Tot Channel Night@新宿Red Cloth



 遅刻はしたものの、何とか見に行くことができた。詳細はまたいずれ。多分写真も掲載できるでしょう。明日も朝が早いので、今日はもう寝る。


【11/29追記】
 というわけで今さらな感はあるが、感想など。
 イベントの詳細はこちらの日記に詳しいので、参照のこと。23日の日記にも書いた通り、仕事の都合で本当に行けるかどうかは当日まで分からない状態だったので、チケットの予約はしていなかった。行けるとしたら当日券で入ろうと思っていたのだが、24日の午後、Tot-Chanより携帯に「前売りで予約入れておくから。ドタキャンでもOK」とのメールが。こうまで言われたら這ってでも行かねばならないわな。
 運良く仕事はあまり長引かず、6時50分ぐらいには退社できた。しばらくぶりのRed Clothへ到着したのは7時半ぐらいだったか。ちょうどギターパンダが始まる直前だった。

 山川のりをは過去何度も見ているが、ギターパンダとして見るのは記憶する限り初めて。Tot-Channelでは見ていたので、新鮮さは感じないとはいえ、この人に新鮮さを求めること自体間違っているというものだろう。照れ隠しなのか、不器用なのか、或いはその両方なのか、別にそんなことしなくていいのにと言いたくなることに真剣に取り組む姿が心を打つ(笑)。パンダの着ぐるみやら、ラスベガス時代のプレスリーのコスプレやら、それが彼にとっての芸であり、エンターテイメントなのだと言われれば、そんな気もしないでもない。それらを取っ払っても充分成立するロックンロールであることに、彼は満足していないとも言える。

 飾り気も気負いもまるで感じられない、市井の人による市井の人のための歌である。ややハスキーな歌声には郷愁を掻き立てられるし、自虐的な詞の内容も、何とも「分かる」のだ。本人は「サイテー」と罵声を浴びせられることに快感を覚えているようだが、その「サイテー」は我々自身でもあり、彼の歌声に対して返される「サイテー」は罵声ではなく、共感を込めた声援である。
 続いてMAMORU & THE DAViES。今の編成になってから見るのは、2回目か。しかし最初に見たのは今年のリー・ブリロー・メモリアルだったから、通常のMAMORU & THE DAViESのライヴとしては初めてということになる。

 オープニングは確か「Suzie Q」。こういうロックンロールのスタンダードをさり気なく演奏できるバンドは、今や世界的にも貴重だと思う。ロックンロールに対する信仰というと大げさかもしれないが、体でロックンロールを覚えていないと、しなやかな演奏にはならないからだ。原たかしが弾くテレキャスターが実にツボを心得ていて、渋く、味わい深い。

 久しぶりに見て思ったのは、ワタナベマモルはやはりパブ・ロッカーだなあということ。日本にはイギリスで言うところのパブに当る空間は存在しないし、私自身イギリスのパブで過ごした経験も無いのだが、伝え聞く70年代のパブ・ロックって、こういう音楽だったとしか思えない。これがパブ・ロックでなければ、パブ・ロックなんて私の好きな音楽ではないということになる。決して派手ではなく、アリーナを埋め尽くすような支持は到底得られそうにもないけれど、滋養の溢れる音楽であって、例えばビールがそうであるように、味噌汁がそうであるように、毎日飲んでも飽きることがないのである。

 Tot-Chanによると「硬派な選曲」だったそうだが、私はこれぐらいがちょうど良かった。大好きな「想像しよう」も聴けたしね。
 DAViESの演奏が終わって、アンコールがあるのかと思いきや、オープニングに出演して私は見逃してしまったハッチェル特急楽団の面々がどやどやとなだれ込んできて、「皆さんともう少し遊ぼうと思いまして」とか言いながら、ステージを降りてフロアで演奏を開始。このバンドというか、楽団の特性を生かした粋な演出だった。

 考えたらこちらも見るのは久しぶりで(1月のUFO CLUB以来?)、しばらく見ない間に持ちネタに変化が出たようだったが、ハチマさんが生き生きとしていたことが印象的だった。やはり彼の音楽的なベクトルが向かっている方向はヘヴィなロックンロールではなく、こちらにあるのだろう。

 文字通り観客との距離感はゼロで、無条件に楽しい演奏。しかし照明の当らない場所、当然のことながら観客と同じ高さに立ってやるものだから、撮影しにくくて参った。
 最後は正に大トリという感じで、MAMORU & THE DAViESに山川のりをが加わってのセッション。阿吽の呼吸というか、ロックやソウルを共通言語として持っている人たちであることを如実に感じさせる演奏で、にんまり。しばらくライヴ通いから離れていたことを後悔させるに充分な代物だった。やはり生の演奏は何物にも代え難い。

 普通のイベントならこれで終わるところだっただろうが、さらなるアンコールとしてビデオによるライヴ演奏が上映された。さすがTot-Channel Nightと銘打つだけのことはある。この日の出演者のそれぞれ1曲を、過去の複数のライヴ映像から編集し、ひとつにまとめたもので、多数の素材からのカットが次々に切り替わる内容には、単純に苦労の跡が窺われた。Tot-Chanがいつも撮影に使っているカメラはどういう物なのかは私は知らないが、あのコンパクトなカメラで撮った素材を、何度も編集した上で、スクリーンに映し出しても非常に画質が良いことにも驚いた。
 さらに感動的だったのは、結構な数の観客(60〜70人ぐらい?)のほとんどが帰ることなく、この映像に見入っていたことだ。Tot-Channel Nightと言っても、映像が退屈なものだったら帰路に着く観客が続出したとしても不思議ではない。そうではなかったということは、映像に見応えがあったことを証明している。最後は拍手まで起きていたし。彼の日記を読むと分かるが、開催に漕ぎ着けるまでのTot-Chanの苦労も報われたのではないかな。実現するかどうか分からないが、第2弾のイベントにも期待したい。