UA / 11

11
先日も書いた通り、人に貸したまま返ってこないので買い直したぞー。大ヒット作の宿命として、今では中古市場に在庫がだぶつき気味で、ユニオンへ行けば800円ぐらいで買えてしまうことも知っているのだが、ワンフーとしては売り上げに貢献すべくあえて新品で。でもレコファンで20%引きになっているのを見つけて買ったというのが我ながらセコイ。
そんなことはともかくちゃんと聴くのは2年以上ぶりであって、新鮮に聴くことができた。そもそも私にとっては「悲しみジョニー」以降こそがUAという捉え方で、実際このアルバムがヒットしていた頃はUAという存在は知っていても特に興味はなく、後追いで聴いたせいか、このアルバムにはあまり思い入れというものがない。だからこそ2年以上も耳にしなくて平気でいられたし、収録曲をライヴで聴いても分からなかったりもするのだが、改めて聴き直してみて、かつて抱いていたイメージよりは現在のUAの姿とかけ離れていないことに気付いた。一通り聴いてみて、こんなにダビーでアブストラクトなトラックばかりだったっけ?と思ったことに象徴されるように、もっとポップな内容だとばかり思っていたのは、当時100万枚近く売れた大ヒットアルバムであるという事実から勝手にイメージを作り上げていたからに過ぎないことが判明した。確かにアレンジはハウス寄りで今では時代がかっているし、声は若く、歌唱力に拙い部分も感じられる。しかしメロディーよりリズムを重視する志向性、歌詞やサウンド面など神秘的な部分を尊重した傾向は、今のUAの作風に相通じるものである。
シンガーとして、ミュージシャンとして、『11』以降のUAの成長ぶりは目を見張るものがあるが、この時代から持っていた基本姿勢が変わっていないことは今だからこそ見えてくるような気がする。