MAMORU & The DAViES@下北沢Shelter



 いよいよ6日に発売が迫ったワタナベマモルのニュー・アルバム『SESSiONS』の先行発売を兼ねたワンマン・ライヴ。シェルターでワンマンを行うのも久しぶりで、相応のスペシャルなイベントになった。

 オープニング・アクトも無く、正真正銘のワンマン。別掲のセットリストをご覧いただければお分かりのように、新作からのナンバーを中心に、現在のThe DAViESの美味しいところをくまなく掬い上げたような選曲。「DO THE DAViES」や「スキヤキ」といったインスト曲を織り交ぜ、バンドの充実ぶりが遺憾なく発揮されていたように思う。DAViESは今のメンバーになって1年半ぐらいだが、ドラムのケイタの成長が目覚しく、最近のライヴは外れが無い。心なしかマモさんのヴォーカルやステージングもよりアグレッシヴに拍車がかかっているように見受けられる昨今だ。

 新作はワタナベマモルのソロ名義で、甲本ヒロト山川のりをトモフスキー、八馬義弘など、曲ごとにゲスト・ミュージシャンを迎えたタイトル通りのセッション・アルバム。その曲をバンドで演奏すれば、当然趣きの違ったものになり、ライヴで聴いた後にアルバムを聴けば二重に楽しめるものになったはず。

 この日のスペシャルとしては、ゲスト・コーラスにサリーことモリタサオリを加えた演奏が見られたこと。彼女はアルバムにも参加しており、カントリー・ロック風味の「どけよ」など、やや美化すればデラニー&ボニーのようだった。

 また2度目のアンコールでマモさんが一人で弾き語った「時速4キロの旅」も白眉。グレイトリッチーズ時代に書かれた曲で、再レコーディングされたヴァージョンが新作の初回プレス分にのみボーナス・トラックとして収録されるのだが、20年近く前の曲でありながら、真実味を帯びた歌と演奏になるこの人のぶれなさ加減にグッと来るものが。

 演出らしい演出と言えばそれくらいで、花火を打ち上げたり、宙吊りになったりなどの派手な演出などできるはずもないライヴハウスで、2回のアンコールを含めて2時間近い熱演は見事。歌と演奏、それでこれだけの時間を充分に楽しませる力量は並大抵でない。こういうシンプルなロックンロールを淡々と聴かせるバンドがいかに貴重か。この日この会場に足を運んだ人であれば同意してくれるに違いない。終演後、新作アルバムが飛ぶように売れていたことだけでも、その証明になると思う。


SESSiONS

SESSiONS



  • セットリスト

1.ロックンロール賛歌
2.ヒットパレード
3.Mojo Walking
4.マボロシ
5.期待はずれ
6.フライングマン
7.ハードレイン
8.メンドクセー ※
9.DO THE DAViES
10.どけよ ※
11.不遇な犬
12.プリティーでGO
13.もっともチンケな愛のウタ
14.二人で歩いた
15.スキヤキ
16.炎のパブロッカー
17.It's a beautiful day
18.オイラの部屋へおいでよ
19.百戦練磨のオトコ

※Chorus モリタサオリ

 本編は以上。この後アンコールが2回有り、「ヒコーキもしくは青春時代」「時速4キロの旅」「ロックンローラー」など4〜5曲を披露。



 ニュー・アルバム『SESSiONS』についての詳細はこちら。ボーナス・トラックを除く全曲の視聴可。
 LOFT PROJECT発行の『Rooftop』誌に掲載のインタビューはこちら


【追記】
10月21日写真追加。