せんごチルドレン3@日比谷野外音楽堂



ということで行ってまいりました。毎年この時期に野音で開かれているイベントで、異種格闘技戦のように音楽性の異なるバンドばかりの組み合わせが売り。開演時間から10分ぐらい遅刻して到着すると、既にゆらゆら帝国が演奏していた。
このバンドは独自色が強すぎる分、基本的にどこでやっても変わらないので、ある意味安心して見ていられる。ライヴを見るのは去年の7月以来(のはず)だが、あえて変化を感じたのは坂本慎太郎のギターのリバーヴが深くなったこと、「発光体」「EVIL CAR」など昔の曲のテンポがやや遅くなったこと、ぐらいだろうか。「EVIL CAR」は途中のリードギターがブルージーなフレーズになっていたりして、アシッド感が強まった印象。ただ全体的にはあの3人ならではのサウンドであることに変わりはなかった。選曲はソフトサイケ調のものが多めだったかな。「恋をしたい」とか。
会場に到着した時には薄く陽も差していたほどだったのに、ゆらゆら帝国の演奏中にまた細かい雨が。ゆら帝が終わるころからは合羽を着込んでの観戦となる。
続いてSing02。今回はKosmic Renaissanceというユニットとのジョイントとのことで、何をやるんだろうと思っていたら、ステージには黒人のサックスプレイヤーとパーカンション奏者が現れたのでびっくり。Sing02はステージ左手にモジュラーシンセとサンプリングマシーンを繋いだような装置(機材関係に疎いので違っていたらすみません)を操作するのみで、ラップは無し。サックスのファンキーなリフを中心としたジャズとしか呼びようのないスタイルで、意外ではあったがこれはこれで面白かった。サックスプレイヤーも時折サンプリングマシーンを操作し、形成されるノイジーなカオス状態はフジロックの会場にいるような開放感が得られた。これはぜひ苗場でもう一度見たいものだ。
トリはBACK DROP BOMB。何年か前に聴いたCDの印象ではメロコア寄りのミクスチャーバンドというのが私の中での彼らのポジションだった。しかしこの数年の内に音楽性はかなり変化したようだ。ヴォーカル×2、ギター×2、ベース、ドラム、キーボード×2(内ひとりはパーカッションも兼任)という大所帯。既にメロコアの面影は無く、では何なのかと問われると説明は難しい。ミクスチャーと言えばミクスチャーだが、ヒップホップ色は決して強くなく、ポストロック的であったり、はたまたメタルであったり、ダブっぽい残響音すら飛び出したりもする。果敢な試みではあるのだろうが、問題はそれら雑多な音楽性が消化された上で相乗効果を生んでいるとは思えなかったことだ。各種スタイルが本来持っているコアな部分を骨抜きにして形式だけ借りてきたような、アイディアの煮詰め方に甘さを感じた。加えて演奏能力にも苦言を呈したい。ギターのチューニングのずれは最後まで気になったし、MC2名の声量不足も否めなかった。
残念ながら動員は寂しいものがあった。A、Bブロックこそほぼ埋まっていたが、会場の半分近くを占めるCブロックは3分の1ぐらいしか入ってなかったのではないか。天候を考えてもこれでは辛い。こういうユニークなイベントはもっと注目されるべきなのに。