天気が良かったのでカメラを持って近所の多摩川沿いまでサイクリング。昨日の雨風で散ってしまったかと思っていた桜は案外残っていて、ほぼ満開の状態の樹も目立つ。この辺は都心より3〜4日程度桜前線の通過が遅いようだ。今年は桜の開花が早かったのと、その時期はバタバタしてたので花見の計画も立てられなかった。その分今日の桜を満喫。宴会は出来なかったが、いい写真が撮れた。
この堤防沿いは普段からジョギングや犬の散歩などを楽しむ民間の方々でにぎわっているのだが、それに加えて花見客もどっと繰り出しているから大変な人出だ。郊外の住宅地ということもあって、大抵は家族連れ、それも2〜3家族合同で宴会というパターンが一番多いようだ。くそー、どいつもこいつも小市民的幸福を手に入れやがって。私があの光景の中に溶け込むことは生涯無いのだろうなと思ったら、暗い気分になってきた。仕方ないので昨日買ったキュアーでも聴くかと帰宅。
ところが自宅アパートでは、上の階でリフォーム工事が始まったらしく、ハンマーやのこぎりの音がひっきりなしに響いてうるせーの何の。たまの休みに何してくれるんだよ。私から音楽を聴く楽しみを奪うんじゃねーーーっ!!


2ちゃんねるやあちこちのブログサイトで2〜3日前から輸入権創設問題の話題が取り沙汰されている。今の時期になって盛り上がりを見せている背景には、3月8日に提出された「今国会提出の著作権法の一部を改正する法律案に於ける「商業用レコード」の定義と法律の適用範囲に関する質問主意書」に対する答弁書が30日に小泉首相名義(実際に書いたのは文化庁の役人)で出されたことがあるようだ。その答弁書の内容はここにあるので参照されたし。文章が非常に固くて読みづらいので、主意書と答弁書の中身を噛み砕くと、こういうこと。

Q1 海外のレコード会社が、日本のレコード会社に日本盤を発売させ、
   海外盤に日本への輸出を禁止と表示した場合、規制の対象となるのか。

A1 規制の対象となる。ただし、海外盤が国内で売られることにより、
   日本のレコード会社の利益が著しく害される場合のみ規制される。
   政令で定める期間(7年以内)を超えれば自由である。
Q2 日本のレコード会社が、海外のレコード会社に頼んで、既に発売されている、
   又はこれから発売される輸入盤に、日本での販売を禁止するというシールを
   貼らせた場合、規制の対象となるのか。これは並行輸入業者に対する取引妨害
   であり、独占禁止法違反にならないか。

A2 規制の対象となる。著作権の行使は独占禁止法第21条の適用除外により
   違反にはならない。

  ※本間忠良・日本大学法科大学院専任教授は「著作権法113条の『みなし侵害』
   適用は『著作権の行使』ではないから独禁法第21条の適用除外は受けられない」
   と言う見方を表明している。
Q3 日本盤が規格外のCCCD、輸入盤が規格に準拠したCDという異なる規格の場合も
   「同一のCD」として規制の対象となるのか。それを規制すると、CCCDの再生に
   より再生機器が故障するリスクを回避する選択肢を、消費者から奪うことに
   なるのではないか。

A3 規格外のCCCDも規格に準拠したCDも収録される音楽が同じなら法律上は同一の
   「商業用レコード」として扱われ、規制の対象となる。

上記はここから転載。

要するに同内容の国内盤が出ている洋楽作品の同じタイトルの海外盤は輸入できなくなるし、それは独占禁止法にも触れない、国内盤がCCCDで海外盤がCCCDで無い場合でもそれが輸入できる理由にはならないと。これからはバカ高くてCCCDの国内盤しか買えませんよと言っているのである。
一応この理屈では国内盤が出ていない海外のみで発売されているタイトルは従来通り輸入できることになるが、果たして税関で「これは国内発売されてるからダメ、これは国内盤が出てないからOK」なんて仕分けができるのかね。仮にできたとして審査のためには荷物を開梱して、国内発売されているかどうかを調べてと、相当な時間を要するだろう。そのためにかかる手数料や一時保管の倉庫代が上乗せされるのだとしたら、並行輸入業者は音を上げるだろうな。
海外のAmazonなど通販業者からの買い付けにしたって、海外のレコード会社が日本には出荷させないよう規制に乗り出せば、あっという間に買えなくなるだろう。海外のレコード会社にしてみれば、自社資本で設立した日本法人にライセンスを供与し生産させれば、自分の会社ではプレスのコストがかからないし、在庫を抱えるリスクも回避できる。おまけに今年の7月から発効される改正日米租税条約によって、アメリカ企業の持ち株比率が50%を超える日本法人(東芝EMIなどが含まれる)が上げた利益には税金がかからないため、日本のレコード会社が生産したCDが日本でより売れれば、アメリカの親会社もウマーなのである。
私はこの日記や掲示板で過去に何度かこの輸入権創設の問題は取り上げて、反対してきたが、最悪の事態が進行していることに落胆するし、考えが甘かったとも思う。一部のサイト(例えばここ)では「まだ決定したわけではない、今からでも反対意見を送りましょう」なんて言っているが、自民公明が単独過半数を占める今の国会でこの法案が通るのは時間の問題なのだ。予定通り来年1月には改正著作権法が発効されるだろう。そのためのお膳立てはもう揃っている。一国民として唯一反対を表明する機会があったのは去年の12月で、ここで「異例の」意見募集が行われたわけだが、結果は圧倒的に賛成多数だったのだ。これについても以前書いた。
例の意見募集は茶番のにおいがプンプンするものだったし、当時はアジアで生産販売されている邦楽アーティストの逆輸入CDを規制しようという部分が争点とされていたから、大半の洋楽リスナーは関心を寄せなかった。蓋を開けてみればこの事態なのだから、やり方がえげつない。こうやってある特定の者に都合がいいように世の中が変えられていくのかと思うとぞっとするね。