あの夏のGo-Go



フジロック'06総括前編
 フジには毎年行っているが、今年は初めてFuji Rocker's Orgのスタッフとして参加させてもらったため、例年とは苗場での過ごし方が全く違っていた。毎年この日記でやっていた現地からの携帯による実況更新がほとんどできなかったので、思い出しつつ苗場での行動を記録。
【7/27】
 前夜祭の日。この日は概ねアップ済み。越後湯沢からのシャトルバスで苗場入りしたのが午後7時ぐらい。その後、同宿の皆さんと合流して前夜祭へ。と言っても私はOrgの仕事があるので、持ってきたパソコンのセッティングに直行。
 最初はオアシスエリアとグリーンステージを結ぶ道の途中にあるOrgの本部テントへ行ったが、レポートを担当するライヴの多くがヘヴンとオレンジだったので、ホワイト・ステージの近くにあるもう一箇所のOrgスタッフ駐屯所(ホワイト・ロッジ)でセッティングすることに。
 パソコンのセッティングそのものはすぐに完了。しかしレポートをアップする予定のFUJIROCK EXPRESSのサーバーがダウンしてしまっており、ほとんどアクセスできない状態。出発前に自宅で見た時からほぼ同様で、スタッフは原因究明と対策に動いているが、サーバーそのものは苗場にはないこともあり、苗場に来ているスタッフでは埒が明かないようだった。
 その他、同じホワイト・ロッジにいたイラストレーターの三留まゆみさん(この方もOrgスタッフ)が「スキャナーが使えないんだけど、見てくれない?」と言うので、Macに関しては全く知識は無いのだが、あれこれ点検する。結局スキャナーのドライバーが入っていないことが判明し、そのMacの持ち主である花房浩一さんにロッジまで来てもらってインストール。そんなことをしているうちに日付が変わってしまった。
 しかし三留さんは私が高校〜大学生の頃、宝島でイラストによる映画紹介のコラムを読んでいたし、花房さんも同じ頃から「ロンドン・ラジカル・ウォーク」を読んで知っていた。そういう方たちと一緒に仕事をする日が来るとはなあ。
【7/28】
 いよいよフジロック開幕。Orgのスタッフはライター、カメラマンなど日本人、外国人合計で40名ほどが苗場入りしている。ライターの仕事もいくつかに分かれており、私はライヴのレポートをメインに担当。ということで少なくとも担当分のライヴは全編を見て、すぐさまレポートを書かなくてはいけない。
 最初のライヴはヘヴンのBBBB。11時半スタートで、12時20分終了。すぐさまホワイト・ロッジへ行って、レポートを書く。レポートは500字以上、800字程度までと制約が緩いし、字数も多くないので、書くのはそれほど困難ではない。ロッジはホワイト・ステージからの音がよく聴こえ、クロマニヨンズの演奏をBGMに、レポートを書き上げる。ハイ・ロウズの頃よりややハードかなと思いながら。ネットでの現地レポートは速いことがとりえであるから、すぐさまアップしたかったのだが、サーバーの問題が解決していないためアップできず。そのうち次のライヴの時間が来てしまう。
 13時50分からオレンジでNATSUMEN。この日見た中ではこれがベスト。オレンジの次の出演者であるTHE TERRY ADAMS & STEVE FERGUSON QUARTET も担当だったので、ロッジには戻らずここで昼ごはん。タイラーメン美味し。オレンジでTERRY ADAMS & STEVE FERGUSONを待っている間、隣のヘヴンでウォォー!と大歓声が沸く。何事かと思ったら、加藤登紀子の演奏が始まったらしい。加藤登紀子のライヴで、あんな反応は普通無いんじゃないかな。行ったことないけど。
 15時20分からTERRY ADAMS & STEVE FERGUSONを見て、ロッジへ戻ろうとしたら、小野島大さんと遭遇。「今年はOrgスタッフで来てるんです」と言ったら、「ああ、日記で見ましたよ」と言われ、驚く。見てたのね。
