後悔する前に言っておこう

REMEMBER 6月3日



「知的財産推進計画2004」の見直しに関する意見募集の締切りは明日!!
 もしかして忘れてはいないか?私は忘れていたぞ。そう、1月1日から例の輸入権が施行されているのだ。国内盤が発売されているタイトルと同内容の海外盤の輸入販売が規制されるという法律によって認められた権利だ。現在のところその対象となっているのは、EXILEの『SINGLE BEST』『SELECT BEST』のみ、つまりアジアからの還流盤に限定されているが、その対象が一般的な欧米をはじめとした各種輸入盤に拡大されないという保証はどこにもない。現行の著作権法ではそれが可能なのだ。
 そんな横暴を許す前に、現在首相官邸のHPで行われている『「知的財産推進計画2004」の見直しに関する意見募集』にぜひ応募しておこう。首相官邸と言っても今回はずい分敷居の低いものになっている。以前文化庁が募集していたパブリックコメントと比較すると何とも簡単だ。
 このページにある電子メール用の意見提出書式を開いて、フォームに意見を記入した後、送信ボタンを押すだけ。名前や住所は必要ないし、ひとりで何回応募してもOK。セクションとしては文化庁より上にある首相のところに届く意見なので、ここに届いた声が首相の一言で採用となる可能性も無いとは言えない。それに民主主義を建て前とする日本の議会政治制度においては、「多数決」は強いのだ。数が集まればそれなりに効力を発揮するはず。
 「知的財産推進計画2004」がテーマなので、それに関連していれば何でも良い。例えば私は次の2つの意見を送った。

1月1日より施行された改正著作権法に盛り込まれた、所謂「CD輸入権」(第113条第5項)の見直しを求めます。
この法律によって海外で発売されたCD、レコードのうち、同一内容とみなされる国内盤が発売されているタイトルは、発売から7年を超えない期間は輸入販売ができなくなりました。この法律はアジア各国で発売されている日本のアーティストの作品が、安価な輸入盤として国内に還流し、国内の音楽市場を荒らすことを防止することを目的としたものとされていましたが、実際は主に欧米のアーティストの作品の輸入盤(国内盤として発売されているCDよりずっと安く供給されています)の流通を阻止することも可能な内容として可決成立しました。附帯決議には「還流盤に限り適用する」旨が盛り込まれましたが、拘束力が無いため、事実上あらゆる輸入盤に対しての規制ができます。
この法律の運用によって、国内のレコードメーカーは、世界的に見ても極めて高い価格設定によるCDの値段が再販制度により守られ、さらに安価な輸入盤が国内市場に入ってくることを防ぐことが可能であるため、適正な価格競争に晒されないという二重の保護を受けていることになります。
音楽は文化であり、CDは消耗品ではないとする考え方は充分理解しますが、過剰な保護を受け高コスト体質が改善されない現在の音楽産業界では、大量宣伝、大量消費を良しとする作品が量産され続けるだけです。また海外盤の輸入に規制がかかることで、少量ながらも輸入されていた国内発売されない海外作品の流通の道も狭まり、日本人が多種多様な文化に触れる機会を奪います。
音楽に限った話ではありませんが、或る文化は異なる文化と交流を持つことで新しい文化へと発展していきます。またさまざまな選択肢があることが、文化的に豊かであることに他なりません。日本の音楽文化を鎖国状態に置き、国民に不当に高い国内盤のみを買わせようとする現行著作権法の早急な見直しをお願いします。

「コンテンツ流通市場の発展に向けて」
現在、米Apple社が行っている音楽ダウンロード販売サービス、iTunes Music Storeは世界15カ国で展開され、今年1月24日現在で2億5000万曲の販売を達成したとの報道がなされています。(参考URL:http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0501/25/news012.html)
これだけの支持を集めるサービスが、音楽産業で世界2位の市場規模を持つ日本では今もって開始時期すら見えていない現状はいかにも不自然です。その前には国内で既に開始されているダウンロード販売ビジネスが軌道に乗っていないことが無関係とは思えません。ユーザーにとって魅力の無いコンテンツやサービスしか提供していない国内企業が、同じ土俵に立てないほど魅力あるApple社のサービスを前に怖気付き、黒船の到来を阻止しているからではないでしょうか。
特定の企業のサービスを国が推進することは不可能とは思いますが、このような状況を許している国内音楽産業の体質、ならびに閉鎖性を、国として監視、指導していく必要性を感じます。音楽ダウンロード販売サービスが国内でも開放され、海外並みに普及することで、日本の音楽文化の輸出の道も開けるはずです。
国内にも海外と同程度の音楽ダウンロード販売サービスが定着するよう、国としての検討を求めます。

 もちろんこれは私個人の意見なので、みなさんが送る場合の内容は自由。もっと単純に「輸入権なんてさっさと撤廃して」とか「CDの再販制度は廃止するべきだ」とか、ほんの一言だって大丈夫でしょう。このページなど参考にして、ひとりでも多くの方が意見を送られることを望みます。せっかくの機会を無駄にするな。