アベフトシ逝く



 オフィシャルサイトより

20090722
訃 報

7月22日未明、
弊社所属アーティスト、アベ フトシ(安部 太)が、
急性硬膜外血腫の為逝去致しました。
享年43歳でした。 謹んで皆様にお知らせ申し上げます。

尚、親族の意向により 
親族 友人のみの告別式とさせていただきます。
御香典、御供花、等も謹んでご辞退いたしますので、
ご理解の程お願い申し上げます。
生前中のご厚誼に深く感謝致します。                            


株式会社ベイス一同

 深夜に帰宅して、就寝までの間にせめてニュースをチェックしようとネットにつないだ直後に飛び込んできたのがこれだ。絶句。
 michelle gun elephantが解散してからというもの、メンバーの中でアベちゃんだけは表立った活動から遠ざかっていて、どうしているのかなと時々思い出したりはしていたのだが…。記名性が高すぎるギターを弾くので、michelle以外のバンドで弾いてもやっぱりmichelleのような音になってしまうのは避けられないだろうし、かといってソロ・アルバムを出したりするようなタイプでもないし。ある意味つぶしのきかないギタリストだった。それだけ個性的だったということだけれど。
 しかしどうにも釈然としない。どうしてアベちゃんが連れて行かれるのだろう。もしも神がいるのなら、随分と不公平なことをするものだ。少し調べてみたところ、急性硬膜外血腫とは頭蓋骨を骨折するような外傷によって起こるもののようだ。事故か何かだろうか。全く何てこった。

 上の映像をYouTubeで見つけたのは、ほんの1ヶ月ほど前だった。98年にフジロック豊洲で開かれた時のmichelleのライヴだ。これを見ているとあの時の狂気の沙汰と興奮が蘇る。
 この時のmichelleの人気は凄まじく、またフジに来ている客のノリも凄まじいものがあったため、会場の半分くらいがモッシュピットと化してしまい、危険だというので何度も演奏が中断された。あの時、演奏が続けられなくてアベちゃんはかなり苛立ってたな。それはこの映像からも伝わってくる。
 しかし今となっては懐かしくもある。焦げそうなほど暑い日ざしと、万単位の人間がモッシュの渦に包まれている信じ難い光景は、今も脳裏に焼き付いている。満足なライヴとはとても言えないが、この時のmichelleの演奏は神がかっていたし、演奏中こそ暴徒と化していた観客も、中断された時は思いのほか冷静で秩序立っていた。皆文句も言わずに、少しずつ下がっていたし、倒れている人は誰もが率先して起こしてやっていた。だってmichelleのライヴが見たかったから。あの場にいた人には賛同してもらえると信じているが、あの見たこともない環境で、見たこともない壮絶なライヴを一瞬でも長く体験したかったのだ。ただ純粋にライヴが見たい。それ以外に望むものはなかった。michelle gun elephantは、フジロックは、そんな奇跡のような瞬間を創出したし、我々はその場に立ち会った。一生涯の思い出だよ。
 これでmichelleが再結成される可能性も潰えたのだなあ。もうこの映像のような場面も永久に体験できないということだ。不条理に満ちた世界に生きているのだね。