k_turner2005-02-09



 7日の日記で「熱はまだ下がらない様子」なんて書いているが、とんでもねえ。今回はそこからが本番だった。7日深夜から8日にかけて39度近い熱が出て死にました。今9日の午後10時過ぎ時点でやっと37度4分まで下がってきたので、多少楽に。
 うららか・びよりさんのところで見つけたこのサイトによると、一般的な風邪とインフルエンザの違いがよくわかる。私は先月も中旬に寝込んだのだが、あれはただの風邪だったのだろう。熱は37度6分ぐらいしか出なかったし。
 この2〜3日ですっかり浦島状態なので、何を今さらと思われるだろうが一応取り上げておく。
エロビデオ、盗撮写真まで“発掘” 目白ゴミ雪崩事件

 新聞、雑誌を自室に集積すること20余年、ついに床が重みに耐えかね崩壊し、部屋の主ごと雑誌の山に埋もれ、レスキュー隊に救助されるという珍事が東京・目白で発生した。部屋から雪崩のように流れ出した“蔵書”の山は約50メートルにわたり路上を占拠し、近所は大迷惑。底抜けだけでもトホホだが、エロビデオや盗撮写真も“発掘”され、恥の上塗りとなってしまった。

 この56歳市役所職員は確かに常軌を逸している。それが証拠に記事の書き方はこの男を完全にさらし者として扱っている。一般常識があればこんなことは起こり得ないとする物の見方は確かにあるだろう。でも私自身どちらかと言えばこの市役所職員に近い性癖の持ち主で、自宅はレコードとCDで溢れかえっている人間だから弁護させてもらうと、これは一種の病気であって、病気の前に常識なんてものは通用しない。事件後「捨てていい」と語ったことから分かるように、むしろこのような一大事によって強制終了される機会を待っていたのではないかと思う。
 最近読んだビニール・ジャンキーズビニール・ジャンキーズ という本には病的なレコードコレクターの異常な日常がわんさと載っていて、「他人事ではないなあ〜」と楽しく読んでしまった。中にはこの56歳市役所職員と寸分違わない人もいるのだが、コレクターであることを自覚した上で、目的を見据えた人であれば馬鹿者扱いされないという例もあることが分かる。
 NORTON RECORDS(音出ます)というガレージ・パンクのファンなら知らぬ者がいないレーベルを主催する、ミリアム・リンナの金言をこの男に捧げたい。リンナは同好の士であり夫であるビル・ミラーとレーベルを起こし、A-BONESなど自らガレージ・バンドを結成したり、ファンジン「キックス」も発行している人物である。

たぶん、わたしたちはおなじぐらい激しくとりつかれていて、おなじぐらい強く、クールなサウンドの素晴らしさを信じている。クールな音楽のファンでも、音楽が生活の一部ではなく、家へ帰ればそれで終わりという人もいる。わたしたちはそうではない。ふたりの生活は一日二十四時間、音楽を中心に回っている。まだ聞いていないレコードが山ほどあるし、いつだって探さなくてはならないレコード、調べなくてはならない事柄がある。出会って「キックス」を始めたころ、わたしたりふたりは、そしてほかの何人かの人たちも、いっしょになってわからないことを解明しようとしていた。どこかのバンドのメンバーだった人がいまは何をしているか、みんながとてもいいと思うレコードをどこで手に入れればいいか   そういうわたしたちにとっては重要なことを知りたかった。スクエアな人の考えを変えようなどとは思っていなかった。ただ、おなじものが好きな人たちと気持ちを通じさせたかっただけ。あのころのわたしは、フレイミン・グルーヴィーズのよさがわかる人をもっと増やしたいと思っていた。ビリーとの出会いはそんなふうで、そのころ知り合った人たちとはいまでも親しくつきあっている。

 ガレージ・パンクと称される音楽の知名度を上げた点でNORTON RECORDSの功績は大きい。文化的な貢献を果たしたと言ってもいいかもしれない。ただのレコードヲタクとの違いに気付かねばならない。と同時に私も襟を正さねば。
 まあ、何だ。私がその市役所職員に言ってやれることは、2階に住んだのは失敗だったなということだ。