地獄の夏フェス



 このブログへのアクセス履歴を見ていたら、23日あたりから「UDO+観客+動員」とか「UDO MUSIC FESTIVAL+失敗」とかいう検索ワードで辿り着いている人が多いこと、多いこと。もうね、そっとしておいてあげましょうよ。


19歳、ロックフェス実現

 ロック音楽好きにとっての夏の風物詩、野外ロックフェスティバルが、県内でも29日に開かれる。「AOMORI ROCK FESTIVAL06〜夏の魔物〜」と銘打って、つがる市森田町床舞の「つがる地球村野外円形劇場」が会場。ロック好きの19歳が企画、たった一人で出演交渉し、国内の一流バンド17組の出演を取り付けた。
 出演するのは、シーナ・アンド・ザ・ロケッツ、ザ・ピーズ、フラワーカンパニーズ曽我部恵一ギターウルフら18組。
 こうしたバンドを相手に、出演交渉を独力で進めてきたのが、青森市の成田大致さん(19)。高校を卒業し、今は地元のロックバンドでボーカルをしている。このバンドも、フェスティバルに出演する。新潟・苗場のフジロックフェスティバル、北海道・小樽のライジングサン・ロック・フェスティバルといった、国内のロックファンには有名な夏の野外フェスに16歳のころから行くうち、「青森でも、こんな野外フェスをやりたい」と思うようになった。

 近年稀に見るええ話や。日本もまだ捨てたものではないなと。
 地方在住の19歳がひとりで思い立って、企画して、出演交渉をして、開催までこぎつけたのは、何という熱意だろうかと単純に感心する。またプロのイベンターでもなんでもない地方在住の19歳からの依頼を快諾した出演者たちも相当偉い。「青森でも、こんな野外フェスをやりたい」という素朴な動機があったからこそだと思う。自分で企画するなら、地元で開催するなら、こんなバンドに出て欲しいという以外の選考基準は無かったのだろう。
 UDOのフェスが支持を得られなかった(まだ言うか)のは、こうした大原則が見えなかったからではないかな。サンタナで○○人、ジェフ・ベックなら○○人、KISSだったら○○人呼べるから、全部合わせたらこれだけの動員があるはずだという単純な数式でフェスが成立すると思っていたようなふしがある。その取り合わせがちぐはぐであることに気付かず、野外だからこその必然性みたいなものも感じられない。青森の19歳の方がよっぽどよく分かっている。
 フジロックとバッティングしているので、私は行くことができないが、ラインナップはUDO以上に魅力的だ。少なくとも野外フェスの快感を知っている者にとっては。リンクを貼ってある新聞記事は美談調になっているものの、実際のところこの青森のフェスは採算が取れるのかどうかは分からない。ライヴイベント、しかも規模の大きなフェスなんてチケットが完売しても赤字になってしまう場合だってある。ぜひ成功を収めて欲しいものだ。


【7/26追記】
 うららか・びよりさんのところでこのエントリーにリンクを貼ってくださっていて、それを見たらこの主催者の彼は以前から招聘をやっていたとのこと。調べてみたら確かに彼はバンド活動の傍ら、青森でライヴイベントの企画をやっていたようです。ということで、「プロのイベンターではない」という書き方は事実とはやや異なると判断できます。お詫びして訂正いたします。
 「夏の魔物」は彼のバンド、THE WAYBARKのライヴ企画で、今回のフェスはその発展形という位置付けのようだ。出演者の多くは、以前「夏の魔物」で対バンを務めたことのあるバンドで、その実績が買われた結果でもあったのだね。それにしても数ある夏フェスに見劣りしないだけのイベントを実現させたのがわずか19歳という事実は、最高である。それだけに招聘を業務とする会社には企画できそうにない、手作り感覚がある。