午後から定期の通院。会社には戻る必要がなかったし、診察もいつもよりは早く終わった(とはいえ予約時間より1時間遅れたのだが)ので、六本木へ出て映画『ソウル・オブ・マン』を見てきた。来月発売のbeatleg誌の特集記事との絡みがあるので、ここで詳しくは書けないが、ブルースのドキュメンタリーとしての視点に新鮮さがあり、良かった。ロックが好きでブルースが好きな人は、例えばストーンズツェッペリンやクラプトンや、つまりブリティッシュ・ロックから遡ってたどり着くケースが大半だと思うし、私自身もその口である。そうするとどうしてもシカゴ・ブルースを重視しがちの上、ブルースという音楽を教条主義的に捉えがちだ。その視点には長短あり、一概に良いとも悪いとも言えないのだが、少なくとも『ソウル・オブ・マン』はロック寄りのブルース観に一石を投じるものだろう。ブルース好きなら一見の価値あり。
帰り道、話題の青山ブックセンター前を通りがかり、営業再開バーゲンをやっていたので「おー、これか」と立ち寄る。タイミング良く、ビル・ワイマン監修の『BLUES ODYSSEY』をバーゲン価格の2,000円で発見。資料にもなるだろうと思い購入。


◆琵琶湖はヒップ・ホップとレゲエで盛り上がってる(はず)!
夏場のフェスティバルは昔からあったとはいえ、フジロックの成功以来、郊外型のフェスティバルが文化として全国的に根付き始めていることを実感させる。
BIWAKO BIG BANG 2004
9/10びわ湖バレイにて開催。出演はライヴでZEEBRA, DABO, UZI, RHYMESTER, OJ&ST, M.O.S.A.D, 餓鬼レンジャーなど、DJとしてDJ KEN-BOら。ヒップ・ホップのイベント。
BIWAKO SUNFESTA 2004
同じ会場で9/11開催。出演はPUSHIM, RYO the SKYWALKER, FIRE BALL, GUAN CHAI, 湘南乃風, MIGHTY CROWNなどレゲエ中心のイベント。
滋賀県内では8/26にもBIWAROCK 2004 in 安土というフェスティバルが開かれており、こちらには10-FEET, HAWAIAN6, GELUGUGU, THE イナズマ戦隊, UZUMAKIなどが出演。その名の通りロックバンド主体のものだったようだ。
いずれのフェスも、これだけの面子が揃えられるなら地元は本より、近県やもっと遠い地域に住んでいる人まで巻き込んだ規模の大きなイベントとして開くことが可能だろう。私個人は行く予定もないのに、何故こうしたフェスについて取り上げているかと言えば、ひとつには音楽やフェスの文化が広く伝播することに期待しているからだ。BIWAROCKの感想、レポートを書いているブログを検索してみたら、こんなのが見つかる。筆者はおそらく滋賀県内に住んでいると思われる17歳の少年だが、彼はライヴに行ったのも初めてなら、モッシュやダイブも知らなかったらしい。地方だとこういう人が今でも珍しくないのだろう。私も10代を地方で過ごしたから似たような経験があるけど、これだけ情報が氾濫した現代でも地方の基本的体質はあまり変わっていないようだ。30代も後半に入ったこの歳で、相変わらず月に5〜10回ほどライヴへ行っている身としては、文化的なギャップの大きさに驚かずにはいられない。
もうひとつには経済効果の期待が挙げられる。フジロックで苗場へ行った時に地元の土産物屋の人に聞いたのだが、スキー場である苗場は、スキーシーズン以外は本当に人が来ないらしい。宿泊したところのすぐ側で店を開いていたそこのご主人は、「ロックが終わると後はサッカーの合宿ぐらいしかないからねえ」と言っていたし、フジの期間中は24時間営業だとも言っていた。他人事ながら大変なのだろうなと思う。スキー場と言えばバブル期は笑いが止まらなかっただろうが、今や冬でも集客が難しいと聞くし。
こういうフェスによって特に若年層の集客が見込めるのだから、フジほどの規模でなくても良いので全国各地でどんどん開けばいい。BIWAROCKなどは安土町商工会青年部の有志が主催しており、町おこしイベントの一環というスタンスもあるようだ。プロのイベンターとは違った手作り感覚が微笑ましい。あからさまに金目当ての匂いがするイベントはうんざりだが、フェスティバルの理念に反しない内容で、音楽的にも興味を引くものであれば、安土だろうがどこだろうが、必ず歓迎する音楽ファンはいるだろう。東京に住んでいるとこうした地方のフェス情報は案外入ってこないもので、それは宣伝不足によるところも大きい。地方と東京の両方に住んだ経験から言わせてもらえば、東京住民は他の地方の人より間違いなく行動的で、面白そうなことがあれば全国どこへでも、極端に言えば海外だって行く人が大勢いる。生き馬の目を抜く都会(笑)に住んでいると、そのくらいのフットワークの良さが無いと生きていけないからでもあるが、逆に言えば東京住民にアピールできれば集客はもっと期待できるのだ。フジロックや朝霧だけがフェスではないと言わせるぐらいの企画が続々登場してほしい。