"ヒコーキもしくは青春時代"発売記念パーティー@下北沢BAR?CCO

k_turner2008-08-06



 この数年ずっと制作が続いていたワタナベマモルの新作アルバムがとうとう完成した。オフィシャルサイトで詳細についてアップされたのが7月の初め。同時に収録曲の試聴もできるようになっていた。
 以来、私はこのサイトを頻繁に訪れては試聴を繰り返している。いや〜〜〜、正直なところこんなに素晴らしいアルバムになるとは思っていなかった。もちろん期待はしていたが、結果はそれ以上。試聴の段階で断言できるほどの傑作だ。
 しかし試聴できるのは全11曲中の7曲のみ。しかもそれぞれ1分ほど。早く全部聴かせてくれ。8/20の発売が待ち切れない。
 アルバムの完成直後から、ワタナベマモルは精力的にツアーを続けている。7月の後半には北海道だけで10回近くのライヴをこなしてもいる。歯がゆいのはツアーではアルバムを先行発売していることだ。そんな時に限って都内でのライヴが途絶えているのだから。新作を購入する目的で遠征しようかと思ったぐらいだ。
 この日はアルバム発売前の都内での唯一のライヴだった。会場は5月にも見た下北CCO。タイトルもズバリ『"ヒコーキもしくは青春時代"発売記念パーティー』だ。当然見逃すわけにはいかない。
 開演は8時だったが、前回と同様8時をかなり回ったところでゆるゆるっとスタート。まずはオープニング・ゲストのオグラから。
 手回しオルガンと寿司桶のようなギターを使い分けての弾き語り。得体の知れない風貌に加え、浮世離れした世界観を歌う内容がいかにもボヘミアン。「おばあちゃんが100円ショップで茶碗とローソクを買いました」とか何故わざわざ歌にする必要があるのだろうかと疑問を抱いてしまう詞もしばしば登場した。「永遠の43歳」というキャッチフレーズも訳がわからない。このキャラクターは貴重だ。
 コード進行が同じような曲が多いので、どうしても単調な印象が残ってしまうものの、面妖な吟遊詩人とでも言うべき佇まいはユニークだと思った。聞けばマモさんの高校の後輩だそう。特異な人材を輩出した学校なんだな。
 続いてメインのワタナベマモル。この日もアコースティック・ギターの弾き語りで、いつもの「ひとりで何ができるかな」から。
 このスタイルでのライヴは何度も見ているが、いつもより溌剌としていることにすぐ気付かされた。ギターのカッティングは力強いし、声もよく出ている。ほとんど休み無くツアーを続けているからか。或いは新作の出来に自信があるからか。その両方なのかもしれない。
 この人は基本的にエンターテイナーでもあって、絶対に盛り上げてやるんだという意気込みが伝わってくる。弾き語りではあっても、繊細さやひ弱さを感じさせないあたりはやはりロックンロールのスピリットがあるからだろう。新旧とりまぜた幅広い選曲は、ベスト・オブ・ワタナベマモルに近いものがあり、それだけに昨日今日のバカじゃないところを感じさせた。褒めてますので、念のため。
 プレレコ発ライヴでもあって、当然新作からのナンバーも。このアルバムに入っている曲の大半はここ数年のライヴでは聴けたものなのだが、バンド編成での完成版を試聴した後で聴くのは初めてだ。楽曲の骨組みが露になる弾き語りで聴いても聴き応えがあるのは、楽曲として優れているからとしか思えない。新作のタイトル曲「ヒコーキもしくは青春時代」は名曲と呼ぶに相応しい。
 5月の時と同様、美味しいお酒を楽しみながらの至近距離のライヴは盛況の内に幕。平日ながら満員で何よりだったが、本来ならもっと大きな会場で演奏しておかしくない人だと思う。この楽しみはより多くの人に共有してもらいたいものだ。というわけで新作のヒットを願っている。
 終演後、マモさんから新作のサンプル盤をいただいてしまった。実はLOFTが発行するフリーマガジン、「Rooftop」の現在配布されている分に掲載されたワタナベマモルインタビューのページに、私が撮った写真が使われているのだ(※同じものがWEBでも読めます→コチラ)。サンプル盤はその使用料代わりというわけだ。もちろん嬉しいのだが、私は買う気満々で来ていたので、逆に申し訳なかった。自分で聴く分は買って聴きたかったので、いただいたサンプルは同伴美女にプレゼント。この心情を理解してもらえるかどうか分からないが、気に入った作品であればあるほどお金を払いたいのだよ、私は。Winnyなどを使って正規発売されている音源をダウンロードする気になれないのも同じ考えからだ。タダで手に入った音源がもし大傑作だったら、悔しくて仕方が無いではないか。
 ところが!マモさんには「後で1枚買いますよ」と言っておきながら、忘れて帰ってきてしまった。嗚呼、これでまた発売日までお預けなのか。何やってるんだろう、わし。




 と思ったら、巨匠Totちゃんがタイトル曲のPV(デモ・ヴァージョン)を作ってYouTubeにアップしてくれていた。これでやっとフル・コーラスを聴けた。もう10回以上リピート再生して、歌詞も覚えてしまったぞ。



注:この日記は8/17に書きました。