PEALOUT@下北沢Club Que



 昨年秋以来のピールアウト。その時と同じQueで。先ごろ解散を発表し、7月のフジロックでのラストライヴに向けて、全国ツアーを含めて精力的にライヴをこなしている彼らだが、結成して2回目のライヴをやったというここQueに出演するのは今日が最後。ピールアウトはQueへの出演回数が最も多いバンドでもある。
 本日は「Guitar Day」。ギターの日とピアノの日に分けて2日連続で開催するライヴもこれで最後だ。近藤はベースを持ち、ステージ右手に立つ。岡崎はギター。解散を発表してからライヴを何度もこなす心中やどんなものなのだろう。もしかしたら解散を決め、発表した本人達は割り切れているのかもしれないけれど、観客側にはまだわだかまりが感じられた。
 ピールアウトの音楽は決して感傷的なものではなく、むしろラウドでアッパーな曲が多い。ギターの日であるこの日は特にその傾向の強い曲が並び、最初からフロアは大騒ぎになる。しかし何曲か続けた後のブレイクでは300人ほどの満員の客が一言も発さず、静まり返るのだ。その状況には近藤が思わず「お通夜じゃないんだから」と突っ込んでいたが、この気迫のこもったライヴを縁あるQueで観られるのはこれで最後だという意識が頭のどこかに潜んでいる観客の取る態度としてはそうするより仕方なかったのだ。
 演奏中はモッシュで答えるけれど、演奏が途切れた途端凍りつく観客の状態はかなり後半まで続いた。演奏は本当に力強い。ピールアウトが誰にも似ていないオリジナルなサウンドを確立したバンドであることが嫌と言うほどよく分かった。だからこそ切ないのだ。ようやく身も心もたがが外れたのは最初のアンコール前だったか、ドラム高橋がMCで「終わりたくないものを終わらせるんです!」と言い切った時だ。これには観客も拍手喝采。高橋はその反応に「いや、そんなにイイこと言ってないよ」と照れていたが、観客はこの言葉で気持ちの整理ができたのだと思う。
 後は徹底して盛り上がるのみ。2度目のアンコール後、客電が点いて音出しも始まるが観客はさらにアンコールを要求。「しょーがねぇなあ」という感じでメンバーが現れ3度目のアンコール。もう演奏できる曲が残っていなかったようで、「好きなバンドの曲」と言ってルースターズの「C.M.C.」を。この時には全員が頭を空っぽにして飛び跳ね、叫んだのだった。終わってみれば2時間以上の長丁場。今日で解散してしまうわけではないけれど、終わりたくないものを終わらせるにはこのくらいの時間は必要だったのだろう。