「iTunesは違法」とユーザーが訴訟起こす

iTunesiPodだけに対応しているのは独禁法違反だとして米国のユーザーがAppleを訴えた。iPod購入を「強制された」ことに対する損害賠償を求めている。(ロイター)

 iTunes Music Storeのサービスが始まっていない日本ではまだピンと来ない話ではあるが、iTunes Music Storeから購入した音源はiTunes内にAACという形式で保存されるため、そのままiPod以外の携帯プレーヤーに移しても再生できないことに対して「iPod購入を強制された」と言っているのである。おめでてーなー。一度CD-Rに焼くか、焼いたCD-RからMP3に変換すれば済む話とちゃうんか。その手間に対する賠償を求めているのだろうか。
 訴訟大国アメリカらしいと言えばそれまでかもしれない。それだけiTunesiPodが普及している証拠なのだろう。
 日本よりはるかにダウンロード販売が普及しているアメリカは、さぞかしCDが売れないのだろうと思いきや、こんなニュースもある。
米年間アルバムセールス、4年ぶりに増加

[ロサンゼルス 5日 ロイター] 2004年の米アルバムセールスは、アッシャーの「コンフェッションズ」の大ヒットなどで前年に比べ2%近く増加、4年ぶりに増加に転じた。
 ニールセン・サウンドスキャン社が5日発表した。
 今月2日までの過去1年間のアルバム売上総数は、前年比1.6%増の6億6670万枚。販売形式はCDが全体の98%を占め、2.3%増加した。
 ダウンロード販売は、アルバム1400万枚にほぼ匹敵する1億4000万件を突破。アルバム全体のダウンロードは550万件に上った。
 また、昨年下半期のみのシングル曲ダウンロードは、前年同期から3倍以上増えて9140万件。また、昨年最終週のダウンロードは670万件と、週間平均の30万件を大幅に上回った。

 これだけの内容では何とも言えないが、アッシャー(最新作はアメリカだけで7〜800万枚売れている)に代表される大ヒット作が牽引したことで、全体の売り上げが増加したのだろうか。いずれにしろダウンロード販売だけでなく、パッケージの売り上げも同時に増加していることは注目に値する。日本の音楽業界はよく検証する必要がある。何しろ国内ではこんなニュースがあったのだから。
音楽ソフト生産額、6年連続の減 ネット配信でCD離れ

日本レコード協会は04年のCDなど音楽ソフトの生産額推計値をまとめた。音楽ソフト全体は前年比5%減の4341億円になった模様だ。前年割れは6年連続。売り上げが100万枚を超えるミリオンセラーはシングル、アルバム合わせて11枚となり、全盛期だった98年(48枚)の4分の1未満に落ち込んだ。
 音楽ソフトにはCDシングルやアルバム、カセットテープなどの「オーディオレコード」のほか、ライブ映像などを収めたDVDなど音楽関連ビデオも含まれる。
 オーディオレコードの生産額は前年比5%減の3788億円の見通しで、ピークだった98年と比べると38%も減った計算だ。ヒット作が少なかったことに加え、ネット経由の音楽配信の広がりなどでCD離れが進んだことが原因とみられる。
 一方、音楽関連のDVDは前年比5%増の532億円となり、音楽ソフト全体の12%を占める存在に成長した。
 大手レコード会社幹部は「携帯電話やインターネットの普及で若者の時間の使い方が多様化し、音楽にかける時間やお金が減っている」と危機感を募らせている。
(01/04 18:57)

 これはソフト販売の統計なので、ダウンロード販売の実績は不明だが、この記事によると、レーベルゲートの配信サービス「Mora」でもやっと「(ダウンロード件数は)10月には17万、11月には27万、12月には30万を超える」程度らしいので、上の記事と比較すればアメリカとは桁違いであることは明らかだ。それでもCDの売り上げが伸びたアメリカに学ぶところは多いはずだ。
 CCCDとか輸入権とかの顛末で、日本の音楽業界の綻びは嫌と言うほど見てきたけれど、相変わらず「携帯とネットに客を奪われている」なんて言ってるのだから、先行きも暗そうだ。同じ台詞を何年言い続けるつもりなのだろう。