後半のバブルと同じだとする捉え方もあって、経済実態とそぐわないものだと言う人もいる。私個人はそこまで言い切る材料を持っていないのだが、確かにそう見る人がいても不思議ではないほど株価は上がっていた。この株価上昇の背景には、いろいろと報道される通り個人投資家の存在が大きく関与しており、給与所得が増えない、年金ももらえそうにない、庶民たちが資産を増やすべく株式市場に参入してきた結果だ。その引金となったのがライブドアを中心とした一連の買収騒動であり、ホリエモンの言動である。
 ホリエモンを吊るし上げることは、即ち急増する個人投資家に冷水を浴びせることにも繋がる。今回のライブドアショックは、マネックス証券ライブドア関連企業の株式を、信用取引の担保と認めないと発表したことから、個人投資家追証回避のため売りに走ったことで、さらなる波紋を広げたのだが、いずれにしろ検察の家宅捜索に端を発し、結果的に蒼ざめることになった個人投資家はごまんといるはずだ。
 株はマネーゲームとして運用するものではなく、会社の実績に見合った株価を付けるべきで、短期的な売買で利益を狙う個人投資家への警鐘としてのホリエモン潰しなら、理解できなくはない。タイミングとしても良い頃合だったのではないかと思う。しかし世間の拝金主義傾向を招いたのはホリエモンだけの仕業ではなくて、その何年も前から政治家のセンセイ達だって「金が全て」だと行動で示していたのを庶民が知らないとでも思っているのだろうか。平均的な日本人なら生活していく上で困らない程度には物資に恵まれているので、良い物を作れば売れた時代はとっくに終わっている。リストラとIT革命によって人材コストは削られるだけ削り取られ、フリーター、派遣社員は増加の一途だ。辛うじて仕事に就けても給与のアップは望めない。高齢化が進むことで医療費、社会保障費は増大するので、若い世代の労働意欲は低下するばかりで、さらに少子化に拍車がかかる悪循環も起きている。将来に希望の持てない社会を作っておいて、今さら「額に汗して働く尊さ」を説いたところで説得力は持たないだろう。
 ライブドアが立件され、ホリエモンが逮捕され、一時的に証券市場が冷え込むことになっても、個人投資家の増大傾向は変わらないだろうし、いずれ第二、第三のホリエモンも登場すると私は思う。映画「Always」あたりに象徴されるように、高度経済成長期の日本を賛美する風潮もあるが、あのような時代に戻すには、もう一度戦争でもやって、ゼロからやり直すしかないだろう。Σ (゚Д゚;)ハッ、もしかして昨今の改憲論の狙いはそこにあるのか?