無口になった僕は相応しく暮らしてる



 5月になったのに いい事なんかありゃしない
 相変わらず寒いし 相変わらず夜は眠れない 相変わらずだよ



 矢野顕子さんが歌う「きよしちゃん」
 2006年暮れのライヴだそう。清志郎が病床にあった頃作ったのだろう。曲も詞も素晴らしく良い。音楽がいかに言語として優れているか、これを聴けば分かる。音楽を通じて理解できることが、この中に間違いなく存在している。
 この曲は今年発売された矢野顕子のアルバム、『音楽堂』にも収録されている。

 こちらは清志郎の死後レコーディングされているはず。後半の「どうしたんだ Hey Hey Baby」のフレーズは2006年のライヴの際には無かった。このフレーズを付け加えた理由は改めて述べるまでもないだろう。




 いい歳して何をやっているのだろうと自問する日々を送っています。いつの間にか清志郎の命日になってしまった。明日は多摩蘭坂へ行くつもり。国立では地元の有志による、追悼イベントを予定しているらしい。それが目当てではないし、明日などはファンが大挙押し寄せるのかもしれないので、むしろ控えた方が良いのかも。しかし何故か今行かなければならない気がしている。
 多摩蘭坂には、過去にもどうしていいのか分からない時などにふらっと行ったことが何度もあった。何も変わっちゃいないことに気が付いて、坂の途中で立ち止まるために行っていたようなものだ。最後に行ったのは10年近く前だろうか。あの落書きだらけの石垣が無くなったと聞いてから、足が遠のいていた。
 国立はあの赤い駅舎も無くなったと言うし、随分変わったのだろうな。景観が変わっただけでなく、モラルの意識も変わった。全国のどこかからやって来たファンが書き残す大量の「キヨシロー」の文字はもう見られないのかもしれない。それを確認するには良いタイミングなのではと。またこれが多摩蘭坂を詣でる最後の機会のような気もしている。