日本レコード協会が7日付けで発表した声明「日本の洋楽ファンの皆様へ」
何コレ(笑)。「ご安心いただきますようお願い申し上げます」って安心をお願いされてもなあ。
それによく読むと綻びも見えるぞ。「「商業用レコードの還流防止措置」を導入する著作権法一部改正法案」という表現を未だに使っている小狡さ。正しくは「輸入権創設を盛り込んだ著作権法改正法案」だろう。還流盤の規制が本来の目的でないことぐらいもうみんなが気付いているのに。また、「一部の方々から「欧米諸国からの洋楽直輸入レコードが買えなくなるのではないか」との不安の声が寄せられております。」って直輸入に限らず並行輸入を含んだ全ての輸入盤に対して買えなくなるのではないかと我々は危惧しているんだってば。この書き方だと「直輸入盤は無くなりません」としか言っていないことになる。じゃあやっぱり並行輸入は規制する気なんじゃないか。
それにしてもこのタイミングでこの内容の声明では誰も「安心」などしないだろう。むしろ火に油を注ぐようなもの。頭が悪いとしか言いようがない。


高橋健太郎さんが出演したJ-WAVEの番組の内容を文字起こししたページ
この番組は聴けなかったので、有志の努力には誠に持って感謝する次第だ。この問題について全く知らない人にも分かるようにと工夫された内容で、非常にすっきり整理されているので読んでみて改めて怒りが湧いてくる(笑)。
昨日の話の続きだが、仮に100%メーカーの意思で価格設定ができる直輸入盤は従来通り買えるとして、それでも値段が上がるのは必至だから困るというのはあるが、それはひとまず置いておいて、直輸入盤にしても今までと同じだけのタイトルが店頭にちゃんと並ぶかというとそれはマイナーなものほど現実的には困難になることは予想できる。小さなインディーレーベルの作品はマニアックなジャンルも細かくチェックしている平行輸入業者やディストリビューターのお陰で日本に輸入されているからだ。大型の輸入盤店には置いてなくても、新宿や渋谷の専門店なら入荷しているレコード、CDは山ほどある。そういうものが入りにくく、下手をすると全く入ってこなくなる可能性はあるだろう。グロスの上がる売れ筋商品で稼ぐことで経営を安定させ、あまり儲からないけどマニアックな作品も仕入れている平行輸入業者だっているはずだ。
そう考えるとこの法案が可決成立した場合、来年1月からすぐにではないとしても、業者が体力を維持できなくなってくる1〜2年後にはショップの品揃えはずい分貧しい構成になっていることは充分考えられる。それは明らかに文化の衰退だ。
先のシンポジウムのサブタイトルが安い輸入盤が買えなくなることを強調せず、「選択肢を保護しよう」としていた理由がやっと理解できた。私もレコード協会並みに頭が悪いようだ。