WEIRD-ROCK@東高円寺U.F.O. CLUB



 久方ぶりのこうもりさんたち。私が見ていない間も精力的にライヴ活動を続けていただけあって、今やパフォーマンスにも貫禄が感じられる。初っ端ということもあり、観客の入りもこれからという段階でフロアに余裕があることを逆手に取って、ミカ、カブのフロント2人はステージもフロアもお構いなしに暴れ回る。それは義務的に動いているのではなく、制御が効かずに突進してくるといった風であるのがとても良い。NYLONのシマノなどと同じ印象。しかしただでさえ暗いU.F.O.では、フロアに突っ込まれると、真っ暗なためにピントが合わせられないんだよ。撮影者泣かせのバンドである。

 音の方もタイトに決まっていて、実にカッコイイ。闇に隠れて生きる、邪悪なゾンビどもが繰り広げるビート・ミュージック。しばらくライヴを見ない内に、レパートリーも広がったようで、初めて聴く曲がいくつかあった。そろそろ音源をリリースしてくれないかねえ。

  • The Mighty Moguls


 続いては原始人の皆さん。ワイルドで喧しいサウンドに乗せて、今日もミッフィー姉さんが吠えまくる。このバンドはよく「She Said Yeah」を演ってくれるのが嬉しい。その他も馴染みの曲ばかりだが、変わらないというのもある種の才能。ロックンロールが好きならば、こういうバンドを嫌いになれるはずがない。

  • CRACKER JACK


 トリオ編成のパンカビリー・バンド。スタンディングのドラムで、最初はこの人が歌い出したので、ドラムがリード・ヴォーカルかと思いきや、ヴォーカルは曲によって異なり、3人ともリードを取っていた。

 この辺りで私は酔っ払っていたので、詳しいことは覚えていない。すみません。ギターがやけにハウっていたのと、ベースのスラッピング奏法に感心したのは記憶にある。

  • THE JET BOYS


 45歳フリーターのオノチン率いるジェット・ボーイズ。相変わらず自虐的で下品なMCを挟みつつ、ノー・フューチャーなパンクを撒き散らす。「残尿感がひどい」とか「体力が続かない」とか愚痴をこぼしながらも、そんじょそこらのパンク小僧は足元にも及ばないほどのダメっぷりが神々しい。後半は例によってヌンチャクを振り回したり、ギターで大根をすりおろしたり、けん玉に興じたり(これは見たことがなかった)、そして最後はやはり全裸。オノチンにとってライヴをやるということは、フルチンになることと同義である。私はこれから先、あと何回この人の陰茎を見るのだろう。

 ドラムが初めて見る人で、大変しっかりしたビートを刻んでいたため、演奏はオノチンの傍若無人な振る舞いとは対照的にまとまっていた。これだけ演奏がまともなジェット・ボーイズは今までに無かったかも。

  • THE GREAT MONGOOS

 トリはベテランのグレ・マン。最もオーソドックスなガレージ・パンクを現代に伝えるバンドである。演奏内容は危なげないだけに、意外性にも乏しいのだが、今日は一味違った。いつも以上にアグレッシヴで、さすがグレ・マンと唸らされた。中盤に「最近再結成したSONICSに捧げます」と言ってから「Psycho」(だったかな?)を演奏していたので、SONICSに刺激されたのか。最後はもう11時を過ぎていたけれども、アンコールでSONICSとPRETTY THINGSを叩きつけ、大盛況の内に幕。

 ピュアなロックンロールに対する偏愛ぶりが感じられるバンドばかりで、良いイベントだった。ガレージのブームが去ってしまって久しいけれど、東京にはまだこれだけ層の厚いガレージ・パンク・シーンがあるのは嬉しい限りだ。
【11/23写真追加】
 UFOだから写真のクオリティはこんなもので勘弁していただきたい。ムガルズは特に暗い写真になってしまい、申し訳ない。