X'Mas Party With The 5.6.7.8's and Friends@下北沢Shelter

神と遭遇した夜



 5.6.7.8's 企画のイベントで、出演はBoy Friends、Goonies、Saturns、そしてそしてスペシャルゲスト、山口冨士夫ブルースビンボーズスペシャルゲスト抜きでも充分楽しそうなイベントなのに、冨士夫大明神まで拝めるとあっては行くしかないでしょう。昨日のMAD3のライヴで痛めた耳は治っていないけど、今日もまた爆音を浴びにシェルターへ。
 チケットはソールドアウトで、当日券を買おうと思っていて入れなかった人も沢山いたようだ。早めに押さえておいて良かった。
 まずBoy Friends。今回はギター&ヴォーカルにEDDIE@MAD3の実兄にして国分寺超山田堂店主、SAD-HEROを迎えてのスペシャル・セッション。ミドル・テンポのブルースから始まり、徐々にテンポを上げ、最後には高速パンク・ナンバーへという流れにいやがうえにも盛り上がる。ちょやま先生のギターは、上手いとか下手とか言う次元を超えて楽器と言うより武器みたいなもの。テクニックではなく感情で弾いているギターである。オープニングとしては申し分なく、ロックンロール・ショウの幕開けに相応しかった。
 次はGoonies。何度も見てるのだが、相変わらずバカだねぇ。女装ヴォーカルのトゥー・マッチ加減は今日も絶好調で、観客からは「最高!!」と「最低!!」の暖かい声援が。途中「さっき冨士夫ちゃんも来たぜぇ」とMCが入ると観客が湧く。ということはリハーサル無しだな(笑)。
 続いてSaturns。こちらも相変わらずナチの衣装でノイジーなガレージ・ナンバーを黙々と演奏するスタイリッシュなステージ。セッティングに20分かけて、3曲10分で終わるのもいつも通りなら、終わるやいなや、速攻でシールドを抜いてダッシュでステージを去っていくのも恒例。カックイイ。ベースのスミちゃんは相変わらずお美しかったが、今日は飴をくれなかった。
 そしてThe 5.6.7.8's。今年はワールド・ツアー中心の活動だったせいもあり、東京でライヴを見る機会に恵まれず、私にとっては今年初のゴロッパの皆さんだった。後に控えているスペシャル・ゲストに花を持たせるべく、短めのステージではあったが、「HARLEM SHUFFLE 」など聴きたかった曲をやってくれたのは嬉しかった。「SHAKE!」でのいきなりのクライマックスはやや強引さを感じつつも、ベースOMOさんのグルーヴィなプレイには狂喜。ロニーさんのギターも良いノイズが出ていた。
 さて、いよいよスペシャル・ゲストの登場。長年ロックンロールを食って生きてきたブルースビンボーズの面々は、仙人の様相であった。セッティングしながらワインをラッパ飲みだもん。30年ぐらい着古した革ジャンはところどころパッチワークで補修してあったり、下々の者どもの理解を超えたありがたさを醸し出していた。
 ステージ脇、および後方には、スタッフや他の出演者までがメンバーを囲み、狭いシェルターのステージがギュウギュウ詰めになった中で始まった演奏は、カオスの一言。現在服役中のヴォーカル伊藤耕の代役としてサダ(?)がまず2曲歌う。これがダモ鈴木みたいな狂気を孕んだ歌唱で実に良かった。
 それが終わるとお待ちかね、山口冨士夫の登場である。注目の第一声は「気が狂いそうだぜえ!ダチ公持って行かれちまってよお」というもの。ああ、これが山口冨士夫だ。ビンボーズの面々も一般社会にはとても溶け込めそうにない風貌だが、冨士夫ちゃんの放つオーラは一際違う。もう60歳近いこともあり、脂ぎった部分が抜けて神々しさすら漂う。まさに生ける伝説、現人神である。多少ギターにもたる部分があっても、それが味であり、真であると感じさせるだけの威光は健在。ヴォーカルにしても例のしゃがれた声は、真似しようとしても絶対に真似できない冨士夫ちゃんだから出せる声。ご託宣を受ける時に響く声のように聞こえるのだった。
 リハーサルをやっていないだけあって、選曲はその場で決められていたようだ。1曲終わる度にしばしの打ち合わせ&チューニングがあり、ルーズにセッションが続く。私が分かった曲では「気をつけろ」「捨てきれっこないさ」だったか。他にも7〜8曲は演奏したはず。途中元フールズの川田良が登場してギターを弾いたり、伊藤耕の息子だというダイチ(22〜3歳ぐらいか?あんなに大きな息子がいたとは驚いた)がヴォーカルを取ったり、一大パーティーの様相で、終始アンコールのようなライヴだった。興奮のるつぼ状態のまま11時過ぎまで演奏が続いた。シェルターであれほどステージに人がいるのは初めて見たなあ。
 ところで冨士夫ちゃん登場から3曲ほど終わったあたりで事件発生。シェルターでのライヴは照明の当て方が良いこともあって、私はよく写真を撮っているのだが、この日も冨士夫大明神のお姿を収めようと最前の真ん中に陣取ってカメラを構えていた。それに気付いた冨士夫ちゃんが近づいてきて、耳元に顔を寄せ、「後で写真見せてよ」と一言。ビックリしたが「OK!」と叫んで返した。さあ、これから後はいかに冨士夫ちゃんをかっこよく撮るかに全神経を集中させてシャッターを切り続けましたですよ。山口冨士夫に頼みごとをされて断るバカヤロウはいないだろう。残っていたフィルム100コマ以上を全て冨士夫ちゃんに費やしたぞ。冨士夫さん、現像出来たら送りますからねー。