We can’t go on pretending day by day

we are all bald



ダークネス、髪が薄くなりかけたことを曲に

ザ・ダークネスのフロントマン、ジャスティン・ホーキンスは、髪が薄くなりかけているのを心配しているそうだが、なんとそれを曲にしてしまった。ニュー・アルバム『One Way Ticket To Hell And Back』に収録されるこの曲のタイトルは、ずばり「Bald(ハゲ)」。6分という大作だ。
ジャスティンは『The Sun』紙にこう話している。「そう、俺のことだよ。でも男はみんな恐れてることだろ。これがハゲについて歌った初のロック・トラックなのかどうかは知らない。でも、最も長いものであることは間違いない。へヴィ・ロックはたいてい男らしさを売りにするもんだが、俺たちは髪を失っていくことについて歌う。髪の毛なんか、必要ないんだ!」

 何だこのプロモーションは!ダークネスっておとぼけバンドだったのか。
 言われてみれば確かに、ロック界でハゲをテーマにした曲はそれほど無いのかもしれない。わざわざそんなことを歌いたがる人もいないだろうし。ドラッグや同性愛をテーマにしたヴェルヴェット・アンダーグラウンドだって、ハゲの歌は無かったと思う。辛うじて思い出せるのはキンクスの「Bald Headed Woman」だが、これは「ハゲの女なんて用は無いぜ!」と歌われるもので、自分がハゲているわけではない。
 余談だがこの曲はその歌詞のメチャクチャさが受けたのか、多くのガレージ・バンドがカヴァーしている。実はザ・フーもデビュー・シングル「I Can't Explain」のB面で取り上げているが、この曲の作者であるシェル・タルミーに強要されたからだと見ている。キンクスにしても同じ理由でレコーディングしたのだろう。
 ハゲを歌った曲は他にないかと調べてみたところ、プリンス・ファミリーの女性シンガーだったジル・ジョーンズ(80年代後半に人気があったが、今は何をしているのだろう)に「Bald」という曲があった。しかし女性であるから、自分のことではないだろう。面白いところではプロフェッサー・ロングヘアに「Bald Head」という曲がある。この曲は「長髪教授」の芸名を名乗る前、本名のロイ・バードで活動していた頃の曲だ。後にドクター・ジョンもカヴァーしている。長髪を名乗る前であれば、当然自分のことではないはずだ。
 やはり我が頭髪が抜けていく恐怖や悲哀を歌った曲としては、ダークネスはパイオニアなのかもしれない。洋の東西を問わず、同じ心境を歌えるミュージシャンは数多く存在するのに、今までその手の曲が書かれなかったのは不思議だ。人によってはアフリカの飢餓より深刻な問題かもしれないのに。
 エルトン・ジョンマイケル・スタイプピート・タウンゼンドエルヴィス・コステロフィル・コリンズピーター・ゲイブリエルビリー・コーガンかまやつひろし加山雄三山下達郎らが集結し、ハゲ救済を訴えるチャリティー・ソング「We Are The Bald」を作ってはどうだろう。