いかす買い物

k_turner2006-05-25



コンサートチケットの転売は阻止できるか
 清水音泉という関西のイベンターのブログより。神戸のキャパ300人程度のライヴハウス、ウィンターランドにて行なわれる奥田民生の公演のチケットを扱っている会社だそうだが、用意したチケットの3分の1がネットオークションに流れてしまったことを切っ掛けに、チケット転売に関する何らかの措置を取ろうとしている。
 順序としてはまずこちらを読んでから、上のリンクへ行く方が分かりやすいか。
 この手の問題は今に始まったことではなく、昔から存在するけれど、日本で有効な措置が取られたことはほとんどない。かつてはダフ屋と呼ばれる特殊な方々がその利権を牛耳っていたのに、ネットの普及によって個人がアルバイト感覚で参入できるようになってから、俄然問題がクローズアップされたふしも無きにしも非ず。ヤクザさんには文句付けられないからね。
 ブログ上で公開しながら話が進んでいることもあり、一般の客のレベルから意見が寄せられているのは良いことだと思う。ただ私が思うに、所謂チケットゲッターが悪い、あいつらを殲滅せよといった論調はどうかなと。売る人がいるからオークションが賑わうのではなく、買う人がいるから出品する者が出てくるのであって、この順序は覆らない。
 第三者がチケット価格以上の金額を上乗せして販売することは違法であることは誰もが知っている。ただしライヴ会場のキャパシティーに限界がある以上、供給より需要が大きくなるケースは多々あり、見たくてもチケットが手に入らないという現象が起きる。どうしても見たい公演なら金に糸目をつけない人が出てくるのも当然で、資本主義の世の中に生きている以上、防ぐことはできないし、需要があるところには供給する人間が出てくるのも資本主義の常識だ。
 資本主義のルールである以上、売る人間と買う人間のどちらが悪いなんてことを議論しても仕方が無い。強いて言えば元凶を作っているのは買う人間だろうから、買う人間さえいなくなれば、この構造を断ち切ることはできる。実際アメリカではU2スプリングスティーンストーンズなどプレミア化しやすいビッグ・ネームの公演は入場時にIDチェックが行なわれていて、チケットを買った本人(販売時に登録される)でないと会場に入れないようにしている。そのため入場に時間が掛かる、都合で行けなくなった場合他人にチケットを譲れないといったデメリットはあるものの、オークションで高騰するチケットが買えない貧乏人には優しいシステムだ。まあ、こういうビッグ・ネームの場合、定価でも充分高いのだが。少なくともU2ストーンズは、座席によっては日本より高い値段で売られている。
 私個人はどうしても行きたいなら金で解決する、金が無いなら諦めるという現状の方が分かりやすいし、手間も掛からなくて良いと思うけど。


『The Chess Story』ボックス再発
 久しぶりにHip-Oのサイトにアクセスし、発売中のカタログをツラツラと眺めていたら、輸入盤のページで『The Chess Story』のボックスセットが再発されていたことを知る。シカゴ・ブルースの代表的レーベルであるChessの30年間近い歴史をまとめた15枚組340曲のボックスセットで、2000年ごろに発売されたことがあるが、現在は廃盤。その時は3万円ぐらいで売られていて、とても手が出なかったのだが、今回はこの15枚組を5枚ずつの3セットに分けての再発のようで、思わず目を疑ったのは1セットあたり$29.99の破格値だったことだ。
 Hip-Oが直接再発したわけではなく、イギリスで再発されたものを輸入して販売しているようだが、Amazon.ukで検索しても出て来なかった。仮にあったとしても、これより大幅に安く手に入るとは考えにくい値段だ。ディスクユニオンあたりが輸入すればこの倍の価格になるだろうことは察しがつく。1㌦が111円ほどの円高基調に感謝しつつ、『1947-1956』と『1957-1964』をオーダー。『1965-1975』を残したのは、恐らくこの時期は一番聴かないだろうと予想できることと、5枚のうち楽曲が入っているのは3枚だけで、残り2枚はマーシャル・チェスのインタビューディスクと、Chessのバイオやディスコグラフィーを収めたCD-ROMだから。懐具合が辛うじて思い止まらせたのだ。各300セットの限定販売とのことなので、いつまで在庫があるか分からないが、来月まで残っていたら『1965-1975』も買うつもり。2セットをまとめ買いしただけでも、私にとっては贅沢な買い物である。
 内容に関しては言うまでもない。良くも悪くもブルースという音楽のメインストリームを知ることができるボックスセットだ。シカゴ・ブルースはブリティッシュ・ロックへの影響が特に強く、60年代にロンドンから出てきた若いミュージシャンの大半はChessのレコードをお手本にしていたのである。ミック・ジャガーエリック・クラプトンも、きっとこのボックスは持っていると思う。


ストーンズ、15回のヨーロッパ公演の延期を発表
 やっぱりキースは大丈夫じゃなかったんじゃないか。当初5/27と5/29のスペイン公演のみ延期されるとの見方が広まっていたストーンズのヨーロッパツアーは、7/5のクロアチア公演までの15回を延期すると今日正式に発表された。
 頭の怪我で、しかも手術が必要な程度であれば、最低でも2〜3ヶ月は経過を見る必要があるのだから、延期の措置はもっともだ。それでなくてももう歳なんだから、無理をせず養生してもらいたいものだ。ビジネス的にはバカンスシーズンの6〜7月のスケジュールを延期するのは大打撃だろうけれど、嫌というほど儲けたのだからもういいんでないの?
 一部ではこのヨーロッパツアーの終了後、10〜11月頃にアジアと北米を回るミニツアーの予定も囁かれていたが、この分では実現は難しいだろう。