Dr.Feelgood@八王子CLUB HAVANA



電車で乗り換えなしに30分足らずのところに住んでいても、八王子まで来るのは1〜2年に1度のことなので土地勘はあまりない。加えて今日の会場は初めて行く場所であって、オフィシャルHPで見つけた地図を頼りに探してみたがどうもよくわからない。うろうろしているうちに趣きのある古書店を発見。まだ時間には余裕があったので店内に入り在庫を眺めていると手ごろな値段の手塚治虫短編集を見つけたので購入。ついでにCLUB HAVANAの場所を尋ねてみたところ、40代半ばぐらいと思しきご主人は「聞いたことないなあ」とつれない返事。弱ったなと思っていたその時、入口に姿を見せたのが本日の対バンMAD3の面々だった。
私「あっ、EDDIEさん!見に来ましたよー。」
エ「ありがとうございます。」
私「ところでHAVANAってこの近くですよね?」
恒遠さん(マネージャー)「このすぐ裏ですよ。」
ということで無事会場に辿り着けたのだった。会場を出演者に聞いたのは初めてだ。それにしてもライヴ前に連れ立って(HARUTOさんはいなかったけど)古本屋をチェックしに来るとはさすが博学ロケンローバンドMAD3である。

最初はGOONIES。3年ぶりぐらいだろうか。久々に見たバンド。男女2名ずつの4人組で、ヴォーカルとベースの男衆は女装しているのは相変わらず。そのヴォーカルは酔ってるのかラリってるのかろれつは怪しく、足元がフラフラになりながらがなっているのも相変わらず。演奏はボロボロなんだけど、シャッグス・ミーツ・ニューヨークドールズとでも言うべき明快なR&Rには憎めない魅力あり。
続いてMAD3。この時点で客の入りは100人ぐらいか?こんなにスカスカのフロアでMAD3を見るのも珍しい。そんな状況でも彼らのライヴはいつも通りの剛球一直線。DR.FEELGOODの前座であることを意識したのか、久しぶりに「I NEED YOU」が聴けたし、HARUTOさんが歌ったのは「PLEASE DON'T TOUCH」、EDDIEさんが「世界で一番好きな曲」と言い放ったラストは「SHAKIN' ALL OVER」とパブ・クラシックに重点を置いた選曲。ストレートに力があるだけでなくて球種も豊富に持ってることに改めてMAD3の偉大さを思い知る。DR.FEELGOODの前座としてはこれ以上望めない程の仕事を果たしたと思う。
フロアが温まり、客もほぼ満員になったところでDR.FEELGOODの登場。一昨年見た時と同じメンバーで、前回は10年ぶりぐらいだったので風貌の変わりように驚いたものだが、さすがに今回は大きな変化は見られず。選曲も一昨年とあまり変わっていない(笑)。前半は「SHE'S A WIND UP」「BABY JANE」など中〜後期のアップテンポなフィールグッズ・ナンバーを中心に畳み掛ける。当然客は大喜びで、フロアは早くも頂点に近い盛り上がりを見せる。途中「DON'T START ME TALKIN」や「DOWN BY THE JETTY BLUES」などスローなブルースを混ぜて緩急の変化を付けつつ、客が知っている有名曲は漏れなく披露。後半は初期の代表曲を連発。「BACK IN THE NIGHT」「SHE DOES IT RIGHT」「BONIE MORONIE〜TEQUILA」などなどオリジナル・メンバーが存在しない現在のフィールグッズにとっては「人様の曲」には違いないのだけれど、客が最も望んでいるのはこれら初期の曲であるのも事実であって、それがわかっている以上連発して何が悪い!ってなもんである。彼らが既に本物のDR.FEELGOODではないことは重々承知している。この日の会場に存在したのはトリビュートバンドを見るのと同じ楽しさだ。
Robert Kane の歌い方は前回見た時よりLee Brilleauxに近づいた印象だった。果たすべき役割を認識した結果だろうか。平均年齢が50を超えようかというのにバンドの演奏自体はよりキレが良くなった感じ。前座のMAD3に触発されたのか、それとも客の反応の良さに気を良くしたのか。いずれにしてもR&B系パブ・バンドとしては現存する中でも屈指の存在には違いないし、客を踊らせ、叫ばせるために演奏するという生前のLee Brilleauxが掲げていた本来の目的は今も貫かれていたのだから、文句を言う筋合いなどどこにもない。