 17時前ぐらいにロッジへ戻り、早速2本分のライヴのレポートを書こうと思ったら、私のパソコンが設置してあるところで別のスタッフが自分のパソコンを乗せて作業中だった。場所には限りがあり、譲り合うのがルールなので、私はマイ・パソコンを持って、作業できる場所を探してロッジ内をうろうろ。このロッジはスキーシーズンには休憩所兼、飲食店として使われている建物で、厨房内にコンセントがあるのを発見。流し台の上にパソコンを置いて、作業を開始したが、10分ほどでバッテリー切れのエラーメッセージが出たかと思ったら、パチンという音とともに画面が真っ暗になってしまった。厨房のコンセントは挿し口があるだけで、電気は通っていなかったのだ。
 さてそれからが困った。電気が来ていることが確認できた別のコンセントを見つけ、ACアダプターを繋いだのだが、パソコンが起動してくれない。日記にも書いた通り、私のパソコンはヤフオクで買った中古品で、5〜6年前のモデルなので、内蔵バッテリーがかなり弱っていたようだ。
 パソコンが使えないのではレポートが書けない。スポンサーから借りている供用のパソコンも数台あるのだが、全て他のスタッフが使っている。内蔵バッテリーに起動できるだけの充電がされるのを待ちつつ、仕方がないので手帳に手書きでレポートの下書きをする。しかし手書きの原稿なんて10年以上書いたことがないので、思うように書けない。イライラが募る。
 結局レポートは書けないまま、また次のライヴを見に行く時間になってしまう。今度はヘヴンでNORTH MISSISSIPPI ALLSTARS。開始直前にbeatleg誌の横関編集長に会った。「NATSUMEN良かったですよね〜」と盛り上がる。
 NORTHが終わって、ロッジに戻ったが、パソコンはまだ立ち上がらない。NORTHが期待したほど良くなかったこともあり、イライラがピークに達してしまう。やり場のない怒り。しかし怒ったところでパソコンは直らないし、供用パソコンも空かないので、ひたすら充電されるのを待つしかない。
 21時半ぐらいになってやっとパソコンが起動してくれた。バッテリーの能力が弱すぎる。またいつ落ちるかとヒヤヒヤしながら、3本分のライヴレポートを仕上げる。そのうち、担当ではなかったけれど、時間があったら見に行こうと思っていたMadnessの演奏が始まってしまう。ロッジからは音は聴こえるので、鼻先にニンジンを吊るされた馬の心境で、ストレスが溜まる。追い討ちをかけるように、ハリー・ホソノのステージに矢野顕子が飛び入りしたとスタッフから聞き、立ち上がれなくなる。そろそろ疲れが出てきていたことに加え、このストレスで、レポートがなかなかまとまらない。特に内容に納得できなかったNORTHのライヴに関しては、辛らつな言葉しか出てこないため、軌道修正するのに苦労した。それでもかなりガッカリ感の出た内容になってしまったが。
 ライヴのレポートが出来上がったのは確か0時過ぎ。出来たのはいいが、相変わらずサーバーがダウンしたままなので、アップできない。くどいようだがこのレポートは即時性こそが命であって、例えばフジロックの終了後に公開するとか、もっと時間をかけて良いものならば、書き方だって変わってくるのだ。イライラが解消されないまま、ライヴレポ以外の記事(会場内で見つけた面白いネタや、食事のレポート、観客へのインタビューなどをライヴの合間に拾ってくる)を書いたり、その写真を編集したりしながら、2時まではサーバーの回復を待った。しかし状況は改善されないどころか、改善される見込みすら報告されない。スタッフ全体にイライラ感が漂い、ロッジの中の雰囲気も悪くなってきたので、宿を取っている私は帰ることに。そんな感じでフジ初日が終了。
 この続きはまた明日。