5/28 NYLON@八王子RIPS



 NYLONにとっては昨年8月以来、新メンバーになってからは初の都内でのライヴ。全てをかなぐり捨てて駆けつけたとも。


 「ビートメンナイト」というタイトルのイベントで、全4バンドが出演する内、NYLONは2番目に登場。本当はこの日MAD3もブッキングされていたのだけれど、EDDIEさんが体調不良のためキャンセル。トリを取るはずであったろうMAD3が出演しなくなったことで、動員が心配されたけれども、ざっと100人ほどが会場を埋め、入りはまずまず。

 NYLONは当然のごとく、オープニングからぶちかます。1曲目はいつも「ダンダン・ビート」なのに、この日は「波乗りビート」(だったかな?既に記憶が定かでない)でスタート。いやもう、テンションの高いこと、高いこと。メンバーの動きも滅茶苦茶早くて、ファインダーを覗いていてもピントが合わなくて焦った。NYLONのパフォーマンスがクレイジーなのはいつものこととはいえ、この日はとりわけ動きが激しかった。久しぶりの東京ということで、メンバーも相当昂ぶっていたのだろう。

 毎度の事ながらこのパフォーマンスの前には言葉が奪われる。「最高!」とだけ300回ほど書いてお終いにしてしまいたい程だ。彼らがやっていることは別に何ら新しくはない。ビートの効いたただのロックンロールである。こんな古式ゆかしい形式を採用しながら、現代においてこれだけ生命力を感じさせることのできるバンドは、世界広しと言えどもNYLONぐらいしかいないのではないかという気にさえさせられる。


 会場のRIPSは私にとって初めてのハコだった。140〜150人ぐらいで満員になりそうなこじんまりとした店で、ちゃんとしたバーカウンターもあって、雰囲気は良かった。ただ撮影する立場からすると照明には難儀をした。ステージ正面から当たるライトが無くて、後ろからとサイドからしか光が当たらないので、客側から見て逆光なのね。それも光量が少なくて全体に暗く、どうしてもピントが甘く、輪郭がぼやけてしまう。特にドラムの位置には全く照明が当たっておらず、マサオ君の写真が全然撮れなかったのは残念だ。
 辛うじて見られる写真はこれだけ。ここに載せなかったのを含めて、もう少し見たい向きはこちらでどうぞ。数少ない写真で、NYLONの凄さが伝わればいいけど。ただこのライヴが見れなかった人は後悔した方がよろしいよ。彼らのライヴには信じ難いエネルギーと、今にも消えて無くなりそうな刹那のスリルが同居している。次に東京で行われるライヴは、6/11新宿MARBLE、6/12代々木Zher the ZOOだ。足を運ぶだけの価値はあると断言しておく。
 この日の他の出演は、GOLDEN YEARS、夜のストレンジャーズ、THE YOUNG MAN PSYCHO BLUES。それぞれに音の傾向は違うものの、正統的なロックンロールバンドであることは共通していた。これでMAD3が出ていたら文句無しなのだけれど、充分楽しめる良いイベントだった。

 個人的には夜のストレンジャーズにシンパシーを感じた。ブルース、ブギを基調としたトリオで、厭世感と叙情感のにじむ歌詞に憂歌団RCサクセションの影がちらついた。「あと2年で40代」だそうで、歳も近いせいかとても他人事とは思えなかった。
 「開いたばかりのキヨスクでビールを買う 出勤する人を尻目に駅のベンチでタバコを吸う そういえば2年前も同じだった」詳細は忘れたが、こんな感じのことが歌われる曲、しかもタイトルが「Still Crazy」だって。これを歌われた時は応えたなあ。「えっ!?見てたの?」と思ってドキっとしてしまった。私はタバコは吸わないけどさ。全く他人事ではない。