忌野清志郎@代々木公園



 アースデイ東京2005の一環として行われた野外ライヴ。新宿駅のベンチでうとうとしたり、吉祥寺あたりでゲロ吐いたりしていたら、開演予定の3時を15分ばかり遅刻してしまった。「G.O.D.」を歌う清志郎の声が聞こえてくる方向へ向かい、人でごった返す代々木公園を掻き分け掻き分け進む。まだステージが全く見えない場所から群集によって行く手が阻まれ、前進できなくなってしまった。それでもステージ方向から出てくる人がいるので、じわりじわりと少しずつ前進し、「トランジスタラジオ」が終わる頃には人の頭と頭の間から何とかステージが見られる位置まで辿り着いた。フリーライヴではあるものの、ステージ前のスペースに入るには200円以上のカンパが必要と事前にオフィシャルサイトで見ていたのだが、どこで払えば良いのかすら分からなかった。とにかくもの凄い混雑ぶりだ。会社を辞めてからしばらく満員電車にも乗っていなかったので、こんなラッシュは久しぶり。
 ほうほうの体でライヴを鑑賞できる体勢を整えたと思ったら、清志郎が「今年はデビュー35周年なんで、デビュー曲をやります」と言って「宝くじは買わない」を歌い出した。これには驚愕&感動。10代の頃からこの人のライヴは何度も見てきたが、生でこの曲を聴いたのは初めてだ。何故か東京公演が行われない全国ツアーが間もなくスタートする清志郎だが、「宝くじ〜」はツアーのレギュラー曲になるのだろうか。あまりにもびっくりしたので、アレンジなど細かい部分はまるで記憶にない。
 バンドはいつものナイス・ミドル・ウィズ・ニュー・ブルーデイ・ホーンズ。ブルーデイには女性のサックス奏者が加わり、4人編成になっていた。演奏は手馴れたものという感じで、新作『GOD』からのナンバーを数曲。清志郎の声はよく出ており、必ずしも熱心なファンばかりでないはずなのに観客の反応がすこぶる良いので、ますますヒートアップしていく。ステージ上でこそ真骨頂が見られる54歳清志郎の近年のライヴにハズレは無く、今日も絶好調だ。『GOD』からの曲はミディアムテンポであったが、前後左右の人と密着しているせいか暑くて汗がダラダラ流れる。その後テンポの良い「JUMP」、「上を向いて歩こう」「雨上がりの夜空に」と続くとほとんどモッシュ状態。そして観客が歌う、歌う。もちろん私も歌う。「♪こんな夜に発車できないなんてえ〜」の大合唱は演奏を掻き消さんばかりで、去年のフジロック並み、もしかしたらそれ以上の盛り上がりだった。「雨上がり」の後半のコール&レスポンスもきっちり決まって、「イイノリしてるゼ」と清志郎も満足げ。
 ラストは「一番の環境破壊は戦争だ」「日本にはラヴ&ピースを謳った素晴らしい憲法があるのに、どうして皆自慢しないんだ?」とアジった後、マントショー付きの「Baby 何もかも」。ラヴソングこそ最大のメッセージソングであると50を過ぎてもしつこくしつこく歌う清志郎。それは相変わらずそのメッセージを伝える必要性を感じているからでもある。しかし少なくともこの日ここにいた観客には、清志郎の意図するところが伝わったはずだ。くどいぐらい長いエンディングの末、清志郎がステージそでに捌けた後も、アンコールを求める拍手と歓声がしばらく止まなかった。最高。

 ↑ファインダーを覗ける状態ではなかったため、カメラを頭上にかざして適当にシャッターを切って撮った10数枚の内、奇跡的にちゃんと写っていた1枚。私自身、ステージの全体像はこれを現像して初めて知った(笑)。
 ライヴが終了して人が少しずつ引いて行くのを見ていたら、ようやくカンパ受付のブースを発見。事後になったが一応カンパをして、アースデイのその他の出店や展示を少し覗いてから下北へ移動。