トーキョージェットナイト vol.4@新宿LOFT



 出演はSPIKE、ミドリ、GUITAR WOLF、SHEENA&THE ROKKETS。
 詳細はいずれ。
【6/15追記】
 かれこれ1週間ほど前のことになってしまった。既に記憶も曖昧だが、せっかくなので書いておきましょう。書いているうちに色々と思い出すかもしれないし。
 SPIKE
 記憶が確かなら、99年のTOKYO BIG RUMBLEで見て以来となるSPIKE。この間も発売された音源はポツポツと聴いていたが、ライヴはあまりにも遠ざかり過ぎた。もの凄く久々に見たSPIKEは、相変わらず私の好きなSPIKEであった。
 基本はサイコビリーながら、形式に固執するというよりも、その枠を守りながらいかに他の事に手を出せるかに挑戦している姿勢が好きだ。ほとんどビートパンクと呼んで差し支えない曲もあるし、いずれもメロディーがはっきりしていて、キャッチーなところが素晴らしい。演奏の切れも申し分ない。特にドラムがタイトで良かったなあ。もう少し頻繁にライヴを見ておくべきだった。
 ミドリ
 このイベントへ出かけた目的の9割ぐらいはこのバンドを見るためであった。4月にはアラバキに出演を果たし、来るサマーソニックへの出演も発表され、今や人気もうなぎ上りの状態。会場内にもミドリのTシャツを着たファンが大勢見受けられた。
 「私はアバズレ、雌ブタで〜す♪」という良識ある人の神経を逆撫でする曲(インディー時代の曲らしい)に乗って、メンバーがステージに登場すると、満員の場内の温度がさらに3℃ばかり上がったのが分かった。フロントに立つ後藤まりこは既に神がかり的なオーラを発しており、上り調子にあるバンドの状態に相応しい出で立ち。驚いたのは想像以上に小柄で、華奢だったことだ。身長は150㎝ぐらいしかないんじゃないかな。そんなちんちくりんが、セーラー服姿で、痙攣したように飛び跳ねながら、ノイジーなギターを掻き鳴らし、発狂したように吠える様は、まさにカオス。いかにも安物という感じのギターの音色は逆にマッチしたもので、扇情的なドラムとキーボードも、テクニックはともかく、バッキングとしては最高の役割を果たしていた。
 後藤まりこのパフォーマンスは充分に狂気を孕んでおり、スピーカーの上によじ登ってさらにそこからフロアにダイブするなど、こちらの期待通り。選曲にも文句は無かった。「昨日できた曲」という新曲も披露してくれたし。
 ただし初めてライヴを見てこんなことまで言うのも何だが、今はこれで良いとしても、賞味期限は短いのではないかと思えた。童謡調のメロディーを持った曲が多く、バリエーションの幅は狭いようだし、ステージングが突拍子も無いだけに飽きられるのも早そう。椎名林檎のように消費され、去勢されてしまわないことを願う。またこの日のように30分程度のライヴなら問題ないが、それ以上の時間を維持できるかを考えると疑問が残った。
 GUITAR WOLF
 ウルフはいつもと同じだろうと、高を括っていたが、その予想はやや裏切られた。ラモーンズで登場して、「仁義無き戦い」のテーマ曲で缶ビールを一気飲みしてと、基本構成は同じながら、聴き覚えの無い曲が多かったため、新鮮に感じられた。恐らく今年出た新作アルバムに収録されている曲を中心としたセットだったのだろう。ベースが変わってから初めてのアルバムということも影響しているのか、ウルフにしては歌を中心とした曲調が多いように思った。あくまでウルフにしては、だが。その分轟音ノイズが控え目で、爆音で何がなんだか分からなくなる瞬間があまり無かったような。あくまでウルフにしては、だが。
 SHEENA&THE ROKKETS
 今年40になる私が小学生の頃には既に存在したバンドで、しかもその当時から現在に至るまで、やっていることがほとんど変わらないという、文化財級のバンドである。先ほど調べたら、鮎川さんは来年還暦を迎えるようだ。それだけで充分に凄すぎる。ステージに現れた姿を見て、さすがにシャープさが欠けた印象を受けたが、オープニングの曲が始まった時に思わず笑ってしまった。その曲とはリンク・レイの「Rumble」で、実はその前にギターウルフがラストに演奏した曲だったのだ。対抗意識を燃やしていたってことか?歳は取ってもまだまだ負けないぜって。
 3ピースのロケッツだけで3曲ほどを演奏し、その後シーナさん登場。この構成も完全にお約束ながら、シーナさんが出てくると途端に華やかな雰囲気が出るから大したものだ。これまた調べてみたら、シーナさんは今年で53歳だった。それでボンデージの衣装で現れるのだから、怖いものなんか無いよな。声はさらにドスが効いた感じで高音は厳しく、オクターブを落として歌うところもちらほら。それでもいいの。文化財なのだから。
 選曲もお馴染みの曲ばかり。それのどこが悪い?いや、文句などございません。中学生の頃にヒットした「ユー・メイ・ドリーム」を今また聴けるのは幸せなことだと解釈するべきなのだ。もちろん「レモン・ティー」も。ただサビの「アッ、アッ、アッ、アッ、アーッ」のところで、シーナさんは声が出なくて客に歌わせていたのが何とも寄る年波を感じさせる場面ではあった。
 アンコールは、これまた当然のように「Satisfaction」を。他人の曲であることをとっくに忘れているようだ。日本には、欧米のロックンロールを輸入して、加工することが使命だった時代が確かにあり、その時代の急先鋒だったのがシーナ&ロケッツである。その使命が終わり、日本にも独自のロックンロールが根付いて久しいとはいえ、自らの役割に忠実であり続けることだって、ある意味潔い。その潔さがあるから、今も活動を続けられるのだろうと、しみじみ思った。