暑い。昭和三十年代に三種の神器のひとつに数えられたクーラーは、これから高度成長期を迎える我が家には無い。かろうじて冷風扇だけが存在するのだが、こいつは本体の前面から20℃ぐらいの風を送り出すのでその風に当たっていれば確かに涼しい。ただし同時に本体上部から35℃ぐらいの排気をするため、長時間使っていると室温はむしろ上昇してしまうという一人ノリツッコミみたいなやつだ。仕方がないので夏場は窓という窓を全開にして自然換気を行いながらやり過ごしている。近所でこうしたライフスタイルを実践している人は私ぐらいのもので、周りは窓をぴったりしめてクーラーがんがんという実に地球にやさしくない物質文明の奴隷たちだ。これ幸いとトロージャンのスカ・コンプなどを大音量で流して40年前のラスタファリアンと同じようにバビロンの住人に敵意を覚えたりしているのである。あー、ガンジャが吸いたい。


実際の話、これだけ天気が良いと洗濯物はアホみたいに乾く乾く。自然の恵みに感謝しつつ(ラスタファリアンだからね)、洗濯機を3回も回す。その間はアルトン・エリスやスカタライツでほにょりほにょり踊りながら、原稿用の資料を当たるべく本を開いたり、ネット上をうろついたり。


やがて5時を過ぎて日が陰りだしたのでやっと外出する気に。実は昨日執筆依頼を受けたもののうち、手元に無いレコードが1枚あることが判明したのでそれを探すために下北沢まで。CDなら新品が簡単に手に入るアルバムなので最悪それを購入すれば良いのだが、何せ今回は原稿料が安いのでなるべく自腹を切るのは最小限に抑えたい。よって中古が落ちてないかと思って出かけた次第。最初に入った円盤組合で中古のエサ箱を漁っていると労せずして米盤LPを発見。オリジナルではないので900円と値段も申し分ない。そそくさと捕獲し、今日の目的は達成してしまった。とはいえそのまままっすぐ帰るはずもなく、他の箱もつらつら眺める。と、どうしてこういう時に限って無関係なおいしいブツが見つかるのかなあ。ドクター・フィールグッドの「Trying To Live My Life Without You」のチズウィック盤7インチ(きゃー)とかクリス・ステイミーのSOL盤7インチ、パイレーツのLP『A Fistful Of Dubloons』(89年の再発盤でオリジナルとはジャケ違い) 、ブラッドサースティー・ブッチャーズのトリビュート盤『We Love Butchers』の2枚組LP(しかも600円!)など購入。盛り上がりついでにレコファソにも寄って、マンドゥ・ディアオのLPもゲット。音は前から気に入っていたのにCCCDだから買ってなかったのだ。同様の人は多かったらしく、6月下旬ごろ日本に入ってきたLPはすぐに売れてしまったようでしばらく探していたから、これは嬉しい。豊作の1日で満足だが、こんなことしてりゃあクーラーが付けられないのも当然か。