煩悩サーキットvol.2@下北沢Shelter



 出演はSIBERIA、NYLON、ホルスタ、THE HOMESICKS。
 こうした複数のバンドが出演するイベントの場合、よほど忙しい場合を除けば最初から最後まで見るのが観客としてのマナーであると考えているし、ニュートラルな視点で接することで未知の逸材と出合った経験も過去に数多くある。であるからして、最大の目当てがNYLONであるとはいえ最初から全バンドを見たわけだが、残念ながらこれといった収穫は無かった。音に魅力を感じないバンドはどう撮ればいいのかが分からないので、写真も撮影していない。
 このイベントを企画したHOMESICKSには、NYLONを東京まで呼んでくれた点で大変感謝している。今年のRSRに出演が決まっているだけあって演奏力は確かなものはあったと思うし、実直さが伝わる楽曲でもあったのだが、所謂日本のロックに分類されるスケールの小ささが目立ち、こちらの常識を覆してくれるような発見はなかった。これは他のバンドについても同じ。みんなそれなりに上手かったが、ただ上手いというだけではねえ。

 一方我らがNYLONはいつ見ても規格外だ。過剰なテンションで突っ走るパフォーマンスと、ビート・バンドとしての条件を全て備えた徹底ぶりは、このイベントの中では浮いていたと言ってもいい。

 オープニングは久しぶりの「ダンダンビート」で、シマノのギターが「バットマン」のリフを刻む新しいアレンジになっており、もうこの時点で私の中の価値基準をクリアしていた。ジャムなど数多くのバンドが好んで取り上げた有名なリフを、自分たちの曲に転用、もしくはパクる形で伝統へのオマージュを捧げると同時にユーモアを表現しているのだ。こういうセンスこそ私が彼らを愛して止まない理由である。

 「In The Street Today」「ララバイ」など、この日も選曲は比較的スタンダードなもの。中盤で披露した新曲が唯一例外で、シマノのトリッキーなリフが印象的なロケンロー・ナンバー。私の価値基準では早くも名曲に認定された。しかしシマノはステージ上を動き回りながら、どうしてあんなリフを弾き続けられるのか。あのリズム感は今もって謎だ。

 出演バンドの中では音楽的な傾向が異なるし、観客の多くはHOMESICKSが目当ての女の子だったので、NYLONとしては決してやり易い環境ではなかったと思う。前の方は本当に女の子しかいないので、シマノ神輿の担ぎ手がおらず、やや滑った感も。そのため本来ならエスカレートするパフォーマンスに歯止めがかかってしまい、メンバーもいつものパワーが出し切れていなかったように思う。

 次回東京でのライヴは9月まで予定が無い。東京以外でもライヴの本数はややペース・ダウンという感じで、7月に1回、8月に2回しか予定されていない。これは意図したものではなく、たまたまそうなってしまったようだ。バンド自体は良い状態にあると思うので、たまにはスケジュールに余裕を持つのも悪くはないかと。
 ところで次回の東京ライヴは9/2高円寺UFO CLUBの予定だが、帰宅してからUA × 菊地成孔の日比谷野音公演とバッティングしていることに気が付いた。4月の八王子に続いてまたUAと被るのか…。どうしよう、もう野音のチケットは予約しちゃったのに。NYLONの出番が遅いことに期待して、ハシゴするしかないか。


【6/24写真追加】