努力とはバカに与えられた夢である

k_turner2005-11-14



佐野元春のライブDVDは詐欺か
 気分の良い話題ではないが、呆れて空いた口が塞がらないのでエントリー。
 ポリスジャパンという「複雑怪奇、奇妙奇天烈な現代社会の仕組み、特にマスコミの凋落振りを嘆く有識者によって企画され」、「日本最高峰のニュースサイトを目指してい」るという崇高な理念の下、運営されているサイトに「正義の記者」によって投稿されたもの。かいつまむと、

  1. 投稿者が見たNHKホールでのライヴにて、佐野元春は歌詞を間違えていた。
  2. 後日発売されたその時のライヴDVDでは、間違えたはずの歌詞が吹き替えられていた。
  3. その点について指摘する内容をAmazonのレヴューに投稿し、掲載された。
  4. ところが翌日掲載レヴューが削除された。
  5. これは佐野元春による圧力がかかったためである。

 というのがその主旨。以上の経緯から、投稿者は佐野元春を「正当なリスナーの意見を削除する詐欺」呼ばわりしている。
 大多数の方には説明の必要も無いだろうが、まず実際のライヴで歌詞を間違えた場合、ビデオやCDで商品化する際に差し替えを行なうのは常識であり、歌詞の間違いに関わらず世に流通しているライヴのDVDやCDで、収録後全く修正が行なわれないまま発売されたタイトルはほとんど存在しない。ストーンズなんて商品として流通させたタイトルで、手を加えていないものは一切無いほどだ。世界最強のロックンロールバンドは、商品化に際して一部どころか、極端な場合あるパートの全テイクの差し替えまで行なうことが常態化している。そのためマニアックなファンの間では、会場で録られた隠密音源と商品化された音源を聴き比べ、どこに手術を施したか調べることが密かな楽しみにすらなっているのだ。
 これだけなら当たり前のことを鬼の首でも取ったかのようにあげつらう投稿者の無知ぶりを笑って済ますこともできるが、Amazonのレヴューの件は笑って見過ごすことのできない言論による暴力である。仮にレヴューが削除されたのが事実だとして、それが佐野元春の圧力によるものだという証拠はどこにもない。本人ですら「amazonにこの件について問い合わせましたが、答えがあいまいでした。また、佐野元春氏の公式サイトに問い合わせましたが回答が来ませんでした。」と書いているのに、何故佐野からの圧力によるものだと結論付けられるのだろう。
 さらに性質が悪いのは、この記事を掲載したポリスジャパンからのコメントだ。投稿者の妄想に近い記事を鵜呑みにし、「それを圧力で消すというのはどうなんでしょうか。普通の商売であれば考えられない神経ですね」とまで書いている。しかも信じられないことに、閑話休題と断ってこそいるものの「違法薬物の中毒患者というのは、訳のわからない行動に出る方が多いようです」とこの記事と全く無関係の文章を付け加え、あたかも佐野が薬物中毒であるかのような印象を与えている。これに至ってはれっきとした誹謗中傷だ。
昔からイエローペーパーの類は存在するし、ネット上に流れている情報が全て正しいと思っていたらこちらの気が狂ってしまうことは今さら言うまでもない。それにしても、これが「日本最高峰のニュースサイトを目指してい」るページに掲載されているかと思うと、空恐ろしい。同じポリスジャパンには勝谷誠彦の連載コラムもあるが、真っ当なジャーナリストの自覚をお持ちなら、勝谷氏は即座に連載を中止すべきである。