15thリーブリロー追悼ライブ@下北沢Shelter



 毎年恒例、Dr.FeelgoodのヴォーカリストであったLee Brilleauxの命日に開かれるメモリアル・イベント。今年の出演は順にThe Jerry of Beat's、石橋勲バンド、赤羽ブリロー、MAMORU&THE DAViES。

  • The Jerry of Beat's

 すこぶる若くて威勢のいいバンド。パブ・ロック的なまったり感はほとんど無く、高速の「Roxette」などが象徴しているように、ガレージとか初期パンクに近い印象だった。ただしブルースのバックグラウンドがあることも伝わってきて、好感度大。ステージ・アクションにはエネルギーのほとばしりが感じられ、初めて見たのに圧倒された。若いバンドでこういう手合いはしばらくお目に掛からなかったので、個人的にも嬉しい。感想がすっかりおっさん目線だな。

  • 石橋勲バンド

 昨年12月の「DR.FEELGOOD TRIBUTE〜発売記念LIVE」以来の石橋勲バンド。ロックンロール・バンドとしてはオーソドックスで、ルックスも硬派な彼らだが、途中のMCで必ず笑いを取りに来るのが何とも個性的。何気ないことを喋って可笑しい人は時々いるけれど、石橋さんはネタを用意してるんだもんなあ。恐らくやらずにはおれないのだろう。今日は前に見た時と違い、多少時間に余裕があったのでMCも長めで、割と受けていたのだが、本人は「ややウケだ」と言っていた。どこまで笑いに貪欲なんだ。
 『DR.FEELGOOD TRIBUTE ALBUM』には「That's It, I Quit」で参加していたが、今日はそれはやらずに「I Can Tell」を演奏していた。

  • 赤羽ブリロー

 ピーズのハル、アビコ、それに元ピーズのウガンダとアキラによる、このイベントのためだけに結成されるバンド。ハルは「病み上がりで激しく動けないのを誤魔化すために」ギターを抱えての演奏。つまり4人時代のピーズと同じ編成ということ。
 曲はフィールグッズ・ナンバーを中心に、毎年大体同じ。「King For A Day」「Beautiful Delilah」「Best In The World」「Let's Have A Party」「Sugar Shaker」「Who's Winning」あたりが記憶に残っている。彼らにとっては課外活動には違いないのだけれど、お遊びとは思えないほど音がしっかりまとまっているのはさすが。アビさんのストラトの鳴りがまた素晴らしい。こっちを本業にしてくれないかなと思うほどだ。

  • MAMORU & THE DAViES

 登場時のBGMにマボロシハンターズの「O.K.」を使っていたので、思わず胸が熱くなった。それに対して、演奏が始まってからも何も説明しないところがマモさんらしいね。途中のMCで「今日はリー・ブリローの追悼ということですが、他にもいろいろな人の追悼の意味があって…」と語ったところで、客から「誰?」の声が飛んだが、それに対しては「内緒!」と答えていた。分かる人には充分分かっているのだから、それでいい。分からない人は明日Club Doctorへ来るように。
 このイベントでは通常のDAViESのセットリストから大きく逸脱して、フィールグッズ・ナンバーやロックンロール・クラシックばかり聴かせてくれるのが楽しみである。今年ももちろんカヴァーばかり。マモル氏はこの日のために仕立てたというスーツ姿で、前半をハンドマイク、中盤でギターを持ち、また後半はハンドマイクでステージを務めた。先日Red Clothで見たライヴの時も同じようなセットだった。ベースが岡本さんに変わってから、方針も変更したのだろうか。
 フィールグッズ・ナンバーは「Back In The Night」「Roxette」「Drop Everything And Run」あたりが。他にはJ.Geils Bandの「Ice Breaker」とか、Lew Lewisの「Win Or Loose」などハープをフィーチャーした曲が多かった。マモル氏は「待ち時間が長かったので」すっかり酔っ払ってしまったそうで、グダグダになる場面も何度かあったものの、まあそこはパブ・ロックだし。


 最後は出演者総出によるアンコール・セッション。これも毎年お馴染み。曲も「She Does It Right」と「Bonie Moronie 〜 Tequila」でこちらもお約束。「テキーラ!」の掛け声に合わせて、出演者がひとりずつダイブを決めるのも恒例。パブ・ロックってのは進化するものではなく、お約束の極みでもある。でも最高に楽しいのだから、文句を言う筋合いなどないのである。今年もまんまと乗せられて、楽しい時間を過ごすことができた。

 今年は写真も撮ったので、後日アップします。今日の会場では昨年12月の「DR.FEELGOOD TRIBUTE〜発売記念LIVE」のDVDが先行発売された。店頭に並ぶのは5/14からなので、超先行リリースになる。実は私はこのDVDでライナーとボーナストラックのフォト・ギャラリーを担当させてもらいました。このDVDは全パブ・ロック・ファンに必ず見ていただきたい。別に制作に関わったからそう言っているのではなく、内容が本当に素晴らしいから。プレス数があまり多くない上、初回限定発売なので入手困難になる前に押さえておくことをお勧めする。