k_turner2005-01-26



 珍しく職場の連中とめしを食いに行った折り、ふとしたはずみで「この間ライヴ・エイドのDVDを買ってさ…」と漏らしたら、同席した全員から「ライヴ・エイドって何ですか?」と聞かれてしまった。その場にいたのは33歳(♀)、29歳(♂)、27歳(♀)である。皆音楽に全く疎いというわけでもなく、33歳(♀)などはエミネムのライヴに行ったりもしているほどなのだが、それでも1985年当時そのようなイベントが開かれ、日本でもテレビ中継されたことを今日の今日まで知らなかったようだ。その当時は小学生〜中学1年生だからなあ。無理もないのかも。
 一応確認したところ、ライヴ・エイドの出演者で3人全員が知っていたのはマドンナ、エルトン・ジョンミック・ジャガー、クイーンのみ。デヴィッド・ボウイは29歳(♂)が知らなかったし、ポール・マッカートニーは33歳(♀)しか知らなかった。驚いたのは3人全員がホール&オーツを知らなかったことだ。でも「We Are The World」は何故か全員が「聴いたことはある」と言っていた。私は自分が思っている以上に年寄りなのかもしれない。
掟ポルシェによる書評『ギター侍の書』(松井 彰彦著) (ネタ元:「知ったかぶり週報」1/26より)

昨今、お笑いが「ブーム」だといわれるのは、老若男女幅広い層にアピールした結果だ。より多くの人々に受けるためにはお笑いにセンスなどを問うべきではなく、まず第一に「わかりやすい」ことが求められる。自己啓発本は「元気がないときは声を大きく出そう」「明るい表情が周囲を和ませる」などのわかりきった内容を、あえて大上段から言い切ることで安易な答と安心を与えるから売れるが、『ギター侍の書』も多くの自己啓発本と同じように、「誰もが知っている面白いこと」をメロディに乗せることで真新しい真理のように装飾し、大声で言い切り再確認させることで誰にでもわかる「面白さという安心」を与えているから売れるのだ。

 波田陽区のネタがくすりとも笑えない私は膝を打った。また波田陽区に限らず「あるある系」のネタしか披露しないタレントが多い理由もここにある。
 長期の不況からの出口は一向に見えてこないし、戦争放棄憲法があるのに自衛隊イラクへ行ってしまう。閉塞感と不条理に満ちた現代においては犯されるタブーはほとんど残っていない。あり得ないことだらけの現実を前に、毒舌を吐くことなどできないのだ。その代わり人々は「あ〜、そうそう」と共感できるものを求めているのだろう。かつてのタモリビートたけし、ギリギリでダウンタウン辺りまでが持っていた、良識ある大人を苛立たせる非常識によって提示される現実との差異を笑いにしていた時代は過去のものになったということだ。つまり波田陽区で笑えない私は感性の鈍い年寄りということになる。
 年寄りの戯言と思って聞いてくれれば良いのだが、先日の成人の日の翌日ぐらいの朝日新聞で、「新成人の尊敬する人物」の上位に波田陽区が入っていたという記事に愕然としたのは紛れもない事実だ。もし私の息子や娘(いないけど)がそんなことを言い出したら、情けなくって泣くと思う。そんなものより、9.11の直後に「よくぞやってくれました!!いよっ!!」とテロリストを手放しで絶賛した立川談志の方が尊敬できるし、面白いと私は思うのだ。


 今日もトップ画像は内容と関係なくNYLON。しばらくこのシリーズで無理矢理続ける。