輝け!ロッキン☆ロール@アメリカ村CLAPPER



 ということで活動休止前のNYLONの最後のライヴを見てきました。このレポートは8/7に書いています。
 お昼過ぎに東京発ののぞみに乗って、午後3時には大阪入り。東京も暑かったが、この日は大阪も暑かった。炎天下を歩いていると、ものの10分も経たないうちに汗だくになってしまう。会場から徒歩10分程度のところにあるビジネスホテルにチェックインした後、開場時間に合わせてCLAPPERへ。
 拍子抜けするぐらいこじんまりとしたハコで、前後に細長く、ステージも低いので、下北の251とか横浜のF.A.Dを二周りぐらい小さくしたような印象。キャパは最大でも100人入るかどうかといったところ。この日はNYLONの他にワッツーシゾンビも出演するのに、この規模なのかと驚く。開演前にドラムのマサオ、ヴォーカルのメグと少し話す機会があった。それぞれ東京から見に来たことに感謝してくれたが、私は好きで来てるの。これを見逃したら生涯後悔しながら生きていくことになると思ったからやって来たまでだ。
 涌井慎というギター漫談の人に続いてNYLONは2番目の出演だった。そう、このイベントではあくまでNYLONは企画の一部。決してメインの扱いではなかった。

 ステージに現れたメンバーに悲壮感は一切感じられなかった。爆音のノイズで狼煙を上げると同時に、逆光にシルエットで浮かぶフロントの3人がジャンプを決めて、ライヴがスタート。いつものライヴと全く同じだ。メグがステップを踏みながら力強いシャウト聴かせ、ギターのシマノは鬼の形相で右へ左へステージを駆け抜けながら、正確なリズムでリフを刻む。マサオは一人冷静にビートを叩き続ける。このライヴを最後にNYLONから降りてしまうベースのシホは、ニコニコといかにも造作もないことと言いたげな表情で、非常にグルーヴィなベースを弾いている。ビート・バンドのアンサンブルとして非の打ち所が見当たらなかった。

 つまりいつも通りのNYLONのライヴなのだ。演奏のテンションは恐ろしく高いが、これも彼らにとっては普段と同じこと。選曲は古めの曲がやや多く、NYLONの歴史を凝縮したものになっていた点が、唯一スペシャルらしさを感じさせたが、途中で新曲(「シャララ…ナントカ」とか言っていた)まで披露しやがった。これが本当に今のメンバーでの最後のライヴなのかと疑問に思ったほどだ。まあ、NYLONのメンバーが涙ながらに演奏したら、それはそれで怖いが。

 このハコでのライヴは初めてだったようだが、大阪は月に1〜2回はライヴを行っている土地であり、NYLONにとってはホーム。さすがに馴染みの客が多かったようで、ステージ前は大変な盛り上がりだった。「ララバイ」のイントロでのレスポンスも、いつものシマノの要求の前から観客は勝手に叫んでいたり、曲をよく知っている人が多いようだった。こういう状況は東京では見たことがなかったので、やはり大阪まで来て良かったと思った。

 あっという間の30分ほどの持ち時間を務めたNYLONは、あっさりステージを去って行った。観客はこれで満足するはずもなく、アンコールを要求し、予定時間を少々オーバーしてもう1曲。最後に演奏したのは「あいつに首ったけ」だったか。。。既に3日前のことになってしまったので、記憶が定かではない。この腐れ脳め。

 最後の曲を終えて、興奮する観客を尻目に、滅多にMCをしないシホがマイクの前で「ありがとう」と挨拶をした時、やはりこれで終わりなのだなと思い、初めて感傷的になった。高性能を誇るロケンロール・マシーンであるNYLONらしい幕の引き方だったと思う。

 この後の出演バンドは、悪いけど完全にオマケ。トリのワッツーシゾンビはさすがに素晴らしいライヴで、2年ほど前に見た時と同じように楽しめたので、思わず写真を撮ってしまったが、それでも私にとってはオマケであった。

 
 全てのアクトが終わってから、またNYLONのメンバーと雑談。メグは「年末までには復活したい」と明言。シマノも「今日のライヴ中はすごく前向きな気持ちだった」と、残された2人のオリジナルメンバーはいずれも次のNYLONの姿が描けているようだった。この2人は一枚岩のようで、シマノによるとメグは不慮の事故か何かで死なない限りNYLONを続けると約束したそうだ。頼もしい限りだ。
 シマノ、メグとともに、10年近くNYLONのメンバーであったシホは実に清々しい表情をしていた。脱退してしまう最大の理由はやはり結婚したからで、これからのことを考えた結果辞めることにしたというのが真相らしい。旦那に辞めるよう言われたのではなく、シホ本人の決断だそうだ。シホのベースはNYLONに不可欠のものであり、ファンとしては今でも残念でならないが、10年続けたということと、シホにはシホの人生があることを考えると、新たな門出を祝って見送るのが筋というものだろう。私にはお疲れ様でしたとしか言いようがなかった。マサオも良いドラマーになったし、後はシホに代わる人材が現れることを祈ろう。

写真はただいま現像中。9日か10日あたりにアップできるかと。

【8/10追記】
 ようやく写真をアップ。ライヴが始まる前にこの会場の照明をチェックしたら、かなり数があったので、大丈夫だろうと思っていたのですが、いざ開演してみるとほんの少ししか使ってくれませんでした。現像してみて改めて暗いハコだったのだなと思いましたです。うーむ。