貧困撲滅デモを呼びかけるゲルドフ



◆しつこくLIVE 8の話題
 東京会場の出演者にDo As Infinityが追加されて、何だかよく分からないものになってきたLIVE 8だが、オフィシャルサイトには「追加の参加アーティストは、オフィシャルサイトにて順次発表されていく予定。」と出ているので、まだ追加があるのだろうか。
 それにしてもこのイベントが世間的にまるで話題になっていないのは、何故だろう。今回イベントを開催する主旨は募金によるアフリカ支援ではなく、G8首脳への意見行動であって、世論が高まらないことには目的を達成したことにならないのだ。これが20年前のLIVE AIDと違う点。
 例のYahoo!ミュージックでのアンケートは、9099票を集めたところで締め切られたようだ。その結果を引用。

「ライブ8」が東京でも開催。あなたは?
                 2005年06月25日より 計9099票

とても興味がある           11% 970 票
興味がある                8% 721 票
あまり興味がない             6% 492 票
興味がない                6% 469 票
なにそれ?               71% 6447 票

 25日に触れた時から票数が伸びただけで、集計内容はほぼ変わらず。7割の人がイベントそのものを知らないのだ。9000票のデータだからある程度信頼できる結果と言えるが、それがこれなのである。
 思うに、まず現在の日本において貧困にあえぐアフリカがリアリティを伴う問題とは捉えられていないことが、盛り上がりに欠ける原因になっていることは否定できないだろう。国内にも近隣アジア諸国との間にも、問題が山積みになっている現在、遠いアフリカのことは後回しになってしまうのはやむを得ない部分もある。LIVE 8のオフィシャルサイトにあるように、「3秒に1人の子どもが命を落として」いることを頭では理解していても、新潟や福岡の地震の被災者の方が現実感があるし、もっと言えば日々の自分の暮らしに直接関わってくるリストラだの増税だのカード情報の漏洩だのの方が問題としては深刻だと考えるのが人間である。
 次に音楽イベントとしてのLIVE 8を考えた時、例えばROCK IN JAPAN FES.とかフジロックとかのように、出演者から音楽的なある程度の共通項を見出すことは難しい。東京会場のラインナップはそれぞれに名の通ったアーティストばかりではあるが、この出演者全てのCDを日常的に聴いている人は恐らく1人もいないだろう。音楽の好み、ジャンルの細分化が進んだ結果、「顔見せ興業」的なイベントに豪華さを感じなくなっているのだ。これは去年のROCK ODYSSEYにも言えること。有名アーティストが揃い踏みしさえすれば、それぞれのファンの抱く期待が相乗効果となって現れるかというとそんなことはなく、知名度が即ち音楽的な期待には結びつかない現実がある。20年前LIVE AIDが開催された時、私は地方在住の高校生でごく普通の音楽ファンであったが、あの時ロンドンとフィラデルフィアに出演したアーティストたちは大抵知っていたし、代表曲の1〜2曲も知っていた。ところがLIVE 8で東京会場に出演するアーティストでちゃんと聴いているのはビョークだけだ。J-WAVEを聴いていれば耳にタコができるほど聴かされるDef Techを除けば、他の出演者の最新ヒットは何かと聞かれても答えることができない。Good Charlotteのファン、RIZEのファンなど、それぞれがビョークの部分と置き換えて同じことを思うのではないだろうか。
 そう考えると現代において音楽イベントを開催することで社会的な行動を起こすことの難しさを痛感する。WOODSTOCKに「愛と平和と音楽の3日間」のコピーが付けられたのは、当時のアメリカ社会にベトナム戦争という深刻な問題があり、それに抵抗する意思表示としてのイベントであることが人々の間にコンセンサスとして浸透していたからである。現代日本の共通した問題でないからと言ってアフリカの惨状から目を背けて良いことにはならないのだが、LIVE 8にどれほどの意義があるのか私には分からなくなってきた。


サミットへ協力約束=日英首相がテレビ会談
 一方でこんなニュースも。

 小泉純一郎首相は27日午後、首相官邸でブレア英首相とテレビ会議方式で会談し、来月6〜8日に開かれる英グレンイーグルズ・サミット(主要国首脳会議)の成功に向け、日英両国が協力していくことを確認した。
 席上、ブレア首相は、議長国として気候変動問題とアフリカ支援を主要議題とする意向を示し、「アフリカ支援では実のある包括的な合意を図りたい」として日本の協力を要請。小泉首相は、地球温暖化防止に積極的に取り組んでいることを説明するとともに、「今後3年間でアフリカ支援を倍増する。保健分野での支援も強化する」と応じた。 
                    (時事通信) - 6月27日21時1分更新

 金さえ出せば良いというものではないし、それが現地でどう使われるのか、復興のための本質的な支援になるのかなど、実行されてからでないと評価できないことは多い。小泉の安請け合いの可能性だって充分ある。ただし明るいニュースであるとは言えそうだ。今度のサミットでアフリカ支援が主要議題になっていること(尤もブレアは議長国としてイラクなど中東問題には触れたくないため、これを議題に選んでいるとも考えられるが)も確認できたわけだし。