暑い。ようやく夏が来たみたいだ。会社からの帰り道、新宿のレコ屋を2〜3軒廻る。7月はパティ・スミスの来日とその後はフジロックがあったこともあり、気が付けばレコ屋に足を踏み入れるのは3週間ぶりぐらいだ。こんなにブランクが空くのは、私としては異例のこと。久しぶりに来るといろんな物が出てるなあ。プリンス、ジェーンズ・アディクションの新譜、ZEレコーズのNO WAVEコンプ、トラフィックの紙ジャケリマスター盤などなど、それぞれに食指の伸びるアイテムがわんさと。


とりあえず予算の許す範囲で優先順位を付けた結果、購入したのはエルヴィス・コステロ『GET HAPPY!!』の2枚組リイシュー盤とボブ・ディラン関連のサントラ『MASKED AND ANONYMOUS』。エルヴィスは3タイトル同時発売だけど、一度に買っても一度には聴かないだろうから順番に。限定盤ではないから慌てることはなかろう。一方、多少慌てる必要があったのはディラン出演作のサントラ。これはまもなく発売になるSACD版リイシューシリーズからのサンプラーが付いた限定2枚組だから。去年ストーンズがデッカ時代のアルバムをSACDと普通のCDとのハイブリッド仕様でリイシューしてからというもの、ビッグネームを中心に同様の形態でリイシューが相次いでいるのは良い傾向だ。発売当初は「こんなの普及するのかよ。」と言われていたSACDも、これだけソフトが出揃うと将来性を危惧する声も聞かれなくなってきた。CCCDなんて訳のわかんないものを作ってないで、こういう音質が優れたメディアの普及に力を入れた方が建設的ということをレコードメーカーはもっと自覚するべきだ。後は来年あたりビートルズSACDDVDオーディオで全タイトルリイシューでもしてくれるといいのだが。


他に原稿執筆用の資料として書籍1冊とDVD1枚を購入。これでサマーソニック1日分ぐらいは使ってしまった。


音楽雑誌、書籍の業界からは不景気な話ばかり聞こえてくるけれども、大型CDショップの書籍コーナーの前はいつだって人だかりがしている。今日だってある雑誌をチェックしたかったのだが、あまりの人の多さに断念。中には30分ぐらいその場を動かず立ち読みを続けている奴もいるし。それをウォッチし続けた私も私だが。思うに音楽雑誌は読まれてないのではなく、買われてないだけなのだ。大型CDショップに来るような音楽ファンには読みたいとは思われても、金を払おうとは思われてないのだな。確かに金を払ってまで読みたいと思うような雑誌が少ないのは認めざるをえない。資料として使えることを考慮にいれて買ってるような私でさえ、金を払って読んでるのは月に3冊ぐらいしかないから、一般の音楽ファンはもっと少ないのが普通だろう。情報の量や伝達速度から言えばネットには到底敵わないし、フリーペーパーだってあるからわざわざ財布を開かせるだけのものを作るのは今や大変なことだ。仮にそれだけのものを作れるポテンシャルの持主がいたなら、せこい音楽雑誌マーケットなど相手にしないで他の分野に流れてしまうことも考えられる。そう考えるとこの業界の未来は限りなく暗い。でもその傾向を強めてる原因のひとつは30分以上も立ち読みできる傍若無人さだとも思うんだな。そんなに読むところがあるなら買って帰ってゆっくり読めよと言いたい。