リリース情報:Paul McCartney & Wings 『Band on the Run』



 10月も終わりになると、音楽業界はクリスマス商戦が活気付いてくる。例年のこととは言え、大量のリリース攻勢には振り回されっ放しだ。特に今年はビッグ・ネームのボックスセットなど、復刻系のリリースが尋常ではない。このご時勢、そんなに景気の良い人ばかりではないはずなのだから、ちったあ手加減してくれよと恨み節のひとつも言いたくなる。
 しかし不況に喘ぐ音楽業界でもロック・レジェンド・マーケットは熱い。昨年のビートルズのリマスター再発をめぐる騒動がいい証拠。今年もそれは同様で、既にリリースされたビートルズの赤盤、青盤のセールスはずば抜けているようだ。ボブ・ディランジョン・レノンのボックスも売れ行き好調と聞く。ローリング・ストーンズの『レディース・アンド・ジェントルメン』はオリコンの音楽DVDチャートで1位、DVDの総合チャートでも3位を獲得してしまった。
 そりゃあ、リリース・ラッシュにもなるわな(笑)。
 個人的な備忘録を兼ねて近々リリースが予定されている復刻系作品を列挙してエントリー。これを眺めて鬱になろう。まずはサー・ポール・マッカートニーから。


Paul McCartney & Wings 『Band on the Run』

バンド・オン・ザ・ラン(スーパー・デラックス・エディション)(完全限定生産盤)(DVD付)

バンド・オン・ザ・ラン(スーパー・デラックス・エディション)(完全限定生産盤)(DVD付)

Band on the Run (3CD+DVD)

Band on the Run (3CD+DVD)

 長年契約していたEMIからHear Musicへの移籍に伴い、ポール・マッカートニーの過去カタログがHear Musicから新装再発されるようだ。その第1弾がビートルズ解散後の最大のヒット作『バンド・オン・ザ・ラン』。
 複数種類でリリースされる内、これが最大の豪華版。CD3枚とDVD1枚がセットになったスーパー・デラックス・エディション。
 DISC1はオリジナルの『バンド・オン・ザ・ラン』全9曲の最新リマスター。DISC2はアルバム未収録のシングル曲+『ワン・ハンド・クラッピング』(後述)からのライヴ・テイクを収録。全9曲。DISC3は93年に発売された25周年エディションに付けられていた制作ドキュメンタリーのインタビュー+ライヴ・テイク+別ミックスなど。
 DVDは「バンド・オン・ザ・ラン」「マムーニア」「愛しのヘレン」のPVと、その他のプロモーション映像、アルバム制作の様子や、ジャケット撮影の様子を収めたドキュメンタリー映像、そして74年にテレビ放送用に収録されたスタジオ・ライヴ『ワン・ハンド・クラッピング』。収録時間はトータルで90分を超える。
 この『ワン・ハンド・クラッピング』はブート界では昔から有名で、ファンには人気の高かったマテリアル。商品化にあたりリマスタリングはされているだろうから、高画質、高音質で楽しめるようになるのは嬉しい。
 120ページのブックレットが付属し、96kHz/24bitの非圧縮高音質データがダウンロードできるコードが封入される。
 日本盤はSHM-CDで国内プレス。1万セットの限定。
 CDとDVDのバンドルだと日本盤でも再販禁止の対象外なので割引されており、Amazonは輸入盤より安くなっている。

バンド・オン・ザ・ラン デラックス・エディション(完全限定生産盤)(DVD付)

バンド・オン・ザ・ラン デラックス・エディション(完全限定生産盤)(DVD付)

Band on the Run (+DVD)

Band on the Run (+DVD)

 こちらはCD2枚とDVD1枚のデラックス・エディション。スーパー・デラックス・エディションのDISC3を省いた仕様。
 ブックレットは24ページ。ダウンロードコードは付属しない。
 日本盤はSHM-CD。15000セット限定。
 DISC3はインタビューが中心で、25周年盤の時に割りとがっかりした記憶がある。内容は一部追加音源があるようだけれど、個人的にはまあ無くてもいいかな。価格差を考えても、この仕様が狙い目。

バンド・オン・ザ・ラン

バンド・オン・ザ・ラン

BAND ON THE RUN

BAND ON THE RUN

 こちらは通常盤でオリジナルの9曲のリマスター盤のみ。その分、安いよ〜。
 16ページのブックレット付き。
 輸入盤国内仕様で、日本盤も通常CD。

Band on the Run [12 inch Analog]

Band on the Run [12 inch Analog]

 こちらは180g重量盤アナログ2枚組。収録曲はデラックス・エディションのDISC1、DISC2と同じ。
 同内容のmp3データがダウンロードできるコード付き。
 日本盤の発売は無く、輸入盤のみ。ディランなどもそうだったけれど、海外ではアナログ盤の同時発売が当たり前になってきているようだ。日本も早くそうなって欲しい。