BYE BYE RAMONA@新宿Red Cloth



 既報の通り、今月一杯でジョニー・ナツコ・ロマーンの脱退が決まったロマーンズ。その後オフィシャルのBBSにて、ロマーンズそのものも活動を停止することがミカ・ロマーンより公表された。ナツコロ脱退が分かった時点で残っていた東京での3回のライヴは、いずれも出勤日とバッティングしており泣きたくなったのだが、この日は何とか早めに仕事を切り上げて紅布へ駆けつけることができた。

        THE HAVENOT'S                  THE GIMMIES
 出演は順にGiMME SHAKE'S、THE HAVENOT'S、DiSGUSTEENS、THE GIMMIES、ROMANES。いずれもメロディック・パンク、パワー・ポップの系統に属するバンドばかり。久しぶりに見たHAVENOT'Sは音がやや薄くなっていたけれど、曲の良さで軽やかに駆け抜ける様は不変。青木さんは私と同い年ぐらいのはずなのに、全然老けないのも驚異的。GIMMIES(こちらも久々)はもはや貫禄あるステージングで文句なし。演奏良し、曲良し、変な褒め方だが日本のバンドとは思えない。

 トリを飾ったのがROMANES。いつもの「ROMANES」から始まって、パワー全開、悲壮感ゼロの堂々としたパフォーマンスだった。8月に同じ紅布でワンマンを見た時も思ったことだが、既にロマーンズはラモーンズのカヴァー・バンドの域を超えた個性あるバンドだ。曲は確かにラモーンズであり、詞が日本語に改変されているに過ぎない。その曲をロマーンズが演奏する時、ロマーンズの曲として聴こえる事実に驚嘆せずにはいられない。こんなことを成し遂げたバンドが世界に二つとあるだろうか。

 何故そんなことが可能だったかと言えば、意識的だったかどうかは別として、ロマーンズがロックンロールの真髄を知っており、それを表現する力があったからだとしか思えない。彼女たちにかかれば、たとえロシア民謡や懐メロ歌謡を演奏してもロックンロールに聴こえることだろう。演奏技術で語れば正直なところロマーンズはお話にならない。この日も特にナツコが前半で派手なミスを何度かしでかしていた。しかしそれが何だと言うのだ。演奏が上手くても何も響いて来ないバンドは腐るほど存在するが、ロマーンズがシャウトする時、この世で一番美しいものを見ることができるのである。

 今まで見たことがないほど汗だくになって演奏を続けるナツコ(終演後に聞いたらワンマンの時より疲れたと言っていた)、喉から何か出てくるのかと思うほど力いっぱい絶叫するミカ、時に暴走気味のフロント2名の手綱を引き、時に煽りを入れてグルーヴを加速させるC.C.。完璧なロックンロールだった。もう最後だから書いてしまうけど、この3人は人間的にもすごくイイ奴らなのだ。3人それぞれ個性が違って、私は3人とも大好きだ。異性としては見てないけどね。

 アンコール2回を入れて、結局20曲近くは演奏したと思う。最初から最後まで全力疾走する凄まじいライヴだった。こんなすごいライヴをやるバンドが無くなってしまうのはつくづく残念。音源としては2枚のアルバムが残ったとはいえ、今後ロマーンズがそのアルバムでのみ語られるのは大いに不満だ。アルバムはそれぞれ傑作だし、私自身普段からよく聴くのだが、ライヴの魅力がそれを上回るだけに、「こんなもんじゃなかったんだぞ」と強く言っておきたい。ロマーンズのライヴが見られなかった人は不幸である。そんな人生を悔やんで悔やんで自殺を考えるほど思い詰めてしかるべきだ。30日には武蔵境スタットで本当に最後のライヴがあるので、後悔を背負って生きていきたくなければ足を運んだ方がいい。



 この日の模様は撮影済。ただし諸事情あってアップできるのは年明けになりそう。それまでは「youngazine」という素敵なファンジンのスタッフが撮影してくれた動画をどうぞ。所詮YouTubeだけど雰囲気は味わえます。



【1/7写真追加】
 あまり良い撮影位置が確保できず、ミカ、C.C.の写真が少ししか残せなかったのが残念。ナツコの飛び散る汗に免じてくれ。