行く年来る年ダイジェスト版<後編>



12月31日
起床10時過ぎ。やばい。今日は12時の新幹線で帰省しなければならなかったのだ。早めに起きて年賀メールを仕込んでおくつもりだったのに、その時間が無くなってしまった。昨夜というか今朝5時近くまでネットをやっていたのがいけなかった。つーか、メールぐらいその時仕込んでおけよ。仕方がないので年賀メールは年が明けてから返信するだけにしよう。
東京駅から新幹線に乗って、2時には名古屋。実家はここから在来線で40分ぐらい。直行するのも何なので、しばらく名古屋駅周辺をうろうろ。大晦日の午後ともなると、人出もそれほどでもない。ほーこんなのが出来たかとか、あの店は無くなったのかーとか、1年ぶりの名古屋の街の変化を確認して歩く。途中実家への手土産代わりに惣菜などを買い込んだが、店のおばちゃんとのやりとりが自然に名古屋弁になっていたのは我ながら可笑しい。無意識に出るものなのねえ。
夕方実家着。その後は家族でメシ食って、飲んでと毎年変わらない恒例行事。かすかに記憶がある高校時分の同級生の親だか兄弟だかが滑ったの転んだのみたいな話を聞かされて、ふーんとかへーとか答える。紅白も見たはずだがほとんど記憶にない。新年を迎えてから就寝。


1月1日
あけましておめでとうございます。旧年中はいろいろとお世話になりました。本年もよろしくお願いいたします。
これも毎年のこととはいえ、実家に帰っても特にすることも無い。携行した本を読んで時間を潰したりするが、それも昼過ぎには読み終えてしまう。帰省したら読もうと思っていた手塚治虫作品は、いつのまにか処分されてしまっていてがっかり。おまけに父親は町内会の新年会、母親も近所のおばはん連中とお茶を飲みに出掛けてしまったので、新年早々留守番である。仕方がないので年老いた飼い猫と遊んだり、孤独な元旦を満喫する。
さすがにそれにも飽きたので、3時過ぎから外出。とはいえ、どが付く田舎である我が郷里は車が無ければ生活が成り立たないような僻地だ。どの家も自家用車を2台3台は当たり前のように所有している。10年以上ペーパードライバーである私は住んではいけない人種なのだ。外出と言っても市街地に出るまで1時間ほど歩かねばならないが、それでも少しぐらい体を動かした方が腹も減るし寝付きも良くなるはずだと言い聞かせながら歩く。
やっと辿り着いた市街地というのは、私が実家に住んでいた高校生時代は田んぼだったような所に大きなショッピングセンターが出来たり、ユニクロやらマックやらダイソーやら進出していて、田舎とはいえそれなりに発展している。元旦でも営業している店も結構多い。買う気はないけどパソコンショップを覗いた後、中古のゲームソフトとCDを扱っている店にてバーゲン品でアスワドの日本盤未開封、81年作と82年作の2タイトルがそれぞれ300円で落ちていたのでゲット。田舎の人は物の価値を知らないなあ。
で、また1時間歩いて帰ってきて、夜はネットサーフィン。父親がトレーディングをやっている関係で、田舎の年寄りにしては生意気にもネットはケーブルテレビで繋ぎ放題なのだ。東京に住んでる息子は未だにダイヤルアップだってのによー。主目的はパソコンのダイレクト販売サイトとその評判のチェック。hp、Dellエプソンなど2時間以上(ケーブルだからサクサク繋がるのが羨ましいやら悔しいやら)サーフィンを続けて、hpのサイトでスペック、価格、評判とも納得できる機種を見つけたのでオーダー。届くのはしばらく先になるだろうが、これでwin95ともお別れだ。ローンはバリバリだけど。


1月2日
帰京日。本当は3日に帰ろうと思っていたのだが、新幹線の指定席が取れなかったのだ。何度も言う通り、実家にいても退屈なので2日でも問題はないのだが。最近開通したという名古屋駅までの高速バスを使って、11時過ぎに実家を出発。1時間程度で終点名古屋駅に到着。乗換えもないし、こりゃあ楽でいいや。
新幹線の時間まで3時間ほど余裕を持たせてあり、この間はレコード屋廻りに当てる。地下鉄で上前津まで出て大須まで歩くコース。地下鉄で一駅分のこの範囲に私好みのレコード屋が7〜8軒点在しているので、帰省する度にここをチェックするのがまたひとつの恒例行事になっている。
最初に入ったサウンド・ベイ・リパブリックはガレージや初期パンク、パブ・ロックが充実しているので必ず寄るお店。案の定、今回もこちらのツボを知っているようなレコが出てくるので「荷物になるんだけどなぁ」と困ったふりして実はウハウハ言いながら購入。デイヴ・エドモンズの「BORN TO BE WITH YOU」7インチのかなり美品が1000円。ドクター・フィールグッドの「HONG KONG MONEY」7インチは表にスタンプが押してあるのは惜しいけど、それ以外はEXレベルでやっぱり1000円。実質フレイミン・グルーヴィーズのクリス・ウィルスン名義によるストーンズ・カヴァー7インチが300円。フードゥー・グルズ「COME ANY TIME」7インチなんて100円だし。何故か名古屋は一般的には評価が低いけど私は好きな80年代のガレージに掘り出し物が多くて、VOXXが出していた『BATTLE OF THE GARAGE』という80年代ガレージのコンプのvol.1〜3をゲット。
バレンタイン・マートは移転したのか、お店が無くなっていてショック。この界隈に3店舗ある円盤屋はいずれもお休み。そして品揃えはヒップ・ホップから歌謡曲までオールマイティーでこれまた掘り出し物が多いグレイテスト・ヒッツではデイヴ・エドモンズの「INFORMATION」プロモ・ピクチャー盤を発見。500円だったので当然ゲット。今日はデイヴ日和か。あとオリジナルでコンディションの良い物があったら欲しいなと思っていたヴァン・モリスンの『SAINT DOMINIC'S PREVIEW』がドイツ盤ながら盤はバッキバキのミント、ジャケもEX状態で1800円だったので購入。コーティングされたジャケはいいですわね。
この辺で軍資金も尽きたことなのでレコ屋巡りは終了。初詣客で賑わう大須観音を少し覗いて帰路に着いた。


1月3日
ちょいと疲れが出て、ほぼ1日自宅で過ごす。昨日名古屋で買ったレコードを聴いたり、はっきり言えばゴロゴロしてただけ。近所の本屋で見つけた手塚治虫「日本発狂」読了。全然知らなかった作品だが、やっぱり面白いなー。ストーリーの構成、キャラクターの描写などがハイレベルなのは当然として、手塚作品を読んで改めて恐れ入るのは、読者が子供を対象にしたものでも大人を対象にしたものでもクオリティーが変わらないことだ。背伸びするでなく、見下すでなく、対象の年齢層に合った内容をここまで描き分けられる作家は、マンガ界は言うに及ばず、どんな表現分野でも思い当たらない。