また「音楽中心日記」http://www15t.sakura.ne.jp/~andy/diary/diary-top.htmで拾ったネタから(1月20日分)。当初レーベルゲート2のCCCDでの発売とアナウンスされていた佐野元春『Visitors』の20周年アニバーサリー・エディションは普通のCDでの発売に変更された模様。何事も諦めてはいけないのだな。
俄然苦しい立場に追い込まれたのが同じ日に同じソニーから発売される予定の『Fine Time〜A Tribute to NEW WAVE』だ。1週間ほど前、このアルバムの監修者である小野島大は自身の日記http://www.newwave2004.jp/diary/index.htmlの中でこのアルバムがCCCDで発売されることについて説明している。それによれば「レーベルゲートCDIIの導入を聞いたのはキューン・レコードとの制作作業が始まったあとのこと」であり、「CCCD化回避のため、さまざまな方策を担当者と模索しましたが、回避は不可能」だったとなっている。さらに「CCCD化を回避するにはCCCDを導入していない他レーベルでの発売しかありません」とまで書かれている。
日記中にもあるように小野島さんはCCCDには反対の立場であるとのことなので、CCCDで発売されることを無条件に容認したとは思いたくないし、「さまざまな方策を模索した」のも本当だと信じたい。でも同じ音楽ライターでCCCD反対を表明している萩原健太さんや高橋健太郎さんの行動力や実行力を知っている分、この釈明にはがっかりさせられたし、お粗末だなあと思わざるを得ない。今回のコンプの発端となった「ディスクガイドシリーズ UK NEW WAVE」(シンコーミュージック)は発売直後に購入た私である。掲載された500枚ほどの作品のうち、数えたら100枚強は持っている、もしくは聴いたことがあるものだった。掲載はされていないけど同一アーティストで他の作品なら聴いたことがあるというものまで含めると半分以上になるのではないか。それ位このジャンルには興味や思い入れがあって、当然のことトリビュート盤も楽しみにしていた。こんな言い訳がましい釈明を聞いても納得などできるはずもなく、もちろん購入予定からは外した。WinMXなど使っていない私にとって、買わないということは聴けないということだ。「とにかく最高の内容のアルバムを作り世に送り出すという、レコード制作者としての原点に立ち返ったとき、キューン・レコードとのコラボレーションを維持・強化していくほうが良いと、監修者として考えたわけです。」と小野島さんは書いているけれど、聴けないものを送り出されてもリスナーには届くはずもない。監修者とレーベルの良好な関係が保たれたとしても、それは本末転倒だろう。
さらに気になったのは「今回の判断について、おのおのの参加アーティストは一切関わっていないことは明記しておきます。」と言っているので参加アーティストはCCCDでのリリースに反対する機会すら与えられなかったようだ。このコンプに参加しているLimited Express (has gone?)高橋健太郎さんがプロデュースしているはずだ。健太郎さんには何と説明したのだろう。
佐野元春はエピックだから同じソニーとは言っても事情は異なるのかもしれないし、旧譜のリマスター再発と新録作品という違いも影響している可能性はある。いずれにしろ想像の範囲を出ないけど。ただ『Visitors』だって一旦はCCCDだと公表していたのだから、それを撤回することがそれほど簡単ではなかったのは充分考えられることだ。誰のお陰か知らないが、リスナー利益を尊重した正しい判断と尽力に感謝だ。尤も本来そんなことは当然なされなければならないのだけどね